表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界マネーゲーム  作者: アンドウ安藤
4/6

4話 ゲームスタート

以下、前話で説明のあったゲームのルールです。


【ゲームルール】

第一ステージ

クリア条件:

ゲーム開始から10日以内に所持金額が1億円以上になる。


所持金額を増やす方法

1、 魔物を倒す

2、 イベントをクリアする

3、 他の参加者を殺す


※所持金を使ってスキルや武器の購入も可能

気が付くとそこは白い空間という訳ではなく、辺り一面には木、木、木と木ばかりが生える鬱蒼とした森の中だった。


ゲームが始まったことは直ぐに分かった。


早速タブレットを取り出して、地図アプリを表示する。そこには自分の位置と美里に持たせた発信機の位置がしっかりと表示されていた。


この自分の位置といのも、元々は表示されておらず、地図アプリを5万を使ってバージョンアップした機能だ。


「よし、ちゃんと美里の位置も分かるな。しかもそんなに距離は離れてないっぽいから直ぐ合流出来るかもしれない。」


俺が今居る位置は島の北東方面で、北の湖と、東の山の中間辺りだ。対して美里は島の真ん中付近に居るらしい。


だが、今の地図の性能からでは島がどれぐらい大きいのか分からないので、距離がどれぐらい離れているかも分からない。


それでもお互い正反対の場所に居るよりは幾分もマシだ。集合場所も島の中心にしておいたので俺が移動するだけで済む。


場所が分かったところで早速島の中心へ向けて移動を開始した。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



30分ぐらい進んでいるが、地図上でお互いの距離が一向に縮まらない。


この島は想像以上に大きいのかもしれない。そう思っていると茂みの向こうから、明らかに人間とは違う声が聞こえる。


先を急いではいるが、魔物を倒したりしないことにはクリアは出来ないし、いざという時に戦えないのでは話にならないので、自分で勝てる魔物に戦って慣れておく必要もあった。


そう考えると、なるべく足音を立てず気配を消すようにして声が聞こえた方に近づいていく。


10mも進んだところで、木に凭れ掛かっているそいつを見つけた。


近くに仲間がいないことを確認して、木の影に隠れながらそいつを観察する。すると頭の中にその魔物の情報が入ってきて、同時に自分の視界にも情報が表示される。


=============

【名称】ゴブリン


【ランク】E


【獲得金額】3万円


【説明】

集団で生活するだけの知性を持った魔物。繁殖力も高く至る所で生息している。複数で行動している場合が多いが個体毎の能力は低いため危険性は非常に低い。

=============


これもゲーム開始前に買ったスキル、魔物図鑑(1)によるものだ。購入時の説明によるとEランクまでの魔物について情報が分かるということだったが、こういう風になっているのか。


魔物図鑑についてだが他の機能として、調べた魔物の情報をタブレットに残す機能も付いている。


また、魔物のランク毎にスキルも分かれていて、魔物図鑑(1)については10万だったが、調べられる魔物のランクが上がるごとに10倍ずつ値段が上がっていく。そのため今はまだEランクの魔物の情報しか得ることが出来ないでいる。


まあ、今の状態でよりランクの高い魔物と戦うのは危険なので、情報が得られないというだけでも大きな情報なのだが。




ゴブリンの情報も得ることが出来たので、俺は背負っていたリュックサックに括り付けてあった金属バットを取り出す。


どちらも5万ずつで買った物で、リュックサックには移動中に購入した水も入っている。


金属バットについては武器になりそうな物で安く、リーチが長い物で選んでいる。安い所だと包丁もあったが、いきなり包丁で生き物を切りつけるのは勇気がいるし、一撃で仕留めるのは難しいという理由もあるので金属バットを選択した。


まだゴブリンはこちらに気づいていないのか手に持つ木の実を齧っている。


俺はゴブリンの背後を取るように慎重に大回りをして近づく。お互いの距離が3mも無いぐらいまでゴブリンの背後に近づいたが、ゴブリンは木に凭れ掛かっていて全くこちらに気づいていない。


さらにゆっくりと近づき、ゴブリンの居る木の裏側まで近づくことに成功した。


フッと小さく息を吐いて止める。


次の瞬間俺は反転しゴブリンの側面に躍り出た。


よしゴブリンはまだ気づいていない。


そして俺は手に持つバットを思いきりゴブリンの頭部に目掛けて振り下ろす。そこでやっと俺の気配に気づいたのか、ゴブリンが俺がいる方の向きに首を回そうとしているがもう遅い。


躊躇せず、振り下ろした勢いそのままにバットをゴブリンの脳天に叩き付ける。


ゲギャという断末魔を上げるだけでゴブリンはそのまま地面に倒れ伏す。


手にはゴブリンの頭蓋骨を破壊した感触と、脳を潰した嫌な感触が残るが、逆にそれがゴブリンに致命傷を与えたことを意味していた。


これが現実であることを証明するかのように、死体が光になって消えるなんてことは無く、後には食いかけの謎の木の実と、頭が陥没したゴブリンの死体が残っている。


こうして俺の初戦闘は終了した。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


フゥーと深いため息を吐き、俺はゴブリンから少し離れた位置に腰掛ける。


やっぱり結構緊張していたようで、一瞬の出来事であったが、疲れを感じる。だが、生き物を殺したことによる吐き気や憂鬱な気分はそれほど感じない。


まだ緊張が続いているからなのか、それとも俺たちの姿を観察しているであろう神を名乗る存在に何かされたのか分からないが、精神的に落ち着ていることは良いことだ。


これで混乱でもしようものなら、今度殺られる側になるのは俺の方になってもおかしくない。


とにかく、ゲームに参加するに当たって良い兆候だと前向きに考え今の戦闘での戦果を確認する。


俺はタブレットを取り出して、初期状態で入っているステータスアプリを開く。このアプリには自分の所持金や所持スキルといった情報を見ることが出来る機能がある。


ゴブリンからの獲得金額は既に分かっているが、それでも実際に所持金額を見ずにはいられない。初めての戦闘、初めての勝利、それを実感するためにも自分のステータスを確認した。


「おお、やっぱり所持金が増えてる!」


今の俺のステータスはこんな感じだ。


=============

【名前】来栖結人


【状態】高揚


【所持金額】13万円


【スキル】

魔物図鑑(1)

スタミナ上昇(1)

近接攻撃(1)

=============


ゲーム開始前には所持金が15万だったが、途中で水を1本買い、ゴブリンを倒したことで得た3万で所持金は13万になっていた。


スキルにあるスタミナ上昇(1)と近接攻撃(1)もそれぞれゲーム開始前に購入したスキルだ。どちらも20万ずつだが、30分森を移動しても疲れない体力や、ゴブリンをバットで一撃で倒す力を得たのだから買って損は無かった。


ステータスを確認しながら少し休んだことで、さっきの戦闘での疲れは抜けたのでゴブリンが齧っていた実を調べる。


少しでも食料に費やす金を抑えるため現地で賄えるのであればそれに越したことは無い。少なくともゴブリンが齧って平気ってことは毒は入っていないんだろう。


実の表面は赤く、握っても潰れないぐらい固いのでリンゴみたいな実だが、ゴブリンが齧った跡から見える中身はリンゴのような白ではなく紫色をしている。


流石にゴブリンが食べた物を食う気にはなれないので、近くに同じ実が生ってないか探す。すると少し離れた所に同じ見た目の実が生る木を発見した。


早速一個もぎ取ってバットで割ってみると、紫色の中身と汁が出たので同じ実で間違いないのだろう。もう一つ取って少し齧ってみる。


「おっ!意外といける」


酸味と甘み両方感じるが、今まで食べたことがある果物とは全然違う味がする。食感はしゃりっとしているが果汁に少し粘着きがあるので長芋みたいな感じと言ったら良いか。舌に痺れとかヤバい感じはしなかったのでそのまま一個を平らげた。


いきなり食料をゲットできるとは幸先の良いスタートじゃないだろうか。


そう思いながら、移動に不自由を感じないぐらいにその実を収穫しリュックサックに詰め込んでいく。


俺は謎の実を詰め込んで重くなったリュックサックを背負い直し、地図で美里のいる方向を確認して再び森の中の移動を開始した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ