グリフォンリーダー2
レヴィアが、グリフォンの銀色のもふもふの体毛に抱きついた。
「この感触がすべすべで堪らないのです! ドミニクさんもボーッとしてないで触ってみてください。この子は特に毛が滑らかなんですよ」
へぇ、確かに気持ちよさそうだ。僕も触ってみようっと。
そーっと体毛に触れようと手を伸ばすと、ロドリゲスはバ! っと巨体を仰け反らして威嚇してきた。
《クエッ!! クエッ~!》
え!? めっちゃ威嚇されてるぞ……懐かないって本当だったんだな。
翼を広げてプレッシャーを与えてくるロドリゲス。言葉は分からないけど、『余所者は認めん』と言わんばかりに俯いて首を振っている。
《クェッ! クエッ!》
「むむむ……ロドリゲスはドミニクさんが本当に王宮に相応しい男かどうか、その力を試したいのですね!」
《クエッ!!》
「お、王宮がどうとかまでは言ってないと思うけどね……別に認めてもらえなくてもいいんだけどなぁ」
鷹の立派な眉をキリッと釣り上げて頷き、鋭い嘴でレヴィアに耳打ちしている。
《クェ! クェクェ》
「ふむふむ、なるほどー。ロドリゲスはドミニクさんと『空中戦』で競い合いたいようですね」
鳥語が分かるのか? 空中戦って、なんか面倒くさい展開になってきたぞ……。
「空中戦って馴染みのない言葉だけど、何を競うの?」
「空中戦とは、空の上で行う決闘です。ルールは相手を地面に墜落させた方の勝ちとなります」
「僕は飛行魔法が得意だから、全然構わないけどね」
「そういう次元の話ではありませんよ! グリフォンは自由自在に空を飛びながら攻撃魔法を放てます。人間の飛行能力に換算すると、約10倍に匹敵すると言われているんですよ」
「えぇ!? 10倍も!?」
《クェー》
誇らしげに、自慢の大きな翼を広げるグリフォンリーダーのロドリゲス。
音速よりも10倍速く飛べるってのか……やっぱりただのグリフォンじゃないようだ。。
通常、魔獣は『咆哮』によって構成魔力数を組み上げ、『感覚的』に魔法を発動させている。
咆哮による魔法の発動は速いけど、魔法陣を描くやり方と比べると応用を利かせることが難しく、多くても2種類くらいの魔法しか組み上げられない。ドラゴン族なんかは例外だけどね。
しかし、グリフォンは人間と同じように指先で器用に魔法陣を描き、多種多様な魔法を扱えるらしい。
ロドリゲスがレヴィアの前で体勢を低くし、《背中に乗れ》と顎を振って合図を送っている。
「ハンデとして、私を乗せて勝負してやると言っています。人間とグリフォンでは戦闘能力が違い過ぎるので、軽くあしらって終わりにしてくれると思います」
「意外と優しいんだね」
ロドリゲスは、レヴィアを背中に乗せると一足先に空へと飛んでいった。
あのグリフォンそんなに強いのかな? そこまで強そうには見えないけどなぁ。




