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第113話 ここは……? ~シータサイド~

ふわぁ~~~~

なんかだいぶ寝た気がするな。


えっと……

おいどんは今まで何をしていたのだったかな……

さっぱり覚えておらんですわぁ。

寝すぎてしまったかもしれませんわぁ。


さてと……

ここはいったい……?

真っ暗で何も見えんですな。

身体の感覚も……

ふぅ、あまりないようですな。

うーん。

これまで何があったのか……


この暗さからして転移魔法を失敗した?

ううん。

さすがにこのおいどんに限ってそんなことはないですわぁ。

今までも失敗したことないですからな。

まぁ、ゾルダ様のあおりを食らったのならともかく……


あとはっと……

何か覚えていることはないか……

そういえば、ゼドの坊ちゃんが、おいどんのところに来たような気がしますわぁ。

なんか懇意にしている商人がいるとかなんとかで。


あっ……

なんとなく思い出してきたような気がしますわぁ。

確かア……アなんとかという商人だったかな。

珍しいガントレットが手に入ったとかなんとかで。

それを見せていただいていたような……


『シータ、ア◇♪#という商人から、珍しいガントレットが手に入ったと話があってな。

 お前はこういうの好きだったろうと思って持ってきてやった』


『ゼドの坊ちゃん、急に何ですか?

 おいどんは拳での戦闘ですので、ガントレットを使ったりはしますけれども。

 好きと言うほどではないですぜ』


『まぁ、いいからいいから。

 なんでも、力を増幅してくれて、身体強化もするらしいのだ』


『はぁ……

 ゼドの坊ちゃんがそこまで言うのであれば……』


あの日は妙にゼドの坊ちゃんが人懐っこく近寄っておいでだった気がするな。

普段は取り巻き以外とはあまり接しない方だったのですがなぁ。


それに見せてもらったガントレットも嫌な気配は感じるし、珍しい感じもしない。

それでもとゼドの坊ちゃんが強く勧めるので、腕に着けてみて……


ん?

そこから先が思い出せんですわぁ。

その後ずっと今まで寝ていたような気がしますわぁ。

いったい何があったのか、さっぱりですわぁ。


それにしてもなんだか外が騒がしいですな。

すると真っ暗な景色に、一筋の灯りが見え始めましたわぁ。

ぼやける視界に目を擦りながら周りを見ると、ゾルダ様のお姿が見えましたわぁ。

それにセバスチャンの旦那に、マリーお嬢も。

おいどんが寝すぎていて、何か大事なことをすっぽかしてしまったのか。


『みなさん、お揃いで。

 なんか、おいどんがまずいことをしましたかの?』


と声をかけてみるも反応がないですわぁ。

というか、みなさん、動いてもいないようですな。



それに……

あちこちと視界が動いて気持ち悪くなりますわぁ。

これは、おいどんが動いている訳ではなそうです。

いろいろとせわしなく動いているものに張り付いている感じですわぁ。


そうこうしているうちにゴーストらしき軍団が近づいてきたようですわぁ。

こいつらは……たしか、時空の狭間にいる奴らですな。

現世にも戻れず成仏も出来ずにおる奴らですわぁ。


こいつらは、自分たちと違うものがここにくると、大勢で寄ってたかって魂を抜き取ってしまう。

そして、彼らと同類のものにしてしまう厄介な奴らだ。

この場から早く脱出しないといけないのにゾルダ様たちは一向に動かないですわぁ。

まぁ、ゾルダ様にとったら恐るるに足らずではあるものの、これだけ多くいると……

厄介なのは変わらないのですがな。


それにしてもなぜにここにいるのかがわからんですわぁ。

おいどんがこんなミスをするとは思えないし……

そう考えると、他の誰かがやったのかもしれないのですが……


薄暗く広がる空間に男の声で剣を振り回す音がする。

それに伴って身体が右へ左へと動かされる。

しばらく様子を見ていたのだが、本当にこの人は何もわかってないな。

おいどんがしっかりとやらねば……


そう強く願った瞬間に、周りが金色の光に包まれた。

包まれた光がシューっと消えると、おいどんの目線が明らかに変わっていた。

周りを見回すと、先ほどまでいたゴーストたちの数も減っていた。


そして、聞こえていた声の主と思われる坊ちゃんがいた。

その坊ちゃんが身に着けていたのが、あの時のガントレットのようだ。

ゼドの坊ちゃんの時の記憶が不確かだったことも考えると、

おいどんはあのガントレットに閉じ込められていたのかもしれませんなぁ。


「ここは……?」


さらに周りを見るとゾルダ様たちが、固まって立っていた。

あぁ、これは転移魔法を失敗した時になる特有のあれかもしれませんなぁ。

状況からすると、ゾルダ様が転移魔法を使って失敗したってところですかなぁ。


「あぁ、なんとなく察し。

 ゾルダ様がまたやらかしましたね」


ボソッとつぶやいた後に、そこにいた坊ちゃんに


「おい、そこの坊ちゃん。

 ゾルダ様たちをおいどんの近くに連れてきてくだされ」


みんなを集めるように言う。

なんだか狐につままれたような顔をしているその坊ちゃんに


「ほれ、早くしなされ、坊ちゃん」


と急ぐようにと伝える。

不思議そうな顔をしつつも、おいどんの話は聞いてくれるようだ。

根が真面目なのでしょうな。


「こ……これでいいのか?」


ほどなくして、坊ちゃんはみんなをおいどんの近くに持ち運んでくれた。

それからまたゴーストを倒しに行きそうになったので


「はい、ありがとうですな、坊ちゃん。

 坊ちゃんもおいどんの近くに来てくだされ」


と、坊ちゃんの手を思いっきりひっぱった。

吸いつくようにおいどんの胸板に顔がぶつかった。


「痛っ……」


坊ちゃんが鼻を擦っているのが見えましたが、気にせずに


「じゃ、いきまっせ。

 ワープ」


転移魔法を唱えてこの空間から立ち去った。


飛んだ先はおいどんの知らない場所でしたが、元居たところなのでしょう。

狭間からの転移はだいたい元の場所に戻りますしな。

ゾルダ様たちもきちんと戻ってこられたようで、何よりですわ。

失敗の影響も消え始めたようで、良かった良かった。


「えーっと、君は誰?」


坊ちゃんが不思議そうな顔をしておいどんのことを見ております。


「おいどんですか?

 おいどんは、シータと言います。

 ゾルダ様に仕えしものですわ」


精一杯の笑顔で坊ちゃんにそう答えましたわぁ。


そういえば、この坊ちゃんはおいどんは知らない人ですが、新たな従者でしょうかな。

何にしてもまたゾルダ様のお役に立てそうで何よりですわぁ。

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