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第二章 追憶の灯

カティアとレオンは、宰相の生存を追う任務の中で再会する。

一方、王城に残るリシェルは、胸の中に「不安」と「嫉妬」を感じ始める。

調査中、カティアたちは宰相の姿を目撃するが、

彼が逃げる際に持っていたのは、リシェルの指輪――。

三人の運命は再び交錯し、陰謀の火が静かに燃え上がる。

王城の夜は静かだった。

だが、その静けさの奥で、何かが軋むような音がするのをリシェルは感じていた。

「……カティアが、危険な任務に出ている?」

小さく呟いた声は、誰にも届かない。

軽く身震いをした。

宰相の生存を確かめる任務は、機密中の機密。

それを知らされたのは、ほんの一握りの人間だけ。

女王である彼女でさえ、詳しい報告を受けられないほどだった。

それでもリシェルは信じていた。

カティアなら、必ず戻ってくる。

――けれど、その「信じている」という言葉の裏で、胸の奥が痛んだ。

その痛みの正体を、まだ彼女は知らない。


その頃、王都の外れ。

カティアとレオンは、薄暗い森を抜け、密輸商人のアジトを見張っていた。

焚き火の明かりが、ふたりの顔を赤く照らす。

「レオン、なぜあなたがこの任務に?」

問いかけると、彼は少しだけ苦笑した。

「陛下からの命令というのもあるが……俺自身、確かめたいことがある」

「確かめたいこと?」

「――君の本当の強さと、俺が君をどう思っているのか、だ」

不意に向けられたまっすぐな視線に、カティアは言葉を失った。

だが、その沈黙の中で、木々の間をすり抜ける影があった。

「...?っ誰かいる!」

カティアが剣を抜く。

次の瞬間、赤黒い外套の人物が飛び出した。

月明かりに照らされたその顔は――

「宰相!?」

カティアの声が森に響いた。

だが、男は何も言わず、煙のように闇へと消えていく。

その手には、見覚えのある銀の指輪。

――リシェルの、ものだった。

追おうとするカティアを、レオンが制した。

「罠かもしれない。今は動くな!」

カティアは唇を噛みしめたまま、視線を宰相の消えた方角へ。


 「……陛下の身に、何かが起こっている」

その夜、城に戻ったカティアが目にしたのは、

王座の前で泣き崩れるリシェルの姿だった。

彼女の指には、銀の指輪が――もう、なかった。

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