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#2 走れぇぇ幼き姉妹

宜しくお願い致します。



「どこに逃げるんだ!?」


走りながら真吾が聞いてくる。


「お前んちの親が経営してるスーパーだ!」


食料も飲み物もあるし、正面は全面シャッター

で両側ビルに挟まれてるから、側面からの

侵入を防げると説明。

守んちはどうすんだと聞く真吾に、


「うちはオヤジの海外出張に母さんもついて

 行ったからほっとくしかねぇんだ。」


我が家の事情を簡潔伝える。


「聞いてねぇぞ!」


「当ったり前だ、言ってねぇんだから。」


因みに俺は一人っ子である。

だからか俺の両親は幼馴染(ふたり)を常に

歓迎するんだよ。

俺は3日前からのお一人様エンジョイ生活を

楽しんでいる。

至福のお一人様タイムなのに教えたら 

幼馴染(ふたり)はウチに入り浸るからな。

男子高校生にプライベートタイム必須じゃぁ!


「ねっ、ねぇ、ナニがおきてるの?」


正気に戻った明が状況を聞いてくる。


「分かんねぇよ、逃げねぇと殺される。」


走り難いから手を離すぞって言って離す。

明の奴…ナンカ変な顔したぞ。

よし、走りやすくなった。


「目的地はスーパースサの屋だ、走れっ!」


先頭を真吾、真ん中を明で殿を俺が走る。

浅草二丁目近くのカッパ橋通りにあるファミ

レス付近から浅草六丁目、観音裏の先、吉原

近くまで移動しなくてはならない。


学校帰りで鞄を持って走っている。

棄てたいけど、盾替わりになるから我慢だ。


「クッ苦しい、少し休みたい。」


明が音を上げた、仕方ない。


「真吾、ペースを落とすぞ!」


そこら中で悲鳴と怒号、そしてギャギャと

奴、ゴブリンの声が聞こえる。


「真吾、パン屋アンデスの角から曲がるぞ!」


角で止まって覗けよって指示を出す。


指示通りに角で止まりそっと覗き見る真吾。

直ぐに顔色変えて、


「まっ守、やべぇぞ。」


真吾のやべぇに俺もそっと覗き見る。


小学校校門前でゴブリンと戦う人達。

直ぐ側にある浅草警察署のお巡りさんも

戦っている。

学校に沢山の人が集まっている。

非常時の避難所に指定されているからだ。

 

「学校に戻って下さい。」


学校から出ようとする子達に、校舎に

戻る様に警官が指示を出す。


「嫌だ〜っ、マっマ〜っ、お家に帰る。」


絶叫を上げる幼女、そして狼狽えている数人

の子供達。

親が一緒にいないのはきっと学童の子達なの

だろう。



「警察に任せるしかない…。」


俺達じゃぁどうにもならん。

自分等の命を守るだけで精一杯なんだ、余裕な

んてない。

ここに来るまでの間に、ゴブリンに襲われる

沢山の人を見捨ててきた…。


「どうしてこんな事になっちゃたの…

 ウッウゥ…。」


泣き出す明、だけど今は泣いてる場合じゃ

ない。


「泣いてる場合じゃないぞ、しっかりしろ!」


そう声をかけた瞬間、凄い絶叫と発砲音が

聞こえた。


「守やべぇぞ、でっかい鬼が出たぞ!」


真吾の指差す方向、小学校校門前に

馬鹿でかくて赤黒い大鬼(オーガ)がいやがる。

あっという間に警官が蹴散らされていく。

大鬼は拳銃で撃たれても皮膚すら貫通させ

ずに弾がポトポト落ちる。


混乱する状況に、さっきまで学校から出よう

としていた子達は二手に分かれる。

学校に逃げ込む子と、コッチに向かって

逃げて来る子達だ。


コッチに逃げてくるのは、さっきの幼女に

一回り大きな女の子、小学校1、2年生位。

手を繋いで必死に走って来る。


あの大鬼(オーガ)、コッチに逃げてくる子達に

狙いをつけたのかコッチに向かって来る。

グッヒャ、グッヒャと嫌な笑い声を上げなが

ら、大股にノッシ、ノッシと向かって来る。

唯一の救いは、大鬼と子達の間は

けっこう距離が離れている。

あの子達のスピードなら追いつかれる前に

ここまでは逃げ切れる。


「守、助けようよ!」


明が助けようと言い、真吾も見捨てられない

と言う。


「分かった、あの子達が来たら幼女は真吾が

 おぶえ!」


明はもう一人の女の子と走れ、時間は俺が

稼ぐと言って俺は直ぐ側の自販機にスマホを

カザして缶ジュースをありったけ購入する。



わたしは妹の手を引いて必死に走る。

足がもつれそうになるけど、一生懸命に走る。

前の方から声が聞こえる。


「コッチまで頑張れ!」


曲がり角の所に大っきいお兄ちゃん二人と

お姉ちゃんがいて、コッチだと呼んでいる。


「ねぇたん、くるしぃよぅ。」


手を引いて必死に走るが、妹のスピードは

ドンドン落ちていく。

まだ三才の妹はそんなにたくさん走れない。


「もう走れないよぅ…」


歩くのと変わらないスピードになった。


「ミィ、おねぇちゃんがオンブするよ!」


ミィをオンブして、必死に足を動かす。

グッギァ、グッギァと大鬼の声がさっきより

も近く聞こえる。


「ねぇたんん、ごわいぃぃ、ごわいよぅぅ〜

 プグぅぅ〜え〜んマッマぁぁ〜」


せなかで泣き出すミィ、わだじも泣きながら

必死に足を動かす。




「ヤバい、小さい子が走れなくなってる。」


真吾の声に俺は缶ジュースの購入の手を

止めて角を覗く。

ゲッヒャ、ゲッヒャと下品な笑い声を上げて

ノッシ、ノッシと姉妹との距離を詰めてく

大鬼が見える。


お姉さんらしき少女が幼女をオンブして

泣きながら必死に歩いてる。

まだ小さいのに…必死に頑張っている。


「クソッが…」


一瞬、俺は明と真吾を連れて逃げようと

考えてた。

マジ俺はクソだ。

コッチから行くしかない。

俺は脱いだ上着に缶ジュースをありったけ

包み込み、行くぞと二人に声をかける。


「二人はあの子達を頼むぞ!」


守の指示に頷き、私と真吾は守に続いて

走り出す。

守は凄いんだ、普段はラノベの鈍感系の

主人公+あふぉの子ナンだけどね。

いざと言う時の行動力と発想力がずば抜け

ている。

私と真吾はそんな守に過去に何度も助けられ

ている。

守ならきっと何とかしてくれると

私は信じてる。


まだまだ暑いので熱中症にご用心。

宜しくお願い致します。

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