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俺、CO₂悪者説を信じてたら地球詰んでたんだが?第七部  作者: マスター


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2/14

第2話 予算年度という名のラスボスと、四月に消える補助輪

第7部第1話では、町のミスト、雨庭、遊水地、港の水温図といった小さな補助輪が、町境を越え、別の地域へ渡り、「世界へ向かう言葉」になる可能性を見ました。


第2話では、その補助輪が町の外へ出る前にぶつかる、もっと身近で手強い壁を見ます。


予算年度。


補助金。


担当部署。


年度末。


そして四月。


補助輪は、自然の中では水や熱と向き合う。


けれど、役所や町の仕組みの中では、「今年の予算に入っていません」という一文で止まることがある。


主人公とAIが、年度末の会議室を舞台に、「四月に消える補助輪」と「続くための予算」を考える回です。

「第7部、いきなり嫌な敵が来たな」


俺は、画面に出たカレンダーを見ながら言った。


三月。


年度末。


会計締め。


予算要求。


補助金申請。


事業評価。


『自然災害ではない』


「でも、町の補助輪を止める力は強い」


『その通り』


「上流の土も、雨庭も、ミストも、遊水地も」


俺は指を折りながら数えた。


「四月になったら、急に消える可能性がある」


『“今年度で終了です”という魔法の言葉だな』


「魔法じゃない。呪いだ」


『第7部のラスボス候補だ』


「地味すぎるラスボスだな」


『だが強い』


「嫌な説得力がある」


俺は、カレンダーの三月三十一日と四月一日の境目を見た。


自然の川は、その線を知らない。


夏の暑さも、その線を知らない。


でも、予算表はその線を知っている。


「年度って、見えない堤防みたいだな」


『水ではなく、事業を止める堤防だ』


「嫌な比喩だ」


『だが、第7部らしい』


第1節 補助輪は、三月末までしか生きられないのか


画面には、駅前のミスト設備が出ていた。


去年の夏、熱中症警戒アラートの日に動いた。


商店街の人も、通勤する人も、バスを待つ人も使った。


「数分だけでも助かる」


「去年より待ちやすかった」


「子どもが立ち止まれる場所があった」


そんな声が、記録に残っている。


「これは続けるべきだろ」


『そう思う人は多い』


「なのに?」


AIが、次の画面を出した。


実証事業。


一年度限定。


補助金終了。


次年度の予算は未定。


「うわ」


『四月だ』


「四月、怖いな」


ミスト設備は、去年の予算で設置された。


点検費用も、電気代も、水道代も、去年の枠で出た。


担当者も、「実証事業の担当」として動いた。


けれど、年度が変わる。


予算の名前が変わる。


担当者が変わる。


実証事業は終わる。


続けるための枠が、まだ決まっていない。


「補助輪、夏に必要なのに、三月の会議で生死が決まる」


『自然の季節と、制度の季節がずれている』


「それだ」


俺は、メモに書いた。


――補助輪は、自然の季節で必要になる。

――でも、制度の季節で止まりやすい。


『第2話の入口として、かなりいい』


「褒めたな」


『年度末だからな』


「理由になってない」


ミストが必要になるのは、七月や八月だ。


雨庭や遊水地の意味が見えるのは、強い雨が来る季節だ。


港の水温図が切実になるのは、海が変わる時期だ。


けれど、それらが続くかどうかは、三月の会議室で決まることがある。


「必要になる時期と、止まる時期が違う」


『そこがやっかいだ』


「補助輪が季節を越えるには、予算年度も越えないといけない」


『第7部らしくなってきたな』


第2節 動かない世界線では、「前例がない」で止まる


「じゃあ、動かない世界線」


AIが、左側に会議室を出した。


長机。


資料。


予算表。


プロジェクター。


空調の音。


「駅前ミストについてですが」


「今年度の実証事業としては、一定の成果がありました」


「ただし、次年度以降の継続については……」


「嫌な間だな」


『会議の沈黙だ』


「どの部署が所管するのか」


「商店街活性化なのか、暑さ対策なのか」


「防災なのか、都市整備なのか」


「水道代は誰が持つのか」


「故障時の責任はどこか」


「全員、正しいこと言ってる」


『だから進まない』


商店街の担当は言う。


「にぎわい事業の枠では、毎日動かす設備までは持てません」


防災担当は言う。


「災害時の設備ではないので、優先順位が難しいです」


都市整備担当は言う。


「恒久設備として整備するなら、設計と計画が必要です」


会計担当は言う。


「前例がありません」


「来た」


『最終形態、“前例がありません”』


「ラスボス感あるな」


その結果。


ミストは、夏祭りの日だけ動く。


平日の危険な暑さには、出ない。


設備は残っているのに、補助輪としては止まっている。


「壊れたわけじゃない」


『制度の隙間に落ちた』


「一番やっかいな止まり方だな」


壊れたなら、修理できる。


撤去されたなら、理由を聞ける。


でも、制度の隙間に落ちたものは、止まっているのに、誰の責任か分かりにくい。


「あれ、去年は動いてたよね」


「今年はどうなんだろう」


「担当が変わったらしい」


「予算がないらしい」


そう言っている間に、夏が来る。


「四月に消えた補助輪は、七月に必要だったことを思い出される」


『だが、その時には動かす枠がない』


「ラスボス、強いな」


第3節 少しだけ曲がった世界線では、予算にも“受け皿”を作る


「右側は?」


AIが、もう一つの会議室を出した。


同じ長机。


同じ予算表。


同じ担当者たち。


ただし、机の中央に一枚の紙がある。


暑さ・防災・地域滞在支援 共同枠。


「名前、長いな」


『複数の部署が使える名前だからな』


「なるほど」


商店街活性化だけでは、ミストはイベントになる。


防災だけでは、平時に動かしにくい。


都市整備だけでは、設計に時間がかかる。


健康だけでは、駅前の設備管理まで届きにくい。


だから。


暑さ対策。


防災。


地域の居場所。


商店街の滞在支援。


公共空間の保守。


それぞれの目的を、一つの共同枠に少しずつ入れる。


「補助輪を一つの部署に背負わせない」


『第6部の“負担を分ける”が、予算にも入った』


「世界の赤いグラフを見てきた結果、予算表までチーム戦になったな」


『補助輪は、チーム戦だ』


ミストの水道代は、暑さ対策の枠。


点検費用は、公共空間の保守の枠。


使用時の案内は、商店街の運営枠。


効果の記録は、防災と健康の共同記録。


「全部を一つの課が持たない」


『だから、四月に消えにくい』


「予算にも遊水地みたいな“受け皿”が要るんだな」


AIが、わずかに沈黙した。


『いい比喩だ』


「今日、褒めるな」


『重要なところだからな』


予算の受け皿がないと、補助輪は制度の水路を流れていけない。


実証事業の枠からこぼれる。


担当部署の境目で止まる。


年度末で消える。


「水を受ける雨庭があるなら、事業を受ける予算庭も要るのか」


『言葉は少し変だが、発想は近い』


「予算庭」


『定着するかは分からない』


「やめておこう」


第4節 実証事業の次に必要なのは、「続ける事業」


「でも、実証って大事だろ?」


『大事だ』


「最初の一歩として」


『そう』


ミストを本当に動かしてみる。


雨庭に水がどれだけ溜まるかを見る。


遊水地にどのように水を入れるか試す。


港の水温図を、実際に使ってみる。


「やってみないと、何も分からない」


『だが、実証だけでは続かない』


「実証事業って、“試す”ことが目的だもんな」


『そう』


「補助輪に必要なのは、“試したあと、続ける”こと」


AIが、画面に二つの書類を並べた。


左。


実証事業報告書。


効果がありました。


課題が分かりました。


今年度で終了します。


右。


継続運用計画。


誰が保守するか。


誰が予算を持つか。


何を記録するか。


次年度に何を直すか。


三年後に何を見直すか。


「右側がないと、補助輪は一回だけのイベントになる」


『第5部からの答えだ』


「実証は、始まり」


『継続は、別の事業だ』


「ここ、かなり大事だな」


補助輪を入れる前に、いつ終わるかだけでなく、終わったあと、誰が続けるかを決めておく。


「実証のゴールは、報告書じゃない」


『次の夏に、また動くことだ』


「これ、かなり第7部っぽいな」


『制度と暮らしのつなぎ目だからな』


実証事業は、必要だ。


試すことには意味がある。


小さく始めることにも意味がある。


でも、実証をしただけでは、補助輪は次の季節へ渡らない。


報告書を書く。


課題を整理する。


使った人の声を残す。


費用を見積もる。


担当を分ける。


保守の線を引く。


次年度の枠へつなぐ。


「実証から継続へ渡す橋が要る」


『そうだ』


「橋がないと、三月末で川に落ちる」


『比喩としては雑だが、近い』


第5節 予算は、未来の季節へ渡す手紙


「なんか、予算の話なのに少し詩的になってきたな」


『年度末だからな』


「意味分からない」


俺は、会議室のカレンダーを見た。


三月。


四月。


夏。


「今、三月に書いてる数字が、夏の駅前の霧になる」


『そうだ』


「今、会議室で決める役割が、豪雨の日の雨庭の手入れになる」


『そうだ』


「今、担当を決めることが、漁港の秋の水温図の更新になる」


『そうだ』


予算表の一行。


担当者の名前。


保守費用。


共同枠。


引き継ぎの欄。


それらは、ただの事務ではない。


「未来の季節に渡す手紙みたいなものか」


『いい言い方だ』


「また褒めた」


『三月に書かれた数字は、七月の暑さに返事をする』


「それ、かなり好きだな」


『使っていい』


「使う」


三月に書かれた数字は、七月の暑さに返事をする。


三月に残した引き継ぎは、八月の担当者を迷わせない。


三月に決めた点検費用は、九月の豪雨の前に設備を見直す時間になる。


三月に共有した水温図の更新手順は、秋の漁港の判断へ渡る。


「年度末って、終わりの月に見えるけど、実は次の季節への投函日なんだな」


『かなり詩的になってきた』


「予算なのに」


『予算なのに』


第6節 予算年度というラスボスに、補助輪は勝てるのか


「最後に、正直な質問」


俺は、画面を見た。


「共同枠を作る。役割を分ける。継続運用計画を書く。それで、予算年度というラスボスに勝てるのか?」


AIは、少しだけ考えた。


『毎回勝てるとは限らない』


「だよな」


財政が厳しい年もある。


担当が変わる年もある。


もっと目立つ別の問題が出る年もある。


補助輪の効果が数字で説明しにくい場合もある。


「結局、切られる可能性はある」


『ある』


「じゃあ、何のためにやる?」


『“なんとなくある事業”から、“止めると困る仕組み”へ変えるためだ』


俺は、少し黙った。


『補助輪が、暑さの日に人が休める場所を作り、豪雨の日に避難の時間を作り、港で仕事の判断を前へ出していると分かれば』


「“前例がない”だけでは切りにくくなる」


『そう』


「記録が要る」


『要る』


「使う人の声も要る」


『要る』


「誰が困るかも、見える必要がある」


『要る』


「第5部でやった全部が、予算年度のラスボス戦に必要なんだな」


『第7部の最初の壁だからな』


俺は、最後のメモを開いた。


――補助輪は、三月末で消える実証ではなく、次の季節へ渡す仕組みにする。


「第7部第2話、これで締めるか」


『次は、予算を使う人と、予算を決める人のあいだにある“数字の壁”を見るか』


「また嫌なボスが来る」


『補助輪は、自然だけでなく、説明資料とも戦う』


「第7部、地味に一番ハードモードじゃないか?」


『現実の難易度は、だいたいそこにある』


「つらいな」


『だが、操作不能ではない』


「第6部の言葉を持ってくるな」


『大事だからな』


俺は、会議室のカレンダーをもう一度見た。


三月。


四月。


夏。


補助輪は、自然の季節で必要になる。


でも、制度の季節で止まりやすい。


だから、制度の季節を越えるための補助輪も必要になる。


最後に、もう一行を書いた。


――三月に書かれた数字は、七月の暑さに返事をする。


第7部第2話は、ここで区切る。

第7部第2話では、「予算年度」と「補助輪の継続」をテーマに描きました。


ミスト、雨庭、遊水地、水温図のような補助輪は、自然の中では暑さや水や海の変化に向き合います。


しかし、制度の中では「実証事業の終了」「担当部署の不一致」「予算枠がない」「前例がない」といった理由で止まりやすい存在でもあります。


この話数で描いたポイントは、主に三つです。


自然の季節と制度の季節は、ずれている

ミストは夏に必要で、雨庭や遊水地は豪雨の季節に必要になります。


しかし、その継続は三月の会議室で決まり、四月の予算切り替えで止まることがあります。


補助輪が必要になる季節と、予算が決まる季節のずれが、継続を難しくします。


補助輪は、自然の季節で必要になる。


でも、制度の季節で止まりやすい。


このずれが、第7部第2話の中心にあります。


一つの部署だけでは、補助輪を支えにくい

ミストは、商店街活性化、防災、暑さ対策、都市整備、健康など複数の目的にまたがります。


そのため、一つの部署に全部を任せるのではなく、目的と費用を分けて支える「共同枠」の考え方が必要になります。


第6部で描いた「負担を一人に集中させない」という補助輪の考え方が、予算にも入ります。


予算にも、水を受ける遊水地のような受け皿が必要になる。


第7部では、その視点も見ていきます。


実証事業の次には、継続運用計画が必要

実証は、補助輪を試し、効果と課題を知るために必要です。


しかし、実証報告書だけでは次の年に補助輪は動きません。


誰が保守し、誰が費用を持ち、何を記録し、いつ見直すかを決める「継続運用計画」があって初めて、補助輪は次の季節へ渡っていきます。


実証のゴールは、報告書だけではありません。


次の夏に、また動くことです。


第7部第2話は、予算表の一行や担当者の名前が、未来の夏のミスト、豪雨の日の避難時間、港の判断へつながることを描く回でした。


補助輪は、三月末で消える実証ではなく、次の季節へ渡す仕組みにする。


三月に書かれた数字は、七月の暑さに返事をする。


この二つが、第7部第2話の中心になります。


次回は、予算を使う人と、予算を決める人のあいだにある「数字の壁」を見る回になりそうです。


補助輪の効果をどう説明するのか。


何を数字にし、何を数字だけでは取りこぼすのか。


第7部は、自然だけでなく、説明資料とも戦っていきます。


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成:リアル(Perplexity)

校正・文体調整:G(ChatGPT)

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