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青銀の魔法術士  作者: ねうねう
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土喰竜捜索

 翌日アサギと共に街の広場へ土喰竜(もぐら)捜索作戦の説明を聞きに向かった。広場の最前には作戦の説明で使うであろう街周辺の地図が大きな看板に貼られている。ある程度万屋や兵士達が集まったところでアネラとヴォートが看板の前に立ち、作戦の説明を始めた。


「今回行う土喰竜の捜索するにあたり、少人数の班に分け多方面にわたり捜索を行ってもらう。班編成は各自で行ってくれ」


アネラの指示に従い広場に集まっていた人々は各自集まり作戦会議や自らの戦術などを話し合っている。ナグサ達も班に加わろうとするが皆ナグサを避けるか無視し中々班に入れずにいた。どうするか迷っているとナグサ達の元へ一人の女性が近づいてくる。


「あなた達、私とパーティーを組まない?」


声をかけてきた女性は容姿端麗でラベンダーの魔女の様な三角帽子を被り翡翠色の髪が肩まで伸びている。服は首を覆うように伸びたラベンダーのワンピースにオレンジ色の外套を羽織っており身の丈ほどの大きさの薄黄色の金属製の杖を携えている。


「いいですけど……」

「いいのか?」

「いいのよ、私は人が多いと苦手なのよ。だから出来れば少ない所に入りたかったんだけれどどこも人数が多くって。私はルナルよ、あなた達の名前を教えてもらえるかしら?」


「えっと……ナグサ……です」

「俺はアサギだ、よろしくな。ねぇちゃん」


 ようやくパーティーを組めたところでアネラが指示を再開する。


「今から各班ごとで散開し土喰竜の捜索をしてもらう。各班のリーダーにはこの信号銃を渡す、見つけた際この信号銃に魔力を込め頭上に打ち上げてくれ。信号銃に込められている弾が狼煙(のろし)の代わりになる」


アネラ達の近くに立っていた兵士が各班のリーダーへと信号銃と紙きれのようなものを渡す。アサギも兵士から信号銃と紙きれを受け取り信号銃をバッグへと入れる。


「銃と一緒に紙を渡したが、紙には各自捜索してもらう位置が書かれている。地図を見ながら目的の場所に向かい捜索を開始してくれ」


 街の外へと向かい捜索を始める面々、ナグサ達も目的の場所へと向かう。

「はぁ……にしても探す場所が一番奥なんて、ついてねぇなぁ」

「あら、よかったじゃない。こうしてお話する時間がとれなのだし」

「確かに、いきなり戦闘になるよりはいいけどよ……」

「ねぇあなた、えっと……」

「ナグサです」

「ナグサちゃんね、ナグサちゃんはほかの人と髪の色が違うようだけどブリタスルから来たの?」

「えっと……私何にも覚えてないんです。アサギさんに助けてもらって一緒に万屋をやってるんですけど、アサギさんに助けてもらう前の記憶がなくて……」

「失礼なこと聞いちゃったわね、ごめんなさいね」


気まずそうな表情で謝るとルナルはナグサの頭を優しく撫でた。いきなり頭を撫でられたことに驚きびくりと体を震わせた。


「ごめんなさいね、可愛くてつい。可愛いものは撫でたくなっちゃうのよ、嫌だったかしら?……」

「いきなりでびっくりしただけですから、大丈夫です」

「そういえばまだあなた達の戦い方を聞いてなかったわね、私は見ての通り魔法術士よ。私は魔力が高すぎてこの杖が無いと上手く制御が出来ないの」


ルナルは自分の杖を見せるように振るった。


「俺は刀術士だ一応炎の魔法術も使えるが、牽制程度しか扱えなくてな。主に刀を使って戦う」

「私は魔法術士です、(つち)(いかづち)と炎が使えます。地しか使ったことがないですけど……」

「じゃあこの任務が終わったら魔法術を教えてあげるわ」

「良いんですか?」

「ええ、勿論よ。私は魔法術が得意なのよ?」


少し自慢げに話すルナルに気落ちしていたナグサの表情が少しほころぶ。


 しばらく歩いたところで目的の捜索場所に到着したらしく、ナグサ達はアサギの指示で目的地に到着したと分かり捜索を始めた。


「探すって言ってもどうやって探すの?」

「地面に潜ってんだからどっかに穴でもあるんじゃねぇか?」

「アサギさんあなたもしかして聞いてなかったの?……」

「悪ぃ……」


アサギは気まずい表情で頭を掻き、適当に周辺の散策を始める。


「ほら、ここなんかいかにもいそうな感じじゃねぇか?ここら辺に穴があったりす――」

不意にアサギの足元が崩れ始め、アサギ足元に大きな穴が出来る。ナグサは咄嗟にアサギに駆け寄り落ちないように腕を掴んだ。


「アサギさん!? 大丈夫?!」

「あ、ああ。大丈夫だ」


アサギを引き上げ穴から少し離れた所に避難し、アサギは唖然とした表情で穴を見つめている。


「ま、まさか本当に穴があるとはな……」

「穴があったって言うよりは崩れた感じだったよ?」

「この下に土喰竜(もぐら)がいたりしてな」

しばらくじっと穴を見つめていると地鳴りがし始め地鳴りはこちらに近づいて来るかのように段々大きくなっていく。


「なんか音大きくなってない?大丈夫?」

「やべぇかもな……一旦離れるか」


穴なら少し離れた時に立っていられなくなり三人は地面に倒れないように手をつく。離れたと同時に地鳴りが大きくなると同時に穴が崩れ始め穴から巨大な魔獣が出現する。ナグサはあまりの巨大さに驚愕の声を漏らし魔獣を見上げた。

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