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青銀の魔法術士  作者: ねうねう
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ブリタスルからの使者

 馬車を使い三日ほどでツクシノ街へと到着する、馬車を降り目に入った光景に呆然とする。

「どうなってんだ……」

アサギは思わず感想を零す。馬車内からの景色で薄々感じてはいたが馬車から降りて見た光景は想像よりも悲惨であった。街の周囲は所々崩れ、中には陥没している所もあった。


「おい、そこのお前たち何をしている?見たところ万屋の様だが」

呆然としていると街の警備をしている兵士が一人こちらにかけより声をかけられ正気に戻り、アサギが兵士へとここへ来た経緯を説明する。――アサギは兵士との会話を終えるとナグサの元へと戻り、ナグサと共に宿の予約をするため街へと入った。

「とりあえず今日は休んで明日からだな、ゆっくり休めよ」

アサギに部屋の鍵を渡され予約した部屋へと荷物を置き眠りについた。


 翌日目を覚ましたナグサはアサギと共に朝食をとり、受けた依頼をこなすために街の外へと向かう。街を出ると他にも万屋らしき人々がちらほらと見受けられる、その人たちは皆一様に同じ魔獣を狩っていた。


「私たち以外にもこの依頼受けてる人いるんだね」

「ああ、にしてもほんとに多いんだな」


会話を交えながらナグサ達は鎌蟲(かまきり)を狩る、戦っていると次から次へと鎌蟲たちが湧いて出てくる状況にげんなりしながらもさくさくと狩りを進めていき二十匹程度狩った所で鎌蟲の頭部と鎌を集め街へと戻り、問屋へと売り払う。その後食事をとり戦闘訓練をした後宿屋で就寝する。


 街で狩りを始めて二日が経ったときに、宿屋の受付に万屋は街の広場に集まるよう知らせがあったと教えてもらいナグサとアサギは朝食をとり街の広場へと向かった。するとそこには通達を聞いたのか大勢の万屋らしき人々とこの街の兵士達が集まっていた。何事かと周囲を観察していると異国風の装いの男女2人組が衆人の視線を集める様に前へと出てくる。一人は金髪のロングヘアの凛々しい顔立ちの女性だ。鮮やかな黄緑色の騎士の様なプレートアーマーを装備し腰には装飾の施されている直剣を携えている。隣にいる男性は紫髪のショートヘアで前髪には白色のメッシュを入れており横髪を刈り上げた髪型をしており、薄灰色の革鎧を装備しエメラルドグリーンの外套を羽織っている。表情はとても面倒くさそうだ。


「朝から集まってっもらってすまない、私たちは隣国ブリタスルからイヅハラ国の冒険者ギルド、もとい万組合(よろずくみあい)からの依頼で来た」


異国風の装いの女性が話したところで周囲が少しざわめく。


「アサギさんあの人みんなと格好違うけど、それに冒険者って?」

「まだナグサには説明してなかったな、俺たち万屋のことをほかの国じゃ冒険者、万組合のことをぎるどって言うらしい。元々万屋の仕事自体はあの嬢ちゃんのぶりたするのギルドってのを参考に作られたらしくてな、ぎるどと万組合は協力関係にあんだ。だから時々ギルドからこうして異国の冒険者が手伝いに来る時があるんだ」


周りが静かになったとを確認し女冒険者は話を再開した。


「今回この街で起きている地震に関して私たちが独自に調査を進めた結果地震の原因はロックワム……土喰竜(もぐら)であることが判明した」


原因を聞き周囲はどよめきはじめる。ナグサはもぐらと聞き地面に穴を掘って生活するねずみを想像しすごく感嘆じゃんと思った。しかし途端にアサギや周囲の万屋が驚いたような表情でこちらを見つめる状況にナグサは周囲の視線に訳が分からず困惑してしまう。


「ついてはここにいる皆に土喰竜の捜索、できるのならば撃退を依頼する。明日の捜索のため今日中にできる限り周辺の魔獣の掃討を行ってもらいたい、掃討した分の魔獣の報酬も用意する。開始時刻は明日の十時から行う、以上だ」


女冒険者がそうしめると広場に集まっていた人々は各々のやるべきことなどをしに戻って行った。自分たちも魔獣の討伐に向かおうとしていた時、説明を行っていた女冒険者がこちらへずかずかと歩み寄り、ナグサの前まで来ると胸倉を掴み眼前に引き寄せる。


「きさま!さっきのは何だ!! ふざけているのかっ! 」

「え?、いや……えっと……その」

「アネラ、どうしたんだ?! 」


いきなり胸倉を掴まれ怒鳴られたことに困惑し涙目になる、すると女冒険者についてきていた男冒険者が女冒険者の行動に驚き声をかける。


「こいつはさっきロックワムドラゴンを簡単だと言ったんだぞ!?」


見かねたアサギは女冒険者に声をかける。


「待て待て嬢ちゃん、こいつは記憶喪失でなんも覚えてねぇんだ。さっき言った事も悪気があって言った訳じゃねぇ」

「アネラ、連れの人がこう言ってるんだ、悪気があるわけじゃないそうだし許してあげな?」

隣にいた男性に諫められアネラと呼ばれた女冒険者はナグサを乱暴にはなしその場を離れていった。


「さっきは悪かったね、僕はヴォ―トだ」

ヴォートと名乗った男性は未だに困惑したままのナグサに対し謝罪する。

「アネラ……さっき君に掴みかかった彼女だけど、彼女は自分の仕事に対して誇りを持っているんだよ。さっき名前の出てきた土喰竜は結構強い魔獣で(くろがね)クラスの冒険者が大人数、僕や彼女のような銀クラスの冒険者が数人がかりでやっと倒せる位の強さなんだ」

「万屋と冒険者が同じ組織だってのはさっき説明したな?階級も同じなんだが、一番下が銅、そして鋼、鉄、銀、金って順番で階級が決まってるんだが、俺は鉄階級で銀は上から二番目に強い階級だ」

アサギの説明を聞き自分がどれほどの失言をしたのかを理解し意気消沈していまう。ヴォ―トは「じゃあ僕は戻るよ」と言いその場を後にした。

「明日の任務で頑張れば良いんだ、俺たちも魔獣の討伐に行こうぜ」

アサギに励まされ気持ちを切り替えたナグサはアサギと共に魔獣の討伐に向かった。

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