プロローグ
幼い王女リシェルは、ある日城に侵入した刺客に命を狙われる。
その前に立ちはだかったのは、同じ年頃の少女カティア。
小さな身体で必死に剣を振るい、命を賭けてリシェルを守り抜いた。
カティアは傷を負いながらも「姫を必ず守る」と誓い、リシェルは涙ながらに「あなたが必要」と告げる。
こうして二人は、まだ幼いながらも互いに決して消えない絆を刻んだ。
――それは、やがて「愛」へと変わる運命の始まりであった。
燃えるような夕暮れの空の下、城の中庭に血の匂いが漂っていた。
小さな影がひとつ、倒れ込む。白いドレスを汚しながら、必死に泣き声を押し殺している少女——
王国の第一王女、リシェル。
リシェルを庇い敵に剣を向ける、まだ幼さを残す少女の騎士。
鍛錬で鍛えられたとはいえ、十にも満たない身体で振るう剣はあまりに頼りない。だがその瞳には、炎のような決意が宿っていた。
「姫には指一本触れさせない!」
侵入してきた刺客の刃が、きらめきを放つ。
少女騎士――カティアは必死に剣を受け止め、細い腕を震わせながらも一歩も退かなかった。
鋭い衝撃。
刃が頬をかすめ、鮮やかな血が滴る。
痛みよりも先に、リシェルを守らねばという想いだけが胸を満たす。
「カティア……やめて! 逃げて!」
「嫌です、姫。私は……姫を守りぬくと誓ったのです!」
剣と剣がぶつかり合い、火花が散る。
やがて城の兵が駆けつけ、刺客は捕らえられた。
その場に崩れ落ちるカティアの小さな身体。リシェルは駆け寄り、震える手で彼女の血を拭った。
「お願い、死なないで......!わたしには、あなたが必要なの......」
涙に濡れたその声に、カティアはかすかな笑みを浮かべる。
掠れた声で、それでも真っ直ぐに言葉を紡いだ。
「……姫。必ず……あなたを、守ります。命に代えても」
そうして二人は、まだ幼いながらも互いの心に、決して消えない誓いを刻んだ。
――それはやがて、愛へと変わる運命の始まりだった。
『ラブソングにはならなくて』とは全く違ったコンセプトで書いてみました。
できるだけ、高頻度で投稿していきたいと思っています。
リシェルとカティアを見守ってください。