表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/158

表彰式

 森に複数のケルベロス放ってから数分後。


 シールの加点を眺めていたら、仕掛けられた通信魔法から追影先生の声が聞こえて来た。


《これにて実技試験終了だ! 生き残ってる生徒も校舎裏に集合するでござる》


 ええ、もうお終い? 教員を倒したのは僕だけか。


 ケルベロス召喚に気付いていない2人は、突然の試験終了の知らせに、何が起きたのか解らない様子で顔を見合わせていた。


「どゆこと……?」

「終わったみたいだね、どうなったのかなっ?」


 カレンは僕と一緒にいたので無傷、リーシャは森で体力と魔力を使い果たし、シールが消耗し汚れていた。


 空気を読み間違えたルミネスがちゃっかり僕の隣に立ち、一緒に退散しようと促して来る。


「では神々の戯れも終わった様なので、人間共を漆黒の闇の欠片へと貶めるといたしましょう」

「ルミネスは連れて行く訳にはいかないから、一旦魔法陣に戻ってね。『強制送還(ゲットホーム)』っと」


「そ、そんなぁー、私も連れてって下さいよ!」


 ルミネスの足下に現れた強制送還の魔法陣が、ズズズズと細い足を呑み込んで行く。


「にゃあ! 吸い込まれるぅぅ! ドミニク様! 漆黒の」

《スポッ》


「あ、吸い込まれちゃったね」

「まだ何か喋ってたよっ」


 無事にルミネスもゲットホームしたので、学校裏の集合場所へと向かう。


 楽しかったなー、杖は壊れちゃったけど興奮草のサンプルも手に入ったし、リーシャとも仲良くなれたしね!


 森の傾斜を下り切ると、石畳で舗装された校舎裏が見えて来た。


 もう生徒で溢れ返ってるな、あ! 忘れてた……どうしよう、壁に穴が空いたままだ。


 カルナ先生はまだ戻ってないな、追影先生とドーリス先生がみんなを纏めていた。


「お疲れ様! みんな頑張ったな。整列しろー!」


 カルナ先生の不在を不審に思った女生徒が、ドーリス先生へと話しかけた。


「ドーリス先生あのー、カルナ先生はどこに行ったんですか?」


 ポリポリと頭を掻きながら、何故かドーリス先生は苦笑いだ。


「カルナ先生は心を病まれて保健室だ……後で慰めに行ってやれ。では上位3名を発表するぞ、名前と順位を呼ばれた生徒は前に出ろ!


『1位』ドミニク・ハイヤード 92点

『2位』ギーシュ・プラネックス 3点

『3位』レオル・アーガイル 3点


 以上3名だ、1人点数がおかしいが気にするなよ、俺も困惑してる所だ。みんな拍手! ギーシュはどうした? あいつも保健室か、やれやれ」


 圧倒的に離れた点差に、生徒達から次々と驚きの声が上がる。


「1位だけ92点っておかしいだろ!? カルナ先生を倒した奴か?」

「目を合わせるなって、打ち上げられるぞ!」

「打ち上げ!? 何だそれ」


 何でこんなに点差が開いてるんだ? 真面目に試験やってたの僕だけって事!?


「凄いよドミニク君! おめでとうっ」

「さすがだねドミニク」


 はしゃぐリーシャとカレンが僕の肩に飛び付いて来た。


「ありがとう2人とも、ちょっと前に出て来るね」


  名前を呼ばれたので仕方なく列から離れ、前に出ると、一緒に前に出て来た銀髪の生徒が僕に詰め寄ってきた。


 ……怒ってるみたいだけど、誰だっけ?


 背は僕とそう変わらない170cm位で、銀髪の細い髪、薄い青色の無鉄砲な眼、背中には鞘に収めた1m弱の剣を掛けていた。


「おい! よくも俺をぶん殴りやがったな!」


 殴った? ああ! 壁に突っ込んで穴を開けた剣士だ!


「思い出した! レオル君ね。杖がたまたま当たっちゃったんだよ」

「ふざけんなよこら! 杖で殴る奴があるかよ、そもそもーーーー」


 あーだこーだと文句を言われ、耳が痛くなって来た……『ここは戦場だぞ』とか言ってたわりに結構ヘタレだな!


 荒ぶるレオルに手を差し出すと、コロッと態度を変え、手を握り返して来た。


「ちっ仕方ねーな、優勝良かったな! 次に勝つのは俺だからなドミニク! それとレオルで良い」

「え? ありがとう。よろしくね、レオル」


 ツンデレなのか! 言葉とは裏腹にニッコニコのレオルに適当に相槌を打ってると、追影先生がやって来て耳元で囁いて来た。


「おめでとうドミニク殿、ぶっちぎりで首席合格でござるな、明後日の入学式の前に校長室に来るように」

「僕が本当に首席なんですか!? わ、解りました!」


 まさかの首席だ、やったぞー!


 明後日か、入学式のスピーチの練習しとかないと! ふふん~。

 それから生徒のみんなにケルベロスの件で詰め寄られたけど、犬に好かれやすい体質という事で強引に乗り切った。


「ドミニク! またな、ちゃんと鍛えとけよ」

「今日はありがとねっ、同じクラスだと良いねー」


「だと良いんだけどね、またねレオル、リーシャ」



 2人に別れの挨拶をし養成学校から出ると、灰色の塀に沿って商店街の方へ歩く。


 背を向け不機嫌に前を歩くカレンの、怒ってますアピールが始まった……


「カレン何怒ってるのさ?」

「べーつにー……」


 はぁ、リーシャにだけ召喚獣をあげちゃったせいかな、明日は休みだしカレンの機嫌取りしないとな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ