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《3巻発売中》 僕がSSSランクの冒険者なのは養成学校では秘密です  作者: 厨二の冒険者
第2章 仕様上削除不可の ifルートおなっております。
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「古代魔法・『収納(ストレージ)』」


 粗方(あらかた)、石版を回収し終わり。休憩がてらに焚き火を囲む。

 ここは遺跡の二層目だけど、一層目と同じく、天井が存在しないので火を焚いても問題ない。燃料は、砂漠の部屋に置き去りにされていた、壊れた木の盾と折れた枝だ。


 歓迎会の時と違い、今日は養成学校の貸切じゃ無い。

 冒険者のパーティが通路を通りかかり、横目に部屋を覗いては、ヒッ!と青い顔をして逃げて行く。


 たまに、面白がって近寄って来る人もいた。


「どうなってるんだ!? 君達がゴーレム部屋を攻略したのか!?」

「滅茶苦茶じゃないか、部屋中が残骸だらけだ」


 確かにやり過ぎたかな……あちこちに粉砕されたゴーレムの欠片が散らばり、壁には衝突の跡が残っていた。


「こんにちは、良かったら休憩してって下さいね、焚き火を起こしたばかりなので」

「お、おお……悪いな」


 ポカンとするお兄さんに、焚き火で休むように勧めると、他の冒険者達もつられて集まって来た。


 援護射撃に失敗したレヴィアが、申し訳無さそうに溜息をつき、ボソッと口を開いた。


「ふぅ……話しは変わりますが、素手でゴーレムを粉砕出来る物なのでしょうか?」

「うん、脆いポイントとかもあるし、弱点を突けば意外と簡単に倒せるよ」


「初耳です、ドミニクは博識なんですね……私も今度試して見ます」


 熱心にメモを取るレヴィア。彼女は王宮魔導師だし、素手での戦闘に慣れれば、楽勝でゴーレムを粉砕出来る筈だ。

 ルミネスは久々の戦闘でストレス解消したのか、ふぁ〜と欠伸をし、上機嫌に猫耳を揺らしていた。


 ※


 無事に遺跡から脱出し、ケロリアさんに冒険者カードを差し出した。

 クリア条件の、ゴーレムの石板の一部とクエスト用紙も手渡す。概要によると、石板を研究する考古学者が出したクエストらしく、報酬はギルドからちゃんと支払われる。


「ケロリアさん、換金お願いします」

「へぇー、良くゴーレムを倒して来たね。これが報酬だよー」


 カウンターの上に、ジャランと置かれた5万Gを布袋に入れる。冒険者カードを見たケロリアさんが、目をウルウルとさせ、僕に同情の目を向けている。


「あぅ……ルーシスさんの仕業だね? 学生でギルドの職員は大変だろうけど、頑張ってね!」

「あ、はい、頑張ります……」


 そういう事か……ギルドの職員になった事は、冒険者カードに書かれてるんだっけ。

 過去にケロリアさんも、ルーシス校長に利用された経験でもあるのかな。グッと、同士の握手を交わして受付を後にした。


 ※


 王宮調合室の庭へ戻ると、魔法商店の2人が、何やらメモに図を描き、祭壇の設計を練っていた。


「お、戻って来たな! プランはもう練ったぞ」

「魔法商店で祭壇を作ってから、ここに設置しよう。そもそも工具も材料も無いしな」


「流石に早いですね! 後で様子を見に行きますよ」


 2人を魔法商店へ送り返し、早速、転移の石板を作る作業に取り掛かる。収納の狭間から、石版をドシンっと、庭に落下させた。


「さてと、今のうちに石板を作るよ」

「道具もないのに、どうやって石板を加工するんですか?」


「形成と強化の魔法だよ、見てて」


 鍛冶部で剣を作った時に、鋼を強化した魔法『オリハルコン・マテリアル』を使い、材質に魔力を染み込ませ、オリハルコン級に強化する。ついでに角は取って、光沢も付けよっとー。


 祭壇に飾るのに相応しい、50cmくらいのコンパクトサイズで軽く、黒曜石の様な四角い石板が完成した。仕上げにパパッと転移魔法を刻む。


「また奇妙な魔法が……どうやったんですか? 教えて下さいよー」

「どうって言われてもなー、今度ね、今度」


 適当にいなす僕の態度に、レヴィアはついに痺れを切らしたのか、何か決心した様子でプイッと顔を背けてしまった。


「用事を思い出したので、ちょっと待ってて下さい!」

「そっか、どうかしたの?」


「なな、何でもありませんです……」


 怒らせちゃったかな? バツが悪そうだし、あまり詮索しない方が良さそうだ。


「時間がある様でしたら、先に魔獣研究室の方を覗いて来て下さい、研究師のファルコンさんという方がいます」

「さっきのニワトリ君が居た所だね。分かったよ、気を付けてね」


 意味深な表情のレヴィアと別れ、ふと池の方を見ると。また何匹かの鯉が、水面にプカプカと口を出していた。


 鯉か……家を離れる前に、門番が欲しいな。ルミネスを別荘にずっと置いておく訳にも行かないし、番犬的な何かを用意しよう。


 聖薬の恵から貰った、餌っぽい粉の入った瓶を収納魔法から取り出し、池に撒いて鯉をおびき寄せる。


 歓迎会のダチョウ、ピーちゃんに使った『ゴールデンエイジ』の遺伝子組換魔法を使い、泳いでいた鯉を2、3匹、大きなリヴァイアサンっぽいのに進化させた。ついでに泥棒撃退用の水魔法を仕込み、番魚の完成だ。


「魚君、良いかい? この家に誰も入らない様に池から見守っててね」

《ギョ、ギョイ!》


 バッシャーン! と、青緑の尾びれで水しぶきをあげ水中に消えていった。鯉の面影は無くなっちゃったな……まぁ、いっか。

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