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第四章 揺らぐ誓い

隣国の王子がリシェルに求婚し、宰相も政略のためにそれを推す。

姫としての立場と、自分の心との狭間で揺れるリシェル。

カティアは「そばを離れない」と誓うが、その親密さを宰相に目撃されてしまう。

二人の絆に、初めて「外部からの影」が落とされるのだった。

王城の広間には、豪奢な絨毯と煌びやかなシャンデリア。

その中央に、他国からの使者が立っていた。若き王子。

背筋を伸ばし、リシェルを見据える目は熱を帯びている。

「リシェル姫。どうか我が国へ嫁がれてほしい」

はっきりとした言葉に、空気が凍りつく。

カティアの手は剣の柄に触れ、無意識に力がこもる。

宰相は待ってましたと言わんばかりに口を開いた。

「姫様。王国の未来のためです。ぜひお受けくださいますよう」

リシェルは小さく目を伏せた。

――政略のための結婚。自由も恋も奪われる。

それでも「王女」としては、拒むことが許されない。

「......ご返答は、少しお時間をいただきたく存じます」

震える声を隠し、リシェルは笑顔を作った。

広間を出ると、待ち構えていたカティアが跪いた。

「姫様……」

その声に耐えきれず、リシェルは一歩、二歩と後ずさる。

「私……どうしたらいいの?」

カティアは言葉を選んだ。

騎士としては、「王国のために」と告げるべきだ。

だが一人の少女としては――彼女を抱きしめて「行かないで」と叫びたい。

「……私は、姫様のおそばを離れません」

やっとの思いで絞り出したその言葉に、リシェルは目を潤ませる。

「本当……? どんな道を選んでも?」

「ええ。この命が尽きるまで」


二人の影が、差し込む月光に寄り添った。

だがその光景を、暗がりから冷たい視線が見ていた。

――宰相である。

その目には、疑念と不快の色が宿っていた。


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