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冬の間の村の護衛  作者: ナロースタンス


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 夜明けが近く空が白みがかってくる。そろそろ村の護衛の交代の時間が迫っている。村の入口に行かなければならない。

 <魔術の手>を発動し左手の手首から先を魔術エネルギーで作り出す。

 次いで<アイテムボックス>から水袋を取り出し中の牛乳を飲む。中身の牛乳は<牛乳作製>のスキルで作ったものでスキルの恩恵により通常の牛乳の美味しさにプラスして生命力を上げる効果がある。毎日飲むことで死ににくくなっていく朝のルーティーン。能力値が上がり腹の底から力が漲る。

 次に<魔術の足>のスキルを発動させ、右足の膝から下を魔術エネルギーで作り出す。<魔力感知>を使わないと目には見えない右足で地面を踏む。失われた右足が戻ったような確かな手応え。

 <魔術の目>を発動し失われた右目を魔術エネルギーで作り出す。正確にかけ直して新しく作り出した。

 土をかけ水もかけて焚き火の火を消す。煙が消えたのを確認し座っていた丸太を<アイテムボックス>に入れ、村の入口へ向かって歩き出す。

 村の入口には村の自警団員が2人警備していたが、冒険者の交代要員はまだのようなので離れてしばらく待つ。

 待っている間に歩く雑草が5体近づいてきたので<魔術の矢>を放つ。矢状に変化した魔術エネルギーが歩く雑草に当たり全て倒す。歩く雑草は小学生低学年程度の力しかないので大人ならサッカーボールキックするだけで倒せる最弱のモンスターとしてよく知られている。子供でも棍棒で思い切り殴れば倒せる。

 倒された歩く雑草は灰色になりボロボロになって崩れさった。それから白いモヤとなり一部はこちらに吸い込まれ、残りの大部分は森の方へ飛んでいった。

 ドロップ品は美味しい草。食べれば生命力が上がり死ににくくなる。ドロップ品は薄くて透明な膜に覆われているので魂力を消費して解除する。小腹が空いていたのでムシャムシャと立ったままその場で食べる。美味しい草の名前に恥じない美味しさが口の中に広がる。

 まだ交代要員は来ない。しばらく待つと今度は走る雑草が10体近づいてくる。走る速さは小学生高学年程度。強さもそのくらいなのでやはり子供でも対処可能なモンスター。今度も<魔術の矢>で問題なく倒す。ドロップ品も変わらない。ムシャムシャと食べ尽くす。

 今後についてしばらく考えているとようやく交代要員が来た。やる気のない新人冒険者たちだ。しかし、人数が足りない。サボりか何かか知らないが詮索するつもりもない。手短に昨夜のモンスターの襲撃状況について話交代した。

 村の中心の広場へ行く。近づいてくると他の家より少しばかり立派な村長の家と宿屋が見えてくる。この広場は村の中心にあり比較的広く場所をとられており、行商人が村で商売する時にはここを使う。つまり、複数の馬車が余裕を持って使える程度には広く井戸端会議の中心地らしく広場には井戸もある。ここから各家が水を汲み上げて自分たちの家へと持っていくのだ。今は何人かの子供が井戸から水を汲み上げている。母親に言い付けられでもしたのかブーブー文句を言っている子供もいるし、一度で水汲みを終わらせようとしたのか重たそうにフラフラしながら家に向かって水を運ぶ子供もいる。

 村長の家へ行き1日の報酬銀貨1枚を貰う。昨夜のモンスターの襲撃状況について話し、モンスターの間引きとダンジョン探しのための森へ入る許可を貰う。村長からは森の木を傷つけないことと薬草類をとらないよう約束させられた。森の木や薬草類は村人の収入源なのなら当然の判断。

 それに、森がなくなると雨も降らなくなり砂漠化してしまうので森を守ることも重要だ。船を作ったり公衆浴場の湯を沸かすために海岸付近の森を伐採したがために大陸の中心に雨が運ばれなくなり(雨は森から森へ運ばれるので)雨が降らなくなり砂漠化してしまった地域や国の話は行商人などを通して知られている。

 他にも木を伐採したがために下流にある村や農地が鉄砲水などの水害の餌食になる話など。外の情報はそうして伝えられる。信じる信じないはともかくとして自分たちに関係のある話は命に関わるので真剣に聞き検討もする。関係なさそうなら専門家の話を鵜呑みにしてしまうこともある。井戸端会議や酒場でそのような村人たちを見かける。

 村長もそのような村人の1人だ。村の存続に関しては真剣に話を聞いてくれる。だから今回の森での調査も割りとスムーズにすんだのだ。村長以外の権力闘争のために村人の命や生活をないがしろにし妨害し足を引っ張ることを優先するような一部の野党のような権力者や大きなおしゃぶり坊やのような最高権力者の愚民(モンスタークレーマーの姿)がいないのも良い結果を生んでいる。早目早目に手を打つのが良いと村長が判断すればそうなる。

 この先はどうなるかわからないが。

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