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転生してしまいました。

 ん?

んん?

んんん?


 ここは何処?

非常に……何というか、草原。

ずっと見渡す限り草原。

腰上の高さの草が生い茂る藪ではなく、脛位までの高さの草原。

360度全部ってうわっ!


 お爺さんが立ってる!

訂正。真後ろにお爺さんが居て、他は全部草原。


 お爺さんもこちらをじっと見つめている。

……これは若輩である私から挨拶すべし。

「あの~不躾で申し訳ないのですが、ここは何処なのかご存じでしょうか?」

「……はぁ…………マジか。」

何その反応!?

「親父だろ? 俺だよ。新平。」

新平?

ここは『ハァマジカオヤジダロオレダヨシンペイ』という場所……ではないよね。

「俺の息子の16歳の新平君?」

「だからそうだって。」

「お爺さんになってるよ?」

新平は手足を眺め、顔を触って感触を確かめている。

「……マジか。クロノスかよ。」

黒の巣とは?

「親父はウラノスだな。」

裏の巣?

何?


「トカクエ見てたろ? 俺の作ったパーティに転生してると思う。」

「え? じゃあ新平は魔法使いってこと?」

「そう。で、親父は勇者。」

「は?」


 手足を見ると革製の手袋とブーツを履いており、体には固い皮の胸当てと斜め掛けのベルトが見える。

何このベルト?

辿ってみると、背中に何か背負っている。

「新平、これ何?」

「胴の剣。」

何じゃそら、序盤やんけ。取り合えず抜いてみようかな。


 柄に手を掛けようとするが、肩が痛くて上がらない。

うん。最近四十肩でした私。

「……新平よ。君お爺さんだけど、バク宙やってみてくれる?」

「あ? 何で?」

「多分、身体感覚は元のままだと思うから、その検証。」

うん。検証完了。

地球では基本的に華麗にバク宙を決めるお爺さんが草原に居たりしないもんね。

しかも持ってる杖を手放して、バク宙後に倒れ掛かる杖をキャッチする注文以上の高難度技だし。


「マジで体は元の感覚のままだな。見た目は細い爺さんの手足だけど、筋力は元のままっポイ。」

そうだね。つまり、君のお父さんは肩が上がらなくて剣が抜けない勇者になっているのだね。

「おい、ゲームマスター。他のパーティはどうしたの?」

「転生したのはお二人ですので、他には誰も居ませんよ。」


 !? また心臓止まるかと思った! なんでこの欧米人は常に俺の後ろから話しかけて来るんだ?

「それと、勘違いなさっているようですので、少し解説しますがここはシルフォニア。トカクエとは無関係の世界です。初期のキャラクター設定として丁度プレイ中のゲームから設定を拝借しました。」

「あの~ゲームマスターさん? 私、自宅でビールを飲んでいた最中でして、申し訳ないのですが元の家のリビングに戻して頂けないでしょうか?」

「それは出来ません。あなた方はこの世界を救わない限り元の世界へは戻れません。」


 ん~。なんだろう。

俺の中でメーカーの担当者を呼び出して怒鳴りつけたい自分と、本当にトカクエみたいな世界に来たのかも知れないと思う自分がいる。40過ぎても少年の心は残っていたのか。

「チュートリアルとか無いの?」


 新平は冷静だね~。やはり社会人になる前の学生さんって人生に現実感持ってないから順応早いね~。

「チュートリアルですか。そうですね。貴重なご意見ありがとうございます。こちらを用意しましたので、お役立て下さい。」

2-3ページの薄い冊子を残してマスターは消えた。やはりこれは受け止めなければいけない現実なのか?


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