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竜の手と異世界の乙女騎士  作者: もこ平
1/10

魔列車

大地が揺れていた。

轟音を立てながら、列車が迫ってくる。


(あれに乗れたら――)


そうは思うものの、線路に這いつくばっている両手に、どうしても力が入らない。

辺りは夕闇に包まれている。

鉄路と枕木に、赤黒い血が垂れる。

血は俺の胸に開いた穴から、とめどなく流れ落ちている。

手で押さえてはいるものの、止まってくれる様子はない。


(乗れば――)


もはや痛みさえ感じない。

体がひどく重い感じがして、手足の末端が急速に冷たくなってくる。


(逃げられる――)


目の前が暗くかすんでいく。

それでも――


(生きるんだ――!)


立ち上がろうとして失敗。

敷石の上に、膝から崩れ落ちる。


「ごふっ!」


と、咳をする。


「ごふっ! ごふっ! ごふっ!」


なすすべもなく血を吐き散らす。


(くそっ――!)


肺がやられてしまったか。


ガガガガガガガガ――


地面の揺れが激しくなる。

鉄路が細かく震動している。


(乗るんだ――)


「俺は――」


(――生きる!)


もう一度立ち上がろうと試みて、今度は何とか成功する。

足がふらつく。

いつまで立っていられるか。

あいつは追って来ているのか。

もはや、何もわからない。


ゴオオオオオオオオ――!!!


「っ!」


俺は目もくらむような光に包まれる。

ヘッドライトの明かりだ。

反射的に目を細めた俺は、逆光を透かして列車の車体をとらえる。


「!?」


普通の列車ではなかった。

先頭の車両は巨大な黒豹。

そのサファイアの目がらんらんと輝くことで、前方を照らし出しているのだ。

黒豹の左右には、漆黒の一角獣が密着するように控えて鋭い角を掲げている。

それ自体が生命を持つ魔列車だ。


「こんなの――」


JRに走ってたっけ?

俺の頭をよぎったのは、そんな何とも緊張感のない考えだった。


ゴオオオオオオオオ――!!!


魔列車が急速に迫ってくる。

警笛は鳴らない。


「あ……」


(よけなきゃ――)


そう思った時はもう遅かった。

俺は圧倒的な光と騒音の中、鉄路に釘付けになったまま。

目と鼻の先に迫る魔列車を、ただ見ていることしかできない。

フッと笑みを浮かべる。


(終わりか――)


ニ体の一角獣がいななく。

黒豹は吠えながら、俺の腕よりも太い牙の生えた口を開け――

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