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異世界マネーゲーム  作者: アンドウ安藤
3/6

3話

説明会です。


一応次話の前書きにルールまとめておきます。

『参加者のみんなーこんにちは。みんなの目が覚めたようなので、これからゲームについて説明していくよー』


聞こえた声はどこか陽気で、気の抜けたようなしゃべり方をしてる。ふと正面を見るといつの間に現われたのか空中に浮かぶ人の姿があった。


『僕は君たちをこのゲームに招待した一人でルイスって言いまーす。よろしくー』


空中に浮かぶルイスと名乗った存在が手を振って挨拶をしているのが見える。遠目で見えづらいがその表情には笑みを浮かべていた。


『まずはゲームについてのおさらいから。既に聞いていると思うけれど、みんなには今まで居た世界とは別の世界で魔物とかと戦ったりしてもらいまーす。そうすればみんなが大好きなお金がたーくさんもらえるよ』


ここまでは聞いていた通りの内容なので特に驚きは無い。


『武器も無いのにどうやって戦うんだよーっと思ったそこの君。だいじょーぶ、みんなが戦えるようにちゃーんと準備してあるから。それじゃあ手に持ってるタブレットで買い物アプリを開いてみよー』


タブレットなんて持って来てない。そのはずなのに俺は右手に固い感触を感じて目線を落とす。すると俺の手にはいつのまにかタブレットが握られていた。それは美里や他の人達も同じようで、急に現われたタブレットに困惑している。


『それはこのゲームで使うタブレットで、出てこーいて思えば出てくるし、消えろーて思えば消えるから大事に使ってね』


実際にやってみると何もない空間から手に持っていたタブレットの出し入れに成功した。それが確認出来たところで、タブレットを起動しルイスが言っていた買い物籠のアイコンを見つける。アプリを開くと水や食料、衣服等の画像がずらっと並んだ画面が表示された。


『みんなアプリは開けたかなー?まだの人は近くの人に聞いてね。それじゃあアプリの説明をするよ。そのアプリでは生活で必要なお水やご飯、服に武器、何でも揃ってるよ。それに何と言っても、そのアプリではスキルも買うことが出来るんだ』


確かにアプリ内のソート機能にカテゴリで食料や武器とかの他にスキルがある。スキルで絞ってみると剣術やら、魔法(炎)やらいろんなものが並んでいた。


『スキルを買えば色んな能力が身に着くから自分で好きなものを選んでゲームに役立ててね。で、その買い方なんだけど、もう気付いている人もいるよね。そう、このゲームで手に入れたお金でお買い物が出来るようになってまーす。だから、お金を使って強くなるか、貯めてゲームクリアを目指すかがこのゲームの重要なところだねー』


ルイスが説明した通り、このゲームでは金を使うタイミング、何に使うかが勝敗を分けるだろう。


『そして、このゲームの大事なお金の稼ぎ方だけど、方法は3つだけー。1つめは魔物を倒すこと、2つめはイベントに参加してクリアする、3つめは他の参加者を殺して奪う、の3つだよ。それ以外は何してもOKだから、自分に合った方法でお金を稼いでゲームクリアを目指そー』


それを聞き、他の参加者がライバルから敵に変わった。俺の方から誰かを殺してまで金を奪いたいとは思えないが他は違う。こんなゲームに参加するぐらいだ、平気で人を傷つけたり、中には人殺しだっているかもしれない。そんな連中が魔物でなく人を襲うのなんて目に見えていた。


『じゃーそれぞれについて説明していくねー。まず魔物についてだけど、みんなに戦ってもらう魔物にはランクが決まっていてそのランクによってもらえるお金も変わるよ。例えばEランクは1万円台、Dランクは10万円台ってかんじでね。当然、ランクが高ければ高い程魔物も強くなるから、十分準備をしてから挑んでね』


『次にイベントについてだけど、これはいつ、どこで、どんな内容のイベントが起きるかはその時次第だから言えることは無いかなー。でもクリアしたらお金とか景品とかが貰えるから積極的に参加してね』


『最後の参加者を殺して奪う方法だけどー、これはそのままの意味で、殺された人が持っていたお金をそのまま殺した人が貰えるようになってるよー。知らない人を殺しても良いし、お友達が魔物に殺されそうだったら代わりに殺してあげてお金を貰うのもいいよねー。詳しいことはタブレットにも書いてあるからそっちも見てね』


こうなってくると本当に金の使い方が難しいな。魔物を倒すことに特化すると、臨機応変な対応を求められるイベントをクリアすることは難しいし、逆にイベントをクリアするために色んな物に手を付けると魔物や人殺しに特化した奴らに殺されかねない。


隣からうーんと唸り声が聞こえたので見てみると、美里が難しい顔をして考えこんでいる。さっき話しただけだで頭が多少残念だということは分かっていたが、美里なりにこのゲームをどう戦っていくかを真剣に考えているらしい。


「美里も何を買うか悩んでるのか?」


「はい、特にこっちのビーフシチューがおいしそうなんですが、お値段が高くて。他にもパスタとかハンバーグとかおいしそうなのばっかりなんですけど、どれもおいしそうで迷います!」


やっぱり美里は美里のようだ。だが、美里の言うことにも一理ある。アプリ内に出てくる食料はどれも日本に居た頃より遥かに高い値段設定となっている。


500mlのペットボトルに入った水なんて1本5万もするし、美里が言っていた料理はどれも10万を超えていた。水や食料の確保もこのゲームの重要な要素になるだろう。


『よーし、だいたい説明は終わったから最後に第一ステージについて説明するよー。しまっちゃった人はタブレットを出してー』


第一ステージか。


ティアスが勝ち抜けばと言っていたから薄々そんな気はしていたが、すぐにゲームクリアとはいかないらしい。それが理解出来たところでどうしようも無いんだが。


『今度は地図アプリを開いてねー』


ルイスに言われた通り、タブレットで地図アプリを開く。すると島の画像が表示された。特に拡大や縮小も出来ないただの画像だ。


『今そこに表示されている島が第一ステージの舞台となりまーす。地図アプリもそうなんだけど、タブレットの機能もお金でバージョンアップ出来るようになってるから、ゲームが始まったら色々試してみてね』


画像からは細かい所まではまだ確認できないが、大半が森に囲まれていて、中央から見て東側に行くと山、西には草原、南に砂地、北に湖があることが分かった。


『これで説明もホントに最後、第一ステージのクリア条件を言うねー。ドゥルルルル、ジャン。クリア条件はー所持金額1億円突破でーす』


確かに1億円ていう金額は普通に考えれば大金だ。だが俺の必要とする金額には届かないので少し少なく感じてしまう。ゆっくりとスキルとか武器とかを買っていけば十分クリア出来るだろう。


『みんなもクリア条件が思ったより簡単でびっくりしたかなー?慎重にやればクリア出来るって。でもごめんねー、僕達もゆっくりしてる人を待つのは退屈だから、ちゃんと期限を決めてあるよー。ゲームが始まってから十日間、これが第一ステージのもう一つの条件。後、早くクリアした人には特典も用意してあるから積極的にゲームに参加して僕達を楽しませてねー』


やっぱりそう簡単にはいかないか。


考えることは同じなのか頭を抱えていたり、目を閉じて考えに耽っている人が目に入る。


『あっ、言うの忘れてた。最初だからみんなに僕達から100万円をプレゼントするよー。それで色々準備してゲームを盛り上げてね。これでゲームに関する説明は終わりー。今から10分後にゲームスタートになるけど、買い物とか出来るようになってるから準備して待っててね。じゃバイバーイ』


それを最後にルイスは姿を消した。


後10分か。準備を進めておくことも重要だが、ゲームクリアのためには裏切られない協力者がいた方が確実だ。そう思い隣を見る。


そこには一心不乱にハンバーガーを口に詰め込む美里の姿があった。


「ひょっほふぁっふぇふはふぁい(ちょっと待ってください)。すみません、お腹が空いちゃってつい」


「えっと……、それいくらしたんだ?」


「ドリンクとセットで20万円です」


これが協力者で良いのかと割と真剣に悩んだが、こんなでも一人よりはマシ。そう考え美里にゲームでの協力を提案する。


「こちらこそ、結人さん良い人なんで一緒に行動出来たら嬉しいです。でも、私あんまり役に立たないと思うんですけど良いんですか?」


「一人より二人の方が出来ることも増えるし大丈夫。でも何か買うとき特に食料とかは、事前に相談して欲しいな」


「が、頑張ります」


これで協力者を得ることが出来た。後は合流する方法だが、それは既に見つけてある。


美里に手のひらに収まるサイズの四角い物体を手渡す。


「美里はこれを持っててくれ」


「これは?」


「これは今買った発信機だよ。商品説明に距離無制限で位置を特定出来るって書いてあったから、多分これで離れてても見つけられると思う」


一応一番性能が良さそうな物を選んで買っている。それでもさっき美里が使った金額と同じ20万で買えた。食料とかは元の値段より遥かに高額だが、こういう道具類についてはそこまで高くない。まあそれでも数倍は値段が違うが。


だが、その値段の分機能として地図アプリと連携して発信機の場所を表示してくれる機能も付いているらしいので、この発信機が問題なく動けば直ぐに合流は可能だろう。


そして、集合場所や残金で何を買うかをお互いに相談し購入していると、あっという10分が過ぎ、体が光に包まれ始める。


「じゃあ、後は打ち合わせ通りで。なるべく早く合流するようにするけど、極力無駄遣いは押さえるんだぞ」


「分かりました。結人さん、今後ともよろしくお願いします」


「ああ、こちらこそよろしく」


そうお互いに声を掛け合うと、視界が完全に光で覆われ何も見えなくなる。


体の感覚も徐々に薄れていき、意識も完全に光に吞まれていった。


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