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筆記試験

 教壇に立つ追影先生が黒い手袋をしたまま印を結び、開始の合図を送る。


「では試験開始でござる! 『問30』以降は教師でも解けない超高難易度の問題だ、無理に解かなくても大丈夫だぞ、にんにん!」


 合図と同時に問題用紙を表にし、一気に問題に目を走らせる。


 解る! 簡単な問題しかないぞ、どんどん解いて行こう。


 次々とペンを走らせ解答欄を埋めて行く、『問30』を超えてもペンが止まる事は無かった。


 今日は頭が冴えてるな、すらすらとペンが進むぞー。


 テストの調子が悪いのか、頭を悩ませた生徒が声を漏らした。


「なんだよ『構成魔力数』って! 聞いた事ねえよ、こんなの解けるやついるのか?」

「そこ! 静かにするでござる!」


 テスト中だってのにうるさいなー、この問題かな?


『問37、現代魔法・ウォーターボールの魔法陣を分解し、構成魔力数を記号と数字で答えよ』


『答』wy1256842xkz2568456


 スラスラっと、簡単だなー。


 待てよ……良く考えたらこんな簡単な訳無い、引っ掛け問題か!? さすが養成学校だ、一応答えは全部埋めておくけど。

《カキカキ》


『問42、幻獣水モンスター・ポセイドロスの倒し方を述べよ』


『答』頭部をぶん殴る。


 ポセイドロスか、前に戦った事あったよな……確か体長『50m』位の魚みたいな奴だ。


 だいたい魔獣の『80%』位は頭部をぶん殴っとけば倒せる。多分、弱点で間違い無いな!


 よしっ、完璧だ。


『問45、回復薬・神の雫の作り方を述べよ、むしろ教えて下さい』


『答』恐らく、これは神の涙の事では無いでしょうか? 素材となる神力の薬草の分解値を逆算して、聖水とのバランスを一一一一


《スラスラ》


 簡単だなー、もしかして首席で合格したりして! んなわけないか!


「にんにんー! そろそろ時間だな、答案用紙を回収するぞー」


 上機嫌な追影先生の合図により、筆記テストは終わりを告げた。


 結果が思わしく無かったのか、殆どの生徒が机にうな垂れている。みんな疲れ果ててるな、そんなに難しかったかなー?


 蒼ざめた顔をしたカレンが、フラフラと机に手をつきながらこっちにやって来た。


「最悪ー、全然解けなかったよ。どうしたの? 妙に上機嫌だね」

「そうかな? 簡単だったけどなー」


 カレンと話していると、隣の席で何か言いたげなリーシャが会話に加わって来た。


「初めまして、カレンちゃん。あの……ドミニク君の彼女さん?」


 カレンは両手と首を同時に振りながら反射的に否定した。


「ち、違うよ! 私はただの幼馴染っていうか、そんな感じかな。よろしくねリーシャ」


「カレンは兄妹みたいなもんだよ」


 やっぱり僕とカレンは恋人同士に見えてるのか……何故かリーシャは安心した表情を浮かべていた。


「恋人じゃないんだ! ふぅ、良かった……」


 キンコーン! と教室に試験終了のチャイムが鳴り響いた。


「本日の試験はこれにてお終いでござる! 明日は実技試験を行うので朝から校舎裏の『森』に集合する様に! では解散!」


 追影先生はそう言い残し、シュババ!っと一瞬にして教壇から消えた。取り残された生徒達がまばらに教室から出て行く。


 実技試験は明日なのか、森で行うって事は戦闘の可能性があるな。


 さて丁度お腹も空いて来たし、帰宅ついでに商店街で買い物してから家に帰ろう。


「また明日ねリーシャ。カレン、商店街に寄って帰ろう」

「うん、お腹空いたよー。またねリーシャ」


「うん、また明日ね! ドミニク君、カレンちゃんっ」


 鞄に荷物を纏めるリーシャへ挨拶し、養成学校の門を出て通学路に入る。


 怒ってる……まーた始まったよ。不貞腐れ顔で数歩前をカレンが歩いていた。


 女の子と仲良くするといつもコレだ。背を向けたままのカレンから、つまらなそうな声が聞こえて来る。


「良かったね、可愛いリーシャと仲良くなれて」


 こんな彼女にはもう慣れたけど、いつもの一言で機嫌を取り戻しておこう。


「そうかな? 僕はカレンの方が可愛いと思うけどね」


 僕がしれっとそう呟くと、カレンはクルッと振り返り満面の笑みで抱きついて来た。


「ホントっ!? 嬉しい! ドミニク抱っこー」

「解ったから! 急に甘えて来ない! ほら商店で晩御飯買って帰るよ」


「はーい!」


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