ゲームマスターの役割
「承ります。」
「モンスターを倒す度に硬貨が出ると、直ぐに嵩張って持ちきれなくなると思うので、デビットカードのような物で買い物が出来て、モンスターを倒した報酬は口座に自動的に入金されるような仕組みには出来ませんか?」
「……仰る通りですね。仕様を変更します。こちらのカードをお使い下さい。」
「あと、もう一つ。ゲームマスターさんの管理者としてのお仕事は、誰に対する何のためのサービス向上を目指しているの?」
「転生者に対して、世界救済を仕様上の欠陥で不当に困難にする事象を取り除くために苦情を受け付けております。また要望は転生者に対して、実装することにより全体のバランスを崩さない事を前提に可能な範囲で受け付けております。」
あ、消えた。
「親父さぁ、こういうのってギルドとかで討伐照明部位を出して換金して貰うってのが良くあるパターンなんだけど、カード決済とか良く思いつくね。」
「まぁお父さんは、そんなパターン知らないしね。普通の生活と変わらなくしたいだけだよ。」
子供の頃、ハイド〇イド3というゲームで雑魚を狩ってお金が貯まると、お金の重さで動けなくなるという超絶仕様を経験をしたから出た発案だった事は内緒だ。
それはそうと、貰ったカードを確認してみよう。
口座名義人:クロノス
残高:2,015スタテル
通貨単位はスタテルというのか。入出金ログという文字を触ってみるとカード表面の情報が切り替わった。
入金 8/18 200スタテル
「なぁ新平、いくら振り込まれてる?」
「200。」
「じゃあ人数で等分されるっぽいね。」
「親父何もしてないのに?」
「そんな事言う!? ダメージの歩合できっちり報酬分けるパーティとかないでしょ!?」
取り合えず、一休みさせてもらい、腰痛に耐えながら森歩きを再開した。
夕暮れ時になると森の中はかなり暗い。
マップで確認すると、あと少しで街道に出る。
頑張れ俺の腰!
ん? 先を行く新平の足元に沢山グールって書いてある。
「新平戻れ! グールが湧いて来るぞ!」
新平爺さんはバックステップで俺の横に戻って来ると、次々とグールが地中から這い出して来る。
10体を超えるグールに囲まれた。
どうやってこの場を凌ぐかと冷静に状況を観察する。
包囲される前に、逃げるしかない!
右側はグールが少ないからそこから逃げ……って右から左へ新平爺さんが次々とグールの頭部を粉砕してる!
あっという間に全部倒してしまった。
……新平君は学校でそういう事に慣れ親しんでないよね? 角材とかで頭殴るとかお父さんの時代で終焉を迎えたはずなんだけど。
その時ジャジャーンという音が鳴り響いた。