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色彩鳥1

元気にお茶屋さんの団子を頰張(ほおば)ると、レヴィアは手を叩いて立ち上がる。

「ごちそうさまでした! お腹も満たされましたし、貴方が『王宮』の称号に相応(ふさわ)しい人材かどうか、聖堂まで確かめに行きましょう」

「どういうこと? 僕はエドワード王子のところにいって、王宮魔法師さんに王宮設備の案内をしてもらう予定なんだけど」

そう尋ねる僕の前で、バッ! とローブの(すそ)をなびかせてレヴィアが僕を見る。

しかも、なかなかのキメ顔だ。

「ふふ! 私が貴方の案内をする、その『王宮魔法師』ですよ!」

「え!? 君が王宮魔法師だったんだ」『王宮魔法師』ってことは、この子は魔法の研究において偉大なる成果を上げた人物ということ?

もしかして、さっきの戦いは手加減してくれてたのかな?


「予定していた時間より大分早い様ですね。始発の船に乗ったとしても、エリシアスからだとお昼過ぎまで掛かるのですが」

「え⁉ か、川の流れが速かったのかもね!」

腑に落ちない顔で、スタスタと速足で先を行く王宮魔法師のレヴィア。

まいったな、時間の事まで考えて無かった。

僕達は今、王城とそれに隣接する王宮施設を丸ごと囲んで衛る巨大な城壁の上を歩いている

この城壁は、敵からの侵入を防ぐために高めに設計されていて、王都の街並みだけでなく遠くの海まで見渡せる。

「ねぇレヴィア。今はどこへ向かってるの?」

「ふふふ、どこって『神殿』ですよ! ドミニクさんにはそこで魔力に汚れがないか検査を受けてもらいます」

レヴィアは、クルッと振り返り意味ありげに微笑んでくる。

もし、汚れが合ったらどうなるんだろ? 怖いから聞かないでおこう。

邪悪なる魔族の魔力波が体内に流れていないか調べるのかな? 宗教的な話ならともかく、魔力にはその人の特性は有っても、別に汚れも何もないんだけどね。


王城の敷地内に、エリシアスの女神を(まつ)られた『神殿』があるらしい。神聖地帯にあった聖堂と似たような感じかな。

『王宮』の称号を与えられた者は神殿に仕える『神官』となり、設備の整った研究施設を与えらえる。

つまりは、研究費用は国が持つので、王都の発展に貢献する研究をしろって話だね。

「見えてきましたよ。あの白い建物が神殿です」

「どれどれ?」

レヴィアが城壁から指差した先に、白い大理石で造られた巨大な『神殿』が見えた。

「これからドミニクさんには、あの神殿で魔力に汚れがないか検査を受けてもらいます。汚れのある者は王宮の施設に入れませんからね!」

レヴィアは説明しながらも、せっせと2連詠唱の魔法陣を描いていく。

これは『飛行』の魔法陣か。

「私は飛行魔法で先に下に降りています。ドミニクさんは少し遠回りになってしまいますが、城壁沿いに進んで梯子を降りてきてください」

僕が飛行を魔法を使えないと思ってるみたいだ。

「ああ、僕も飛行魔法は得意だから問題ないよ。ほらっ」

「え??」

飛行魔法を発動すると、体がフワリと舞い上がる。

実は5歳くらいのときから飛行魔法で飛んでいるので、結構自信がある。

「な! なぜ飛行魔法が使えるんですか!?」

「どうして驚くの? レヴィアも飛んでたじゃん」

「私は2連詠唱が使えるので当然です! でもドミニクさんは……」

「うーん、僕も2連詠唱は使えるからね」

「むむぅ……まさかとは思っていましたが。調合師は魔法が得意な人が多いと聞きます、ドミニクさんもそうなのですね」

レヴィアは、うんうんと関心した顔で(うなず)いている。

いや、2連詠唱なら誰でも使えるよね。この子本当に王宮魔法師なのかな? 


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