第十一章 剣の誓い
カティアと隣国王子の死闘が続く中、宰相の裏切りによりリシェルが命を狙われる。
カティアは身を挺して彼女を守り、深手を負いながらも王子を討ち取る。
戦は終わりを迎え、国に朝が戻るが、宰相は逃亡。
平和の影で新たな不穏が芽吹き、二人の物語は次なる局面へと向かう。
激しい戦の最中、炎と煙が空を覆っていた。
カティアと隣国王子の刃がぶつかり合い、鋭い金属音が鳴り響く。
「騎士風情が、姫の隣に立とうなど――!」
王子の剣が重く振り下ろされ、カティアは地を滑りながら受け止めた。
「くっ...」
腕が痺れる。血の味が口に広がる。
だが、背後にいる姫を守るために、退くことはできない。
「私は、彼女の誇りを守る剣です!!」
腕の痛みに思わず声が震えたが、確かな意志がこもっていた。
その瞬間、リシェルが祈りの言葉を口にする。
彼女の手から淡い光が広がり、負傷した兵の体を包んでいく。
聖女のようなその姿に、兵たちは再び立ち上がった。
「姫様のために! 国のために!」
士気が戻り、戦況は次第にこちらに傾いていく。
だが、宰相が密かに指令を出していた。
――“この混乱に乗じて、姫を討て。罪は敵軍に着せろ。”
裏切り者の影が、戦場を這っていた。
リシェルが敵兵を癒やしていたその背後に、刃が閃く。
「姫様ッ!!」
カティアが咄嗟に振り返り、身を投げ出した。
「ぐっ...」
鋭い痛みが走る。
刃は彼女の肩を深く裂き、血が鎧を染めた。
「カティアっ!!」
リシェルが駆け寄る。
その目に涙が滲むより早く、カティアは微笑みながら剣を構え直した。
「大丈夫です。……あなたを守るって、誓いましたから」
その言葉に応えるように、空を裂く閃光が走った。
敵王子の兜が弾け飛び、カティアの剣が勝利を告げる。
「終わ...った?」
兵たちの歓声と共に、炎の中に朝日が差し込む。
戦は終わったのだ。
「姫様、宰相を...宰相を探しましょう」
「ええ、民を危険に晒したのだからそれ相応の処罰をしなければ」
だが宰相の姿はすでにそこになかった。
「一体どこに...厄介なことにならなければ良いのですが...いっ!」
「カティア!?肩が...官医を!」
カティアの肩からおびただしい量の血が流れ出ていた。
「姫、様...私は大丈夫です、か...ら」
「カティア!!」
そういってカティアは倒れた。




