チュートリアルで確信しました。
新平はゲームマスターさんの残した冊子を拾うと、『ステータス』とか『マップ』とか言い出した。
「親父、取り合えずここから一番近い町へ行こう。ここから20kmあるけど日が出てる内に着きたいから早歩きで頼む。」
新平君、どうしてそんなに落ち着いているの?
どうしてお父さんにチュートリアルを見せてくれないの?
いいもん。お父さん勝手に言うから。
「ステータス。」
名前:ウラノス
職業:勇者
レベル:7
攻撃:35
防御:30
俊敏:10
魔力:15
呪文:なし
スキル:なし
称号:なし
変なの出てきちゃった。
足元の草をちぎって嗅いだり、下の土を掘ってみる。
リアルな表現とかを通り超して現実だね、これ。
もうダメだ。
「ゲームマスターさん、この世界で死ぬとどうなる?」
すかさず後ろを振り向く。
やった! 正面取った!
「普通に死亡します。元の世界では心臓発作で死亡します。この世界にいる間は元の世界では時間は経過していません。世界を救えば何事もなく元の生活に戻れます。」
受け入れがたい事を言うだけ言って消えた。
「親父、本気出さないとマジで死ぬから覚悟決めろよ。」
新平君、若いと直ぐに死ぬとか殺すとか言っちゃうけどさ、人生経験が浅いから気安く言えるんだよ?
お父さんが死んだらどうするって確認したのは、君や家族の事を考えての発言よ?
ただ、覚悟を決めるしかないのは間違いないな。
自信は無いが息子を守って家に帰ろう!
――2時間後――
果てしなかった草原から森に入った。
まだ日は出ているが、森の中は薄暗い。
と、そんなことより重大な問題が発生した!
「新平! 腰が痛くてもう歩けない!」
「……モンスターだ。」
いやいや、マジですか?
あ、マジだ。
スライムとか、角の生えた兎とかじゃない怖いやつだ。
我々の10m程手前をノロノロと横切ろうとしていて、こちらには気付いていないようだ。
? モンスターの体の前に表示が出た。
名称:グール
状態 :正常
ゾンビの時点で正常ではないだろう。ゾンビが元の人間に戻ったら状態欄に何て書くんだよ、とゾンビと距離もあるので不要な事を考えていると、グチャッ! とゾンビの頭部が弾け飛んだ。
新平が一気に駆け出し距離を詰め、樫の木の杖で頭部をフルスイングしていたのだ。
名称:グール
状態 : 死亡
お爺さんが一撃でゾンビを屠った!
……もうお父さんは新平君について行こう。
お父さんはゾンビだろうが何だろうが、あんなに躊躇なく殺しは出来ないよ。
だけど殺生は良くないと訓垂れる立場や状況にもないし……ん?
死んだゾンビが消えて、銀貨が数枚ゾンビ跡地に出現した。
トカクエで『魔物を倒した。30ゴールド手に入れた。』的な奴かこれ。
「ゲームマスターさん、ちょっと改善要望があります。」
俺はすかさず振り帰るとやっぱり後ろに奴はいた。