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《3巻発売中》 僕がSSSランクの冒険者なのは養成学校では秘密です  作者: 厨二の冒険者
第2章 仕様上削除不可の ifルートおなっております。
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皆様、いつも私の書いている小説を読んで頂き、ありがとうございます。


この度はなんと、『僕がSSSランクの冒険者なのは養成学校では秘密です』の書籍化が決定しました!


今後、少しずつですが、書籍の情報を公開して行ければなと思います。是非とも皆様、応援の方よろしくお願いしますm(__)m

 貨物輸送船の甲板へと乗り込み、帆を揺らしながら海上を進む。


 勲章として貰った金の鷹のバッチは、制服の胸元に付けておいた。何でもこの勲章は、エリシアスの王族側近の証になるんだとか。こんな大そうな物を、学生の僕が身につけてても良いのかな……


「乗り心地はどうだー? 風が心地良いだろう」

「はい、海を見ているだけでも気分が晴れますね」


 爽やかな金髪を海風になびかせたエドワード王子が、後ろの操縦室から声をかけてくる。この船は操縦室に設置された魔法石から推進力を得ているらしく、魔力さえあれば、割と誰でも簡単に操縦出来るんだとか。


 波をかき分け進む船底を甲板から見下ろすと、暖かい日差しが背中を包んだ。今日は天気も良いので、海に出て魚釣りでもやって見たい所だけど……とりあえず船の保管室、兼、整備室へと案内して貰う事になった。


「こんな高価な貨物船を、本当に僕が貰っても良いんですか?」

「ああ、遠慮無く受け取ってくれ。何せお前は騎士団の……いや、この国の英雄だからな! ははっ!」


「はは……ありがとうございます」


 一応、僕は学生で冒険者なんだけど、ウルゴ団長と王子の策略によって、まんまと騎士団側に引っ張られている気がする……


 乗船場に沿って進んで行くと、岸壁に掘られたトンネルが見えて来た。あそこが保管室かな?


 輸送船がトンネル内に進入すると、入口の門がゴゴゴゴと音を立てて閉まり、海と水路が完全に遮断された。そのまま、トンネル内部の薄暗い地下水路を真っ直ぐに進んで行く。


「そこの目印のロープに船を合わせて、後は海水を抜くだけさ」


 水路を塞ぐ様に張られたロープに、貨物船の位置を合わせて止め、ハシゴを使って地下水路の通路へと降りる。


 王子が通路の隅にあったレバーを引くと、海水がポンプから排水され、ザバーッと60m級の大きな船体が露わとなった。


「でっかいなー、改めてみると凄い迫力ですね」

「ははっ、60m級の造船技術はこの国にしか無いからな。2階に船のパーツも置いてあるから案内しよう」


 階段を上がって2階の倉庫へとお邪魔する。酒場の様な雰囲気の倉庫で、この部屋から各船の整備ドッグの地下水路へと繋がっているらしい。


「エドワード王子! 貨物船の調子はどうでしたか?」


 何やら、図面を開いて会議を行っていた他の船員達が、エドワード王子に挨拶をしにやって来たので、話しが終わる少しの間だけここで待つ。


 急に暇になっちゃったな、無意識に部屋を見渡していると、壁に掛けてあった小さな額縁の絵が、チラッと視界に入った。


 あの絵は……空を飛ぶ船? 飛行船だな。


 飛行の原理は何だろう? 飛行魔法は対象の重力を変化させ、風による推進力を得る魔法だ。

 船体に魔法陣を刻めば、確かに空を飛ぶ事は出来るけど、貨物を積むとなれば話しは別だ。飛行魔法に干渉されない積載物は重いままなので、船体が浮かぶ事は無い、うーん。


「おいドミニク、何を難しい顔をしてるんだ……? あの飛行船の絵は、おとぎ話に出て来る空想の――――」


 んん……不思議だな。でも、この国の造船技術は他国よりも遥かに優れているらしい、空を飛ぶ船くらい普通に開発されてるよな?


「――――っておいドミニク! 聞いているのか?」

「え!? すいません、ボーッとしてて」


 王子に呼び戻され、再び、倉庫内を案内して貰った。補修用の木材、小型のプロペラや帆、酒用の樽や液体燃料まで置いてあった。


 珍しいな、雪山などの極寒地でも無い限り、液体の燃料が使われることは殆ど無い。何故なら、火の魔力は優れた燃料であり、生物の体内で常に作られ、空気中にも充満しているからね。


 帆を必要としない短距離特化型の、プロペラ製の船もあるらしいけど、貿易に使うとなると長距離は移動出来ないらしい。


「俺はこの辺で失礼させて貰うよ。何かあったら船員達に話を聞いてくれ、これからもよろしくな英雄殿!」


「は、はい、ありがとうございました!」


 そう言って、エドワード王子は爽やかに2階の窓から飛び出して行った。本当にアクティブな王子だな……



 ※



 地下水路へと戻って船を観察する。


 僕の貰った船は貨物運搬用の貿易船だ。丸みのある船体に帆柱が4本、大きな帆が付いている。

 排水量1000トン、その帆の多さから機動力に優れ、長距離の航海に適した船らしい。船の下部、船倉に広いスペースがある為、積載能力にも優れている。僕は収納魔法が使えるので、船倉はそのまま好きに使えるけどね。

 非常の戦闘に備え、船体の左右には、合わせて6つの大砲が飛び出していた。


 色々考えててもしょうがないな、せっかくなので、空をマッハで飛べる素敵な飛行船に改造したいところだ。


「試しにニトロの魔法石を積んでみるか……?」


 地下水路の棚に置いてあった、緑色の魔法石を手に取る。


 ニトロの魔法石は通常の空気に比べ、燃焼力の高い特殊なガスを発生させる効果がある。

 それを火の魔法石と組み合わせた砲台を、船の後部の外装に取り付け、瞬間的な加速ブースト機能を得る。


「船を飛ばすのは、上昇気流の魔法を刻んだ魔法石を船底に取付ければ良いし……そうだ、竜族撃退用の迫撃砲も取り付けよう! なんだか楽しくなって来たな、飛行船って意外と簡単に作れるじゃんー」


 それから小一時間、図面にアイデアを刻みながら地下水路を歩き回り、輸送船を空飛ぶ船へと改造するアイデアが見事に完成した。


「で、出来たぁ!」


 流石に僕1人じゃ、この巨大な船を改造するのは無理だよな、助っ人を連れてくるか。



 ※



 転移魔法でエリシアスの魔法商店へ移動し、ウーリッドと店員のビクターさんを地下水路に連れて来た。トムさんは店番だ。


「な、なんだこりゃ、貿易船なんか貰ってどうするんだ?」

「飛行船に改造したいんですよ、ビクターさんなら出来ますよね?」


「飛行船ってお前なぁ……いやまぁ良い。職人としての腕はなるがな。設計図を見た限り、そこそこのお金はかかるぞ」


 ビクターさんと、改造の打ち合わせをしていると、ウーリッドが背後からいきなり、えい!っと僕の腕に抱きついて来た。


「ド、ドミニク君……こんにちは……!」

「ウーリッド! どうしたの?」


「えっと、学校だと話しかけづらくて……久々にお話しできて嬉しい……!」

「そっか、最近色々あって休みがちだったしね」


 ウーリッドとは久しぶりに話すので、なんだか挙動不審な感じに戻っていた。コミュ症全開のウーリッドは、学校だとあまり話しかけて来ない。と言うか最近は学会やら何やらで学校をサボってたしなー。


 それから2階に上がり、3人で改造の打ち合わせをしながら雑談をする事になった。その後の魔法商店は、新たな杖の素材のお陰で黒字経営に戻り、なんとか上手くやっているらしい。


「これが費用の合計だな」

「だね……」


 ビクターさんと、ウーリッドが差し出して来た改造費用の見積書に目を通す。船体に魔法石を取り付ける為の部品と、ブースト装置、収納箱などが主な費用となる。


「200万Gですか……飛行船に使う魔法石は僕が用意するとして、他の材料は魔法商店から用意して貰えるんですか?」

「ああ、設計図を見た限り、操縦室に取り付ける宝玉が必要なんだろ? 安く手に入れたいなら、王都の地下オークションにでも参加してみたらどうだ?」


「いやー、今はあまりお金が無いので……」


 あの船の操縦室にある小さな魔法石では、改造後に船体に取り付ける複数の魔法石に、魔力を送る事が出来ない。

 僕の魔力に耐え、複数の魔法を刻める宝玉か石板が必要だ。とりあえず、手頃な素材をエリシアスから集めてくるか。

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