グリフォンリーダー3
「僕も飛ぶか。初級魔法・『フライ』」
飛行魔法を発動し、ロドリゲスの後について上昇していく。
500Mほど上昇したところでロドリゲスはクルッと身を翻し、飛行魔法で飛んでくる僕を待ち構えていた。
僕も同じ高度で上昇をやめ、対峙するロドリゲスとの間合いを測る。
ロドリゲスの背中に乗ったレヴィアが、手綱を引きながらアドバイスを送ってくれる。
「ロドリゲスに勝って認められれば、他のグリフォンもドミニクさんに忠義を示してくれます」
《クェー!》
ロドリゲスが叫び、戦いの火蓋が切られた。
4つのたくましいライオンの足が畳まれ、翼に刻まれた飛行魔法が光を放つ。
風を纏い、ブオン! っと高速飛行を始めたロドリゲス。僕の周りを縦横無尽に飛び回って攪乱してくる。
「グリフォンは死角を狙って鉤爪を振るいます! うまく立ち回って躱してください!」
レヴィアの警告通りに、背後から獣が襲い掛かってくる気配を感じとった。
おっと、あの巨体にしては素早いな。
《クェー!》
まっ、これだったらぴーちゃんの方が速いけどね。
「よっと!」
回避のために素早く高度を下げると、グリフォンの鉤爪が頭上を掠めて風圧を起こした。
「躱した!? 今のに反応できるなんて! もしや、飛行魔法の実力は私より上なのでは……」
《クェ……》
今の回避でロドリゲスの表情が変わったな。僕を捉える鷹の眼がさっきとはまるで違う。
体を真っ直ぐにし、器用に前足を動かして魔法陣を描いていく。
「魔法を使う気だね」
っていうかあの滑らかな指の動き。着ぐるみの中に人間が入ってるみたいで奇妙だ。
《クェェェェェ………》
空間の冷気が集まって、空中に大きな『氷の弾丸』が4つ生成された。
《クエッー! 『アイスボール!!』》
氷の砲弾が白い冷気を放ちながら迫ってくる。
ロドリゲスが鉤爪の先を少し動かすと、それに連動して氷の砲弾四方に拡散する。
氷の弾丸を作って飛ばし、操作する初級魔法か。多重効果のある魔法を魔獣が使うのは珍しいね。
「今度は躱しきれないですよ。攻撃魔法は無理をせず防御魔法で防いでください!」
「おっけー。魔法は必要ないけどね」
飛んできた氷の砲弾を、飛行魔法で大きく円を描いて躱し、避けたその1つをガシ! っと片手でキャッチした。
「は!?」
《クェ??》
氷を摑んだ僕を見て、レヴィアとロドリゲスは目をまん丸にして止まっている。
「キャ、キャッチしたぁぁ!?」
《クェ!? クェェェ!?》
「え? そりゃ、飛んできたら摑むでしょ」
「ふ、普通は摑めませんよ! さっきの飛行魔法といい、何かがおかしいです!」
《グエェェ!》
怒ったレヴィアが手綱を強く左右に振り回した。うへ、ロドリゲスが苦しそうだ。




