表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
便利屋に依頼がこない  作者: ニシロ ハチ
51/56

最終章 1


 綾部美月が捕まってから、一週間ほど経った。

 ミンチは、その間、警察の人と、何度も話をしなければならなかった。御堂筋力也の殺害現場にいたのは、高校一年生の少女と、定職に就いていない二十代の男なのだから、警察も直感的に、怪しげな男を疑うだろう。ただ、科学的な捜査が進むにつれ、また、綾部美月の自白もあり、直ぐに家に帰して貰えた。

 少し困ったのは、あの現場に自分が居合わせた理由だ。この辺は、美月と打ち合わせしていたが、彼女が捕まったことで、どの程度まで、協力してくれるのかわからないので、慎重に言葉を選んで答えた。家に侵入したのは、美月の私物を取りに行く為で、玄関の鍵は最初から開いていたと、ミンチは証言した。その後、警察から、詳しくきかれなかったので、美月も当初の予定通り、口裏を合わせてくれたのだろう。

 鍵を開けた専用の工具は、ずっとポケットに入ったままで、警官の男に一度渡したが、それは、一見すると車のキィに見えるので、怪しまれずにその場で返して貰った。ちょっとした怪しい工具も、それらしく擬態させてあるので、全てバレずに済んだ。

 警察も今となっては、自分の事は、その場にいただけで、御堂筋殺害とは無関係だと考えている。この辺りは、捜査が進めば明らかになるだろう。潔白な人はより白くなる。今時、冤罪で捕まる事など少ないだろう。犯人が自白したって、それが正しいのか、科学的に検証する。疑わしい人を長時間拘束して、怒鳴りつけて、かつ丼を食わして自白させるのは、過去か映画かドラマの中だけだ。

 住居侵入に関しても、御堂筋に対する暴力も、注意を受けただけで、罪に問われる事はなかった。というわけで、ミンチは元の生活に戻る事が出来た。

 ヒカリに関しては、美月が殺人を犯した日に、アパートに城向が現れ、ヒカリを連れて行った。荷物を全て持たせただけで、美月の事も、お別れの挨拶も言っていない。

 余った牛乳とコーンフレークは、牛乳の賞味期限が近かったので、ミンチが食べた。懐かしい味がして、美味しいと思った。コーンフレークを食べると、お金持ちになった気分になる。子どもの時に、偶にしか出されなかったからだろう。毎日、コーンフレークを食べたいと思っていた時期があった。部屋で、一人で食べている時に、それを思い出した。

 ただ、問題が発生して、牛乳は飲み干したが、コーンフレークが余ってしまった。牛丼なら米と具を調整しながらバランスよく食べられるが、それが出来ないのが、コーンフレークの欠点だ。たぶん、一度に食べる量が、どちらも決まっているのだろう。牛乳を追加すると、牛乳の匂いが強くなるし、コーンフレークが多いと、飽きてきたり、お腹が膨れて受け付けなくなる。こうなる原因は、牛乳単体だと飲めない、自分の体質にあるのだろう。追加で牛乳を買ったら、今度は牛乳が余るだろうし、コーンフレークを買ったら、コーンフレークが余る。この問題を解決するまでは、お金持ちのままでいられそうだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ