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おでこを押さえたまま俯いていると、日向が腰を落とし、またしても俺の顎を掴んだ。
そのまま上を向かされてフードが頭から滑り落ちる。
目深に被ったキャップまでも取られてしまい、バッチリと目があった。
「殴られときゃ良いとでも思ってたか?」
「……う゛」
嫌がらせ確定。
けれど、ニヤリと妖しげに笑うその姿に、怒りも痛みも忘れてしまいそうになる。
ここまで美形とか、反則だろ。
なんて呑気に見惚れていたら、日向黒の顔がどんどん近づいて来ている。
その距離数センチ。
もう目の焦点が合わないほど近く、赤い色だけがぼんやりと見えた。




