表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
142/158

騎士団編 序章1 sideウルゴ

webでは話が飛んでいますが、エリシアス王都騎士団ウルゴ視点にて序章が始まっています。

 ※こちらも話が飛んでいますが、無限の霧樹海、調査隊デリスによって、ドミニクはアースエンドの杖を没収されています。

王都は魔獣や反政府組織からの侵略の危機に晒されている。

俺たちグリフォン騎士団は、この国の王子から常々そう言い聞かされている。

これは王都に限った話ではなく、エリシアスの神聖結界外の全てにいえる。

だから、そんな俺たちグリフォン騎士団の使命は、この王都の平和を脅かす魔獣や犯罪者を捕まえることだ。


馬車から見渡す都の風景は平和そのもの。

日の暖かい静かな午後、俺は馬車に揺られながら警備の目を光らせ、目的地を目指していた。

「そろそろ着く頃か、あの辺りに止めてくれ」

馬車が、騎士団の旗を(なび)かせながら速度を落とし、大通りの脇に停止する。

「俺が戻ってくるまでの間、騎士団員として周辺の警備を(おこた)るなよ」

「はい!」

敬礼した御者をしている若い騎士団員の名は『レヴィア』。

銀の鎧の上から羽織った魔導ローブと、背中に掛けた長い杖を見て分かる通り、彼女は魔法師だ。

だが、ただの魔法師ではない。

入団2年目にして『王宮魔法師』にも選ばれた16歳の規格外だ。

騎士団、いや……この大陸でレヴィアより魔法の才に恵まれた者などいないだろう。こいつを一言で表すなら、天才という言葉が相応(ふさわ)しい。


部下に周辺の警備を任せ、店の扉を叩く。

ここは王都に古くからある有名な薬品店だ。

古い木造の大きな店舗を構えるその店は、従業員の多さもさることながら、調合設備の充実によってポーションの生産率が群を抜いている。

店主の男は優れた鑑定眼を持っていて、ポーション販売の他に、骨董品から違法な魔道具の鑑定まで行っているんだとか。

「お待ちしておりました騎士団長ウルゴ様。この古き薬品店にお越しくださり感謝いたします」

「そう謙遜するな。俺の知る限りでは、民から信頼を置かれている薬品店はここより他にない」

「嬉しいお言葉です。約束通り、例の物を用意させて頂いております」

深々とお辞儀をし、店主の男性が店の奥へと案内してくれる。

「「いらっしゃいませ!」」

通路脇に整列していた数十名の従業員が、通り際に歓迎の言葉を掛けてくれた。

今回、王都騎士団の団長であるこの俺、人狼のウルゴが、自らこの薬品店を訪れたのには訳があった。

「こちらが研究室です。ウルゴ様は長身ですので、天井にご注意ください」

「わかった……」

案内されたのは、昔ながらの調合室だ。

仕方ないとはいえ、天井が低くて窮屈だな。俺の身長は狼の耳先までいれると3Mを超える。

店主が薬品の保管棚から木製の木箱を取りだし、机の上に置くと蓋を開いた。

「これが完成したエリクサーです」

透明な液体の入った瓶がズラリと並び、神秘的な虹色の光を放っている。

「間違いない。本物のエリクサーだな」

『エリクサー』は古代の遺跡から発見された、全治の力を持った未知のポーションだ。

国中の天才たちがエリクサーを完成させようと、こぞって調合に関する研究を進めていたが、何年経っても誰もそのレシピを見つけることは叶わなかった……。

もしも、魔法の使えない民間人が魔獣に襲われてしまった場合、高ランクの治療薬を所持していれば、それだけで生存率はグッと上がるだろう。

魔法が使えない民間人は多くいる。

俺の率いる『騎士団』の精鋭でも半数……王都全体で考えると70%を超えるだろう。

このエリクサーは、国の未来に希望を与えるものだ。

「それで、この再現されたエリクサーの効力はどのくらいだ? 実戦でのエリクサーの実用化も期待できそうか?」

「調合師によってムラがありますが、格段に低いコストでAランクの回復力を持ったエリクサーが調合可能かと」

「まさか、これら全てがAランクの回復力を持つエリクサーだというのか……」

「いかにも、調合会に革命がおきたのです」

一般的にAランクのエリクサーの回復力は、致命傷の一歩手前の傷をも完治させるといわれている。だが量産するのは難しく、その調合率は、30回調合を行なって1本できるかどうかだ。

「このレシピをエリシアスの学生が完成させたなどと、未だに信じられんな」

「私も驚いています。薬草学を(たしな)むものであれば、誰もが一度はその調合方法を探ろうとするものです。しかし、実際にレシピを完成させた者は誰1人としていませんでした」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ