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"ゴンッ!!"
「ぐえっ……!」
思い切り肩を押され、後頭部が図書室の床にじゃすとみーと。
……痛い。
いや、痛いなんてもんじゃない。
下手したら死んじゃうよ、これ。
しかも、転げ回って悶絶したいところを胸ぐら掴まれて押さえ込まれている。
「……お前誰だ」
俺がこんなにも苦しんでいるというのに、男は尚も訊いた。
「広瀬はどうした?」
痛みからか、チカチカと明滅する視界に、ぼんやりと人の顔が映る。
ひろせ?
ひろせって誰だっけ……。
広瀬碧のことか?
え?
この状況ってアイツのせいじゃね?
「早く答えろ」
「お、れは……」
徐々に覚醒する意識。
俺に覆い被さっている人影に、色が着き始めた。




