グリフォンリーダー1
「さて、次は騎士団の戦力を担っている強力な仲間を紹介しますよ」
神殿を出てからファルコンさんの元へと向かう道すがら、僕たちは近くの林を城壁沿いに歩いていた。
「この林には、騎士団が従えているグリフォンが暮らしていて、騎乗戦闘訓練なんかも行ってるんですよ。ドミニクさんは神聖獣を見たことがありますか?」
「それなりにはあるけど、グリフォンは見たことないかな」
次は騎士団の使い魔を紹介してくれるらしい。どんな奴か楽しみだな。
「実はグリフォンは、幼い頃から懸命に育て上げても決して人間に従いません」
「へぇ、懐かないのに、どうして騎士団では従えられてるの?」
「彼らは群れにリーダーを作り、そのリーダーの指示には忠実に従い各々の役割を果たすのです。つまり、うちの騎士団がグリフォンを扱えるのは、グリフォンリーダーにうちの騎士団長が認められているからなのです」
人間のように組織を持つ魔獣ってことか。そのグリフォンリーダーに認められた騎士団長って、どんな人なんだろう。
「いい機会なので、グリフォンリーダーを呼んでみましょう。新たな王宮の仲間を紹介しておかないと!」
レヴィアが指笛をピィー! っと鳴らした。
《クエー!》っと、笛の根に応えるように鳥の鳴き声が響く
「おいでロドリゲスー!」
空に手を振りながらレヴィアが名前を叫ぶ。すると、大きなグリフォンがバッサバッサと翼を羽ばたかせながら舞い降りてきた。
鷹の上半身にライオンの下半身が引っついている。そして背中には、立派な鞍と手綱ある。
へー、あれがグリフォンか。神話に出てくる有名な魔獣だよね。
騎士団に鍛えられてるだけあって、その表情は気高く凛としている。ちなみに顔はイーグルフェイスなので、ほぼグリフォンさんと一緒だ。
「よし! こっちへおいでロドリゲス!」
どこからかレヴィアがバナナを取りだして、ロドリゲスに向かって差し出した。
鷹のくちばしでバナナを咥えたロドリゲスは、満足した様子で地面に座り込む。
たまたま林を歩いていた王宮の研究員たちが、その光景を見て騒ぎだした。
「すげえ、バナナ1本でグリフォンを手懐けたぞ!」
「流石レヴィアだ。普通の奴なら嚙み殺されてるところだったな」
え……そんな危険な魔獣だったのか! 見た感じ弱そうだけどな。




