表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】追放された公爵令嬢ですが、天気予報スキルのおかげでイケメンに拾われました  作者: 青空あかな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/84

第19話:みんなで

「ネイルスちゃん、今日の天気はどうかな? 私は雨だと思うけど」

「う~ん……曇り! たぶん、雨は降ってないよ」


 今日も私はラフさんの部屋にいる。

 あれから毎日、ネイルスちゃんと天気当てゲームをしていた。


「じゃあ、窓を開けてみるからね」


 外を見ると雨が降っている。

 予報通りの天気だった。

 今日は一日、朝から雨模様だ。


「わぁ、また当たった。ウェーザお姉ちゃんは本当に天気がわかる人なんだね」

「これもスキルのおかげなんだよ」


 ネイルスちゃんと出会ってからも、天気予報は一度も外さなかった。

 朝は雨でも午後からは晴れてきたりだとか、かなり細かいところまで予報している。

 その甲斐あってか、ネイルスちゃんも私のスキルを少しずつ信頼してきてるようだ。


「私にも天気がわかるようになるといいな。そうすれば、いつ晴れるかわかるんだもん」


 最初は、ネイルスちゃんも窓の隙間からチラッと外を見るだけだった。

 天気当てゲームのおかげで、今はだいぶ窓の近くまで来られる。

 だんだんと、外への恐怖も和らいできたらしい。


「ネイルスちゃん、農場を見てごらん。バーシルさんがいるよ」


 すでに、雨や曇りの日は窓を開けられるようになっていた。

 日差しが強くなるときは窓を閉めているので"破蕾病"が悪化することもない。


『おーい! ネイルスー! 元気かー!』


 バーシルさんはしっぽをフリフリしている。

 みんな、ネイルスちゃんが大好きだった。


「かわいい! バーシルちゃ~ん!」


 ネイルスちゃんも嬉しそうに手を振っている。


『こら! かわいいなんて言うんじゃない! 俺様は誇り高きシルバー……』


 バーシルさんは相変わらずだ。

 話が長くなる前に、フレッシュさんに連れて行かれた。


「アグリカルさんたちが<サファイアスイカ>を収穫してるわ。ネイルスちゃんも見てみたら? 今日はずっと夜まで厚い雲に覆われてるから、もう日差しは出てこないよ」

「見せて見せて!」


 ネイルスちゃんは窓のそばに寄ってくる。

 まだ外には出られないけど、顔を出すくらいならできるようになった。


「フレッシュー! アグリカルー!」

「「ネイルスー!」」


 二人は作業しながら元気よく手を振り返してくれた。

 バーシルさんは背中に作物を乗せ、誇らしげな顔で運んでいる。


「あはは、楽しそう。私もいつか畑で遊んでみたいな」

「外に出られるようになったらみんなで遊ぼうね。そういえば、ネイルスちゃんは虹を見たことがある?」

「病気になる前に一回だけ見たことあるよ。とってもキレイだった」


 ネイルスちゃんは両手を祈るように組んでうっとりしていた。

 きっと、数少なくも楽しい外の思い出なんだろう。


「虹はお月様の光で出ることもあるのよ。ムーンボウって言うんだけど」

「え!? 夜にも虹が見えるの!?」


 目をまんまるにして驚いている。


「満月の日に小雨だったり、霧が出ていると見えることがあるわ。七色じゃなくて白い虹なのよ」

「白い虹!? 私も見たい!」


 ムーンボウに興味を持ってくれるか不安だったけど安心した。


「ねえ、今度の満月の日、みんなでムーンボウを見に行ってみない? その日は小雨が降るから、運が良かったら虹が出ると思うわ」

「うん、夜なら大丈夫かな」


 二人で話しているとドアがコンコンと叩かれた。

 返事を待たずにガチャッと誰かが入ってくる。

 見なくてもなんとなく雰囲気でわかった。


「入るぞぉ」


 思った通りラフさんだった。

 手には大きなスイカを持っている。


「お兄ちゃん、おかえり」

「ラフさん、それは何ですか?」


 かなり重そうなのに、片手で軽々と抱えていた。


「<サファイアスイカ>だ。フレッシュからの差し入れだってよ」

「やったぁ! 私これ大好きなの!」


 ネイルスちゃんはバンザイして喜んでいる。

 ラフさんがサクリサクリと切り分けてくれた。

 切るたびに青い果汁がにじみ出る。

 フレッシュさんが言っていたように中身は青色だった。


「ほんとに青いんですね。ビックリしました」

「種は硬いからな。気をつけて食べろよ。さて、俺も食うか」


 さっそく、慎重に一口食べてみた。

 ネイルスちゃんは食べ慣れているのか、シャクシャクと勢いよく食べている。


(お、おいしい……)


 普通のスイカよりずっと甘かった。

 それでいて、爽やかな果汁が体中に染み渡るみたいだ。

 おまけに、身体まで軽くなった感じがする。


(あれ? なんだか、身体が……?)


 気がついたら、ふんわりと宙に浮かんでしまった。


「きゃあっ! なんですか、これ!」

「すまんすまん、説明し忘れた。<サファイアスイカ>を食べると身体が浮かぶんだ」


 驚いている私をよそに、ラフさんはハハハと笑っている。


「それを先に言ってくださいよ!」


 空中に浮かぶなんて生まれて初めてだ。

 身体がコントロールできなくて、くるくる回ってしまう。


「あはは、楽しい!」


 ネイルスちゃんは慣れているらしく、この状況を楽しんでいた。


「うわっ!」

「ウェーザ!」


 身体が言うことを聞かず壁にぶつかりそうになった。

 そのとき、ラフさんにガシッと掴まれ引き寄せられる。


「ラ、ラフさん……ありがとうございます」

「ケガはないか、ウェーザ!? すまない、危なかったな!」


 有無を言わさぬ勢いで私のことを心配してくれた。


「はい、大丈夫なんですが……」

「なんだ、どうした!?」


 いつもと違って、なぜかラフさんは慌てている。


「い、痛いです……」


 ラフさんにギューッと肩を掴まれているので、ちょっと痛かった。


(そんなに力を入れなくても平気なのに)


「あ、ああ、すまなかったな……」

「私の方こそ、大騒ぎしてすみません……」


 ラフさんは急いで離してくれた。

 空中に浮かんだまま、私たちは見つめ合う。

 初めて感じるような心地良い感じがする。

 そして、どうしたわけか心臓がドキドキしてきた。


(な、なんだか胸が……)


「キャハハハ! 鳥になったみたい!」


 ネイルスちゃんの大きな笑い声に、ハッとする。


「いや、なんだ。その、まぁ、アレだな」

「え、ええ、アレですね」


 急に恥ずかしくなってきた。

 アレが何かよくわからないが、二人してしばらくアレアレ言っていた。

 ひとしきり食べ終わったところで空中浮遊も終わった。


「ふわぁぁ。遊んでたら眠くなっちゃった。お昼寝しようかな」


 ネイルスちゃんは目をこすっている。とても眠そうだ。


「そうだな、ちょっと寝とけ。今ベッドを用意するから」

「おやすみなさい、ネイルスちゃん」


 ベッドに運ぶとネイルスちゃんはすやすやと眠り始めた。

 こうしてみると、ただの健康そうな女の子だ。


「じゃあ、俺はそろそろ畑に戻るとするか。あいつらを待たせてるからな」

「あっ、私もバーシルさんのお散歩に行かないと」


 こっそり外を見ると、バーシルさんがウロウロしていた。

 なんとなく不機嫌そうな感じがする。


「まったく、あいつはわがままなんだから」

「きっと、すごく楽しみなんですよ」


 二人で部屋から出て農場に行くと、バーシルさんが猛ダッシュで走ってきた。


『おい! 待ちくたびれたぞ!』

「すみません、バーシルさん。ラフさん、先に行ってますね」


 急いでお散歩に向かおうとしたときだった。


「ウェーザ、ありがとな……」

「え?」


 ラフさんにボソッと言われた。


「ネイルスも少しずつ元気を取り戻してきた。お前のおかげだよ」


 改めてのお礼だった。


「いいえ、私は自分にできることをやっているだけですから……」

「そうか」


 いつものように素っ気なく言うと、ラフさんは奥の畑に向かって歩き出した。


『おーい! 何してんだー? 置いていくぞー!』


 遠くからバーシルさんの呼ぶ声が聞こえる。


「はい、今行きますよ!」


 嬉しい気持ちを抑えつつ、バーシルさんの後を追いかけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Mノベルスf様より、第1巻2022年11月10日発売します。どうぞよろしくお願いいたします。画像をクリックすると書籍紹介ページに移動いたします。 i000000 i000000 i000000
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ