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【書籍化】追放された公爵令嬢ですが、天気予報スキルのおかげでイケメンに拾われました  作者: 青空あかな


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第68話:聞き取りと悪い貴族のウワサ

「では、こちらに入ってきてくれたまえ。何度も来てもらって悪いな」

「いいえ、何回もお話を聞いていただき感謝のしようもございません。この子も報われると思います」


 ルーズレスさんに連れられ、上品な女性と小さな男の子が入ってきた。

 たぶん親子だろう。

 どちらも貴族風の服装ではあるけれど、どことなく薄汚れている。

 そして、男の子はマントで全身を覆っていた。

 婦人は私たちを不思議そうに見ている。


「あの、ルーズレス様……こちらの方々はどちら様でしょうか? フレッシュ様はお顔を拝見したことがありますが……」

「うむ、紹介しよう。彼らは私の大事な友人たちでな。ロファンティで農業ギルドを営んでいる。<さすらいコマクサ>を栽培して“破蕾病”を治したそうだ。再発について力を貸してくれるとのことだ」

「<さすらいコマクサ>を栽培しているのですか!? ……あの辺境の街にそんな素晴らしいギルドがあるとは思いませんでした。ぜひ、私どもにも少しお分けいただけませんか?」

「アタシがギルドマスターのアグリカルさ、よろしく。もちろん、ラントバウ王国にも分けるから安心しなね」

「俺はラフだ。もうちょっとの辛抱だぞ」


 二人は婦人たちと握手を交わした。

 続いて私も自己紹介する。


「初めまして、私はウェーザ・ポトリーと申します。普段はロファンティとルークスリッチ王国で王宮天気予報士をしています」

「あっ! あなたがウワサに聞いた天気が100%わかるという魔女様ですか。お会いできて光栄です」


 私とも笑顔で握手を交わしてくれた。

 みなそれぞれの席につき、さっそくお話を伺っていく。


「ルーズレスさんたちから、“破蕾病”のことを伺いました。薬を飲んだ後に再発することも……。私たちにも治療経験がありまして、詳しく教えていただけないかと思ったのです。少しでもお力になれたらと」

「ええ、それはもちろんでございますが……」


 貴婦人はルーズレスさんたちをチラリと見る。

 頷かれると静かに話し出した。


「私たちは半年ほど前から、クライム公爵に家と土地をお世話になっています。そして、この子に“破蕾病”が出始めたのは2か月くらい前です。それまでは健康そのものでした」

「2か月前ですか。辛かったでしょうに」


 男の子は暗い顔をして下を向いている。

 私たちが絶対に治すからね、と言っても俯いているままだった。

 

「そして、1か月くらい前にヴァイス様からお薬をいただきました。“破蕾病”の新しい治療薬だと言われまして」

「すみません、ヴァイス様とは誰でしょうか?」

「流れの薬師でございます。医術の知識が豊富ということで、クライム様が紹介してくださいました」


(公爵なんて偉い貴族が紹介するのだから良い人だと信じたいけど……)


 婦人の言葉を聞いて一抹の不安がよぎる。

 でも、クライム公爵と薬師が繋がっている可能性はまだあった。


「その新しい薬というのは、飲むと一時的には治るみたいですね」

「ええ、そのときはアザもキレイさっぱり消えたんですよ。ですが……2週間ほど経つとまたアザが出てきたんです。色もさらに濃くなって、弱い日光でも痛みが出るほどまで悪化してしまいました」

 

 婦人は男の子のマントをそっとめくる。

 以前のネイルスちゃんと同じように、ツタ模様が体に浮かんでいた。

 いや、刻まれていると言った方がいいかもしれない。 

 色も濃くて“破蕾病”が悪化していることは明白だ。

 アグリカルさんたちも深刻な表情で見ていた。


「そうでしたか。その薬師やクライム公爵に、どこかおかしな様子はありませんでしたか?」

「特になかったと思います……いや」


 婦人は何かを思い出すように考えている。


「何でもいいので、少しでも気になることがありましたら仰ってください」

「そういえば、水源地の泉に水を汲みに行ったとき、大きくて変な像があったを見たような気がします」

「変な像ですか? 気になりますね。なんの像でしょう。クライム公爵は何か言っていましたか?」

「さあ……その辺りはよくわかりません。ただの飾りかもしれませんし」


 きっと、貴族たちにはわざと説明していないのだ。

 そして、まだ聞いておかないといけないことがある。

 

「その水源地の水は何に使っているのでしょう」

「借りている土地に撒いたり、毎日飲んだりしています」


 毎日飲むと聞いて、全てがわかったような気がした。

 同時に背筋が寒くなるような戦慄を覚えた。


「その像は急いで調べた方がよさそうですね。もしかしたら、“破蕾病”を引き起こす毒が出されているのかもしれません」

「もう決まりじゃないか。そのクライムって貴族と薬師は裏で繋がっているのさ」

「今すぐ俺たちで調査に行こう」


 急いで立ち上がるみんなを、婦人は慌てて止めた。


「ま、待ってください! もしかしたら、私の見間違えかもしれないんです!」

「「見間違え……(ですか)?」」


 みんなはピタリと止まる。


「あれから何度か泉に行くことがあったのですが、一度も見ていないのです。それこそ煙のように消えてしまいました」

「像が消えてたんですか。不思議なこともありますね」


(バレる前に撤去したってことかしら?)


「ですので、泉に行っても何もないかもしれません」


 みんなはう~んと悩んでいる。

 それでも、まだ証拠はないけど、クライム公爵と流れの薬師は繋がっている可能性が濃くなってきた。

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Mノベルスf様より、第1巻2022年11月10日発売します。どうぞよろしくお願いいたします。画像をクリックすると書籍紹介ページに移動いたします。 i000000 i000000 i000000
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