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俺なんかとは接点無さそうな人間だもの。
でも、だったら……。
「……あの、もう帰っても良いっすか? 教室行かないと授業始まっちゃいますし」
そろそろ自由にしてください。
そう思いを込めて告げると、日向黒はほんの少し離れてくれた。
「……授業?」
「はい」
「……何の?」
「数学です」
本当のことを言うと、一時限目は自習だ。
俺はほんの三十分前までサボる気満々だった。
けど、やっぱり真面目が一番だよ。
真面目な人ほど損するって言うけど、そんなこと無い。
……と、今日から信じようと思う。
だから帰ろう、教室と言う名の安全地帯へ。
「だから、その……さ、さよーなら」
出来れば永久に。
友情、愛情、努力、etc……。
この人と関わったって、どうせ何も生まれやしないだろうし。
いや、生まれても困るけども。




