第2話 ここはどこなんだ ~ソフィアサイド~
…………
……
………………
ふと気がつくと、薄暗いところだった。
周りには古めかしい鎧や兜、書物や宝石だろうかのぅ。
そういったものが置かれているような気がするのじゃ。
…………
…………
はて?
ここでワシは何しているんだったかのぅ。
「よいしょ」
起き上がろうとするが、身体が全く動かないのじゃ。
何が起きているのじゃ。
…………
…………
「ここはどこだったかのぅ。
何も覚えておらんのじゃ……」
…………
…………
たしか、ゼドがワシのところに来て、勇者を討伐したと勇者の剣や防具を持ってきたんだったかのぅ。
そして、その剣を鞘から抜いて眺めておったら……
はて?
その後、どうだったかな……
思い浮かぶのはゼドの不敵な笑みだけじゃ……
よく見れば、ここはワシが知らんところじゃ。
そしてなんでワシの身体が動かないのじゃ。
いったいワシはどうなっているのじゃ。
立っているような感覚はあるのじゃが……
周りも見えるし、目もしっかりと見えているようじゃ。
キョロキョロと周りを見渡す。
左奥の方に光るものが見えたぞ。
あれは……鏡じゃ。
視線を鏡に向けてみのたじゃが……
「??」
「????」
鏡には剣が映っているではないか。
あれ?
鏡はこっちを真っすぐ向いていおる。
こっちはワシがいる方向じゃよな。
「??」
「!!」
「!!!!」
「何じゃこりゃ」
ワシが剣になっているではないか。
そういえば……
ゼドが持ってきた勇者の剣とやらを抜いて見ていたら、直後にまぶしい光が出てきて……
ぬっ……
あやつ……
ワシを嵌めおったのか。
あれは封印の光かのぅ。
だからあんな笑みを浮かべていたのか。
ちぃっ……
してやられたかのぅ。
それに……
ワシの配下の4人どもはどうなったのじゃ。
そういえばあの時に姿はなかったなのぅ。
…………
……
…………
たしかあの時……
剣と共に兜や鎧などもあったような気がするのぅ。
であれば、ワシと同じくそれらに封印されたのかのぅ。
そうとしか考えられんのじゃ。
あの時、見た覚えがある兜や鎧はここにはなさそうじゃな。
となるとここにはあいつらはいなさそうじゃ。
周りの雰囲気からしても……
どうやらここはワシの城ではないかのぅ。
それに……
その時からどのくらい時が経っていたのかも分からんのぉ。
うーん。
今がどうなっているか、何かわかる手段はないのかのぅ。
そう思い、あちこち見回してみたのじゃが……
手掛かりになりそうなものはなさそうじゃ。
そうこうしているうちに、扉のカギを開ける音がした。
――ガチャ
扉が開くと数名の兵士が入ってきた。
暗かった部屋に灯りをつける。
ん?
どうやらあれは人間どもだな。
……
…………
ここは人間の支配する国かのぅ。
静かに見守っているとm兵士たちが話す声が聞こえてきたのじゃ。
「王様は何を持って来いと話されていたんだ」
とある兵士が一緒にきた奴らに確認をしているようじゃ。
「確か、勇者に渡す武器や防具と仰っていたはずだが……」
話を振られた兵士がそのような返答をしておった。
「それなら、これとこれとこれと……」
兵士二人が武器や防具を選びながら、だんだんこちらに近づいてきおった。
もしや……
これは外に出れるチャンスかもしれんのぅ。
「よし、ワシを連れていくのじゃ」
そう声に出してみたのじゃが……
どうやら兵士たちには聞こえていないようじゃ。
そうこうするうちに、ワシの目の前に来た。
「これもかな」
兵士がいいながら、剣であるワシを掴みおった。
よし、これで外に出れるのじゃ。
まだ剣から出れると決まったわけではないのじゃが、一歩前進じゃのぅ。
あとは、兵士どもは勇者と言っていたかのぅ。
そいつにこの剣、ワシを選んでもらおうかのぅ。
じゃが……声が出ないのに、どうやって選んでもらうんじゃ。
兵士に担がれながら、何か出来ることはないのかと考えていく。
ワシのオーラを出せるかのぅ……
「ふん」
力を込めるが、剣はうんともすんとも言わなかった。
ならば、これはどうじゃ?
「闇の炎」
魔法を唱えてみたのじゃが、こちらも反応がなかったのじゃ。
その後も、いろいろと試してみるのじゃが、何も起こらなかった。
「何故ワシの力を持っても何も出来ないのじゃ!!」
怒りがこみ上げて大声を出してみたものの、誰にも聞こえないので、虚しくなるのじゃ。
まぁ、こうなったらあとは出たとこ勝負じゃな。
作品をお読みいただき大変ありがとうございます。
・面白い
・悪くない
・気になる
・応援したい
などと思われましたら、是非ともブックマークと評価をよろしくお願いします。
評価は少し下に進んだところにある星マークからになります。
皆さんのブックマーク・評価・感想をお待ちしてます。




