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第77話 ドラゴンロード ~マリーサイド~

竜天島へついたマリーたちは、オムニスがいると言われる島の中心部に向かい歩を進めていきましたわ。

竜の巣窟と言われるだけあって、行くところ行くところ、やっぱりドラゴンが出てくる訳ですが……


「手始めに、ファイアドラゴンが出てきたぞ。

 おぬしとマリーに任せたのじゃから、きちんと倒すんじゃぞ。

 まぁ、苦戦するなら苦戦するでワシは全然かまわないんじゃがのぅ」


「簡単に言うよ。

 このドラゴンだって相当強いんじゃないの?」


「まぁ、おぬしなら確かに強い相手かもしれんがのぅ。

 マリーなら大丈夫じゃろ」


「はい、マリーは問題ないですわ」


「ほれみろ。

 じゃ、まずおぬしからな」


ねえさまはアグリを戦わせようと前へ引っ張り出して、ファイアドラゴンの前に捨て置きましたわ。

ちょっと厳しいのではないかしらと思いますが、ねえさまも何か考えがあってのことでしょう。


「グルルルル……」


ファイアドラゴンが唸り声を上げ、アグリに対してファイアブレスを放ってきましたわ。


「危ないですわ」


慌ててマリーが助けに入ろうとしたのですが、ねえさまに止められます。

アグリも間一髪でファイアブレスを避けていましたわ。


「マリー、慌てるでない。

 あやつも経験を積まんと強くなっていかんしのぅ。

 本当に危なくなるまではあまり手出しなくてもいいのじゃ」


「……はい、わかりましたわ」


アグリの経験を積ませて強くなっていただかないといけないのは確かです。

ねえさまはそこまで考えてらっしゃるのですね。


「ゾルダ!

 危ないじゃないか!

 いきなりドラゴンの前に置きやがって」


ファイアドラゴンの攻撃を避けたアグリがねえさまに対して文句を言っていますわ。

考えがあっての行動だと理解してらっしゃらないようで……


「おぬしなら倒せると思ってのぅ。

 戦うのが嫌なら、ワシが出ていっても構わんのじゃぞ」


「わかったよ。

 俺が行けばいいんだろう」


アグリは剣を構えて、ファイアドラゴンに立ち向かっていきます。

ファイアドラゴンもブレスで応酬をしていますが、アグリはぎこちない動きでそれをかわしていきます。

まだおっかなびっくりのような動きですわ。


「避けてばっかりでは、ドラゴンは倒せんぞ」


さらにねえさまはアグリを嗾けていきます。

アグリは文句を言いながらも、避けては攻撃を繰り返していきます。

確実に体力を削ってはいるものの、致命傷を負わせるところまではいきません。


「相変わらずチマチマやっておるのぅ。

 さっさとトドメを刺さんか」


「俺だって全力でやっているよ!

 それだけドラゴンが強いんだって!」


そうアグリが叫ぶと、アグリばかりを見ていたねえさまが、ドラゴンの姿を見て、うなずきはじめました。


「それもそうじゃのぅ。

 おぬしにしては良くやっておるかのぅ。

 頑張った頑張った」


と仰ってアグリを褒めましたわ。

でもアグリはそれを素直に受け取らず


「どうせ俺はへっぽこな勇者だよ。

 ドラゴン一匹にこれだけ時間かかっているんだからな」


と言って、卑屈になっていましたわ。

ただそこまで卑屈になることはないとは思いますの。

実際にアグリは良くやっていますわ。

ねえさまのスパルタについていっているのですから。


「アグリ、そんなことないですわよ。

 あともう少しで倒せますわ」


アグリに対してマリーからそう声をかけましたわ。

すると、アグリうなずき、もうひと踏ん張りして、なんとかファイアドラゴンを倒すことが出来ましたわ。


「ふぅ、ふぅ、ふぅ……」


息切れしているアグリに対してねえさまは


「ワシの力を借りることなく良く倒せたな。

 正直荷が重いものと思っていたがのぅ……」


と仰って、ニヤニヤしながらアグリの方を見てますわ。


「ど……どんなもんだい……

 俺も……やる……時は……やるって……」


相当疲れている様子のアグリですが、少しだけ晴れやかな顔をしていましたわ。

今まではマリーやらねえさまが手を出していたこともあり、一人でやり切ることはなかったので、嬉しかったのでしょうか。


「さぁ、次へ行くぞ次。

 さっさと行かんとのぅ」


アグリの事はお構いなしに進もうとするねえさま。

流石に少し休憩したほうがいいかなとマリーは思ったので


「ねえさま、アグリがもう少し回復するまで待ちませんか?」


と提案をしてみた。

するとねえさまは


「マリーがそう言うなら仕方ないのぅ」


と仰っていただき、少しだけ休憩を取りました。

その間にねえさまと少しだけ話をさせていただきました。


「ねえさま、アグリに対して何か事を急ぎ過ぎておりませんか?

 確かにマリーたちの封印を早く解きたいのはわかっておりますが……

 アグリが死んでしまっては元も子もないですわ」


「無論、ワシもそこはわかっておる。

 だからギリギリのところで助けるようにしておる。

 あやつもなんだかんだ言って、それについてきておるしのぅ。

 ちょっと面白くて、そのギリギリを見定めてしまっておるが、死なぬ程度とは考えておるぞ」


「それであればいいのですが……」


多少行き過ぎるところがあるように見えてはいましたが、ねえさまなりの考えなのかもしれません。

マリーが復活する前から共に行動してきている二人。

絆のようなものがねえさまとアグリの間にあるように見えて、羨ましく思いますわ。


しばらく休憩した後に、再び島の奥へと歩き始めました。

行く先々に出没するドラゴンたち。

ドラゴンロードと言った感じでしたわ。

アイスドラゴン、アースドラゴン、ウォータードラゴン、サンダードラゴンと……

さすがにアグリ一人で対処は難しくなってきたため、マリーもお手伝いさせていただきましたわ。


アイスドラゴンと遭遇した際ーー


『このアイスドラゴンって途中に居たアルゲオと一緒か?』


『アルゲオはこいつらの上位種のはずじゃ。

 あいつらよりは格段に弱いぞ』


『いやいや、十分強いって……』


『ここはマリーが相手しますわ。

 アルゲオの時に上手く倒せませんでしたから。

 その借りを返させていただきますわ』


アルゲオの時の失敗を返させていただくために、マリーも全力で相手させていただきましたわ。


ウォータードラゴンの時はーー


『いやーー、このうねうねしたのは……

 マリーは苦手ですわ』


『俺はもう動けない……』


『しょうがないのぅ……

 ワシが少し手伝うか……』


今、思い出しただけでも震えが止まらないですわ……


そんなこんなもありましたが、歯向かってきたドラゴンたちを蹴散らして、ようやく島の中心にたどり着きましたわ。

これだけドタバタやってきたのですから、オムニスというドラゴンはさぞや慌てているのかと思っていましたが……

そこに居たのは我関せずといった感じで眠っているドラゴンでした。

作品をお読みいただき大変ありがとうございます。

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