第二部・第一章 影の残響
戦後三ヶ月、王国に平和が訪れる中で、宰相の生存を示す影が現れる。
女王リシェルは不安を覚え、騎士カティアに調査を命じる。
その任務に加わったのは、かつての戦友レオン・ヴァルディア。
彼はカティアに特別な想いを抱いており、三人の関係に新たな火種が生まれる。
再び、平穏の裏に「戦の残響」が鳴り始める――。
戦の終結から三ヶ月。
王都は平穏を取り戻したかに見えたが、その裏で不穏な噂が囁かれていた。
――夜ごと、宰相の亡霊が王城をさまよう。
それは恐怖というより、「まだ終わっていない」という警鐘のようだった。
リシェルは女王として国を治めながらも、時折、遠い目をしていた。
「……あの戦で、すべて終わったと思っていたのに」
カティアはそんな彼女を静かに支え、再び剣を手にして城の治安維持を任されていた。
ある夜。
城下を見回っていたカティアの背後から、懐かしい声が響く。
「……久しいな、カティア・アーデルハイト」
振り返ると、金の瞳を持つ男が立っていた。
王国騎士団第二部隊隊長――レオン・ヴァルディア。
戦場で何度も共に剣を交えた、頼れる先輩であり、かつての戦友。
「あなたに、女王陛下からの極秘命令です。――宰相の行方を追え。」
その一言に、空気が凍りつく。
処刑されたはずの宰相は、どうやらまだ生きている。
そして彼の周囲には、闇商人や国外勢力の影がちらついていた。
カティアは任務を受け、レオンと共に秘密裏の調査を始める。
だが、その行動を知ったリシェルの胸には、不安と嫉妬が入り混じる。
――レオン。彼はカティアを「守る」ために近づいている。
けれど、その瞳に宿る感情は、決して忠義だけではなかった。
夜風が吹き抜ける王都の塔の上で、三人の運命は再び交差する。
そして、闇の奥で誰かが微笑んだ。
「ようやく……始まるのだよ。真の“暁”が――」




