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第40話 ゾルダの正体 ~フォルトナサイド~

さっきのクロウとゾルダの話はなんだったのだろー

『フーイン』とか『マオー』とか言っていたけどー


きれいさっぱり無くなった砦の半分を眺めながら思い出す。


あの二人はどう見ても知り合い的な感じだったよなー

少なくともクロウはゾルダのことを知っている感じだったなー

以前どこかで会ったのだろうか……


でもあの怖がり方は演技だったのか本当だったのか。

本当なら以前会っていて、ゾルダにコテンパンにやられたとかかなー


「フォルトナ……?

 大丈夫か?」


アグリが心配して声をかけてくれた。

こういうところは気が利くよねー


「ボクは大丈夫だよ。

 でも、この状態、どうしようねー」


「そうだな。

 どうデシエルトさんたちに報告したものか……」


アグリは頭を抱えだした。

まぁ、そうだよね。

これだけスッキリとした状態になっちゃったしねー


そう考えながらも、さっきのクロウとゾルダの話が気になっちゃう。


「あっ、そうそう。

 さっきのゾルダとクロウの話だけど……

 フーインとか、マオーとか言っていたけど、あれは何の話?」


アグリは慌てた顔で話し始めた。


「どこまで聞いていた?」


「うーん、そうだなー

 一応全部聞こえてたけど、意味がよくわからないところもあったから」


「そうか……

 なぁ、ゾルダ。

 話しても問題ないか?」


宙に浮き満足そうに眺めていたゾルダにアグリは確認する。


「ん? 何のことじゃ。

 別にワシは隠しているつもりはないぞ。

 もう聞かれたんだし、隠すこともないのじゃ」

 思う存分、話してもいいのじゃ」


「了解」


アグリは確認が終わると、ゾルダのことを話しはじめた。

元魔王であること

現魔王を倒す目的が一緒だから共に行動していること

王様から貰った剣にゾルダが封印されていること

などなど


「えーっ、ゾルダが魔王だったの?」


もしゾルダが怒ってクロウと同じようになったらどうしよー

今までのこと、魔王に対して失礼じゃなかったかなー

あのこともこのこともどうしよー

大丈夫だったかなー


急に心配になってきてびくびくしながら、アグリの後ろに隠れてみる。

ゾルダは相変わらず不敵な笑みを浮かべている。


「今のところは利害一致しているから。

 何もしてこないよ……たぶん」


アグリは苦笑いしながらそう答えた。

確かに誰かれ構わず襲うのだったら、もう姿形もなくなっていただろなー。


「てっきりボクは強いから真の勇者様だと思っていた。

 で、アグリが、ゾルダを隠すための偽物ってことだと」


「ひどいな、その話。

 俺にもいろいろあって不本意なところもあるけど、これでも一応勇者らしい」


そこにゾルダが割り込んできた。


「その話は全くその通りじゃぞ。

 小娘の娘が言うことは全然ひどくない話じゃのぅ。

 理にかなっている話じゃぞ。

 現にワシよりおぬしは相当弱いぞ。

 それで勇者を語っておるんだからひどい話じゃ」


「なんだと!!

 俺だって好き好んで勇者をしているんじゃないし。

 それに勇者ってものは徐々に強くなっていくもんだ。

 ゾルダは元魔王なんだから、強くて当たり前じゃないか」


アグリとゾルダの言い合いは続いている。

でもゾルダもからかっているだけで、何かしようとしている訳ではないんだよなー

利害一致と言いながらもここまでいい関係を作ってきたんだろうなー


「二人にいろいろあったことはわかったからさー

 このことは母さんたちには黙っておくよ」


「ありがとう、助かるよ、フォルトナ」


アグリはボクに向かって頭を下げる。

もう、アグリは真面目なんだから―


「でもこれだけ強いのは納得だねー

 これじゃ、アグリの出る幕、無いじゃん」


「小娘の娘もようやっと分かってきたかのぅ。

 これだけ弱いとフォローする方も大変じゃ。

 もっとワシを褒め称えよ!」


「俺だってこれでも強くはなってきてるし」


不貞腐れた顔をするアグリ。

アグリも強いとは思うと、比較対象がね……

桁違いだからなー。

そりゃ、誰が比べても弱くなるよー


「で、いったんこの話は置いといてー

 この状況どうしようねー」


どうしようもこうしようもないんだけどねー


「これだけ何もなければ、何もないんだろうけど……

 念のため、俺はがれきの下とかを見て回りたい。

 何か他の手がかりがあればとは思う」


相変わらず律儀というかなんというか。

そこがアグリのいいところではあるとは思うけどー


「さてと……

 ワシの仕事はもう終わりじゃ。

 さっさと帰って、酒を飲むぞ」


「いや、もう少し待っていてくれ。

 クロウがなんでこんなことしたのか分かってないし。

 何かしらわかるような物があればいいんだけど」


これだけ跡形もないなら、何もないとは思うけどねー


「アグリの好きにすればいいと思うよー

 それまでボクは待っているから」


アグリはがれきの下に何かないか一生懸命探している。

ゾルダは宙に浮いたまま退屈そうにしている。

余りにも暇そうに見えたので、話しかけてみた。


「ねぇ、ゾルダ。

 魔王だったころのこと教えてよ」


「いい心構えじゃ、小娘の娘。

 まずはどこから話そうかのぅ」


アグリが探索を終えるまで、ゾルダの昔話に聞き入ったのだった。

作品をお読みいただき大変ありがとうございます。

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