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《3巻発売中》 僕がSSSランクの冒険者なのは養成学校では秘密です  作者: 厨二の冒険者
第2章 仕様上削除不可の ifルートおなっております。
112/158

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 エルフの村、上空の夜空にて、人型の花竜との一騎討ちが始まった。


 フシュウ……と威嚇の声が漏れ、大きな翠のトカゲの目が僕を捉えている。


「森で戦おうよ、木が無いと(いばら)の魔法が使えないでしょ?」


 人型の花竜が、僕の挑発に怒りの咆哮を上げると、前方に3つの魔法陣が飛び出して来た。竜族の咆哮には、音として構成魔力数が記憶されており、声を出す事で特定の魔法が発動出来る。

 花竜もまた、大気竜の上昇気流の魔法と同じ様に、咆哮を上げるだけで『(イバラ)』の魔法を自在に操れるみたいだ。


 森から木を引っ張って来るのか? と警戒し、下を向いた瞬間、花竜の体から生えている花の根が、(むち)の様に伸びて襲いかかって来た。体を曲げて反射的に(かわ)し、考える間も無く反撃の魔法で返す。


初級魔法(オリジナル)・『ライトニング』」


 飛び出した稲妻の魔法が、花竜の前方でグニャっと曲がり、不自然に逸らされる。


「ずるい魔法だね……」


 あの杖は『屈折』の魔法が込められた呪いの魔導具だ。


 呪いの魔法の中でも、特別な力に分類される屈折の魔法は、魔法の原理に一切干渉せず『ただ曲げるだけ』と言うふざけた効果を持っている。


 しかし、防御魔法として応用するには、その範囲は狭い。一歩間違えれば、無防備で魔法を受ける事になる。


 あれは、花竜の動体視力のみが成せる技だな。


 上空から一気に滑空し、旋回しながらライトニングスピアーを放つ。

 花竜も高速で飛行しながらそれを躱し、避けきれない稲妻の槍は、屈折の魔法でグニャっと曲げて返した。


 落下した稲妻が森を吹き飛ばし、焼け野原を作り出して行く。


初級魔法(オリジナル)・『解除』」


 咆哮と共に放たれた荊の魔法陣を、解除魔法で崩し、反撃の魔法は花竜に曲げられる。勝負は均衡を保ったまま、魔法のぶっ放し合いとなっていた。


「ドミニク様ぁ……」


 ルミネスが胸に手を当て、心配そうな顔で僕を見上げていた。


「これ以上、使い魔に格好悪い所は見せられないね……」


 僕もただ、闇雲に魔法をぶっ放してた訳じゃない。この戦いの中で花竜の屈折の魔法のパターンを観察していた。


 やはり妙だ……何故、全ての魔法を屈折させず、わざわざ飛行して躱すんだ? まるで、屈折の魔法の使用回数を、最小限に抑えているかの様だ。


 あの花竜に何かあるとすれば、異様に大きな頭部と痩せ細った体だ。知能に特化させる為とは言え、体を退化させる必要は無い。それに、さっきよりも体が細くなっている気がする……


「何か不自然だね……君ってもしかして、その杖の呪いに掛かってるんじゃないの?」


 フシュウ……と威嚇の声を鳴らし、花竜は図星を突かれた様子で、動きを止めた。


 やっぱりね……呪いの魔導具は、制御出来ない者が使うと後遺症が体に現れる。

 雪山で出会った盗賊、黒剣のグレアさんの友人、シープさんが常に眠気に襲われていた様に、あの花竜の体も呪いの杖によって体が蝕まれている。


 であれば、長期戦に持ち込めば、必ずボロが出る。


「じゃあ続きを始めようか、まだまだ僕の魔力は残ってるよ」


 そこからは、休む間も無く、1000連詠唱(サウザンドキャスト)のライトニングスピアーをひたすら全方位から放り投げ続けた。森に落下した稲妻は空間転移魔法で方向転換させ、数千、数万の稲妻が花竜を囲み、屈折の魔法により、曲げられる。


 呪いによって花竜の体はみるみる痩せ細り、先の見えない勝負は呆気なく終わりを告げた。


 骨の様になった緑の指先から、小さな木の杖が力無く離された。


 終わりだな……


「さよなら花竜。

 初級魔法(オリジナル)・『ライトニング』」


 フシュウ……と何か悟った様子で、空中で微動だにしなくなった花竜を、稲妻の魔法で焼き尽くした。


 そのまま静かに森の中へと落下し、花竜は消えて行った。


《パパ様》


 不意に幼い声が聞こえ、大きな青色の毛並みを持つ巨大な何かが、ズドン! っと僕の脇腹の辺りに体当たりして来た。


「フィアか!? どうしてここに?」


《遊びましょう》


 フィアのやつ、昨日生み出したばかりなのに、もう小型化の魔法を覚えたのか……? ルミネスに隠れて引っ付いて来てたみたいだ。


「ドミニク様ぁ! お怪我はありませんかぁ!」

「大丈夫だよ。まぁ何とかなったね……ルミネス! 鼻水!」


「にゃぁ! すいません」


 僕の無事を喜び、泣きべそをかいたルミネスも両手を広げて飛び込んで来た。


 丁度、同じタイミングでブワッと空気が振動し、探索と通信の光が飛んで来た。


 レヴィアからの通信魔法だな。


《ドミニク、聞こえますか! レヴィアです!》


 咄嗟に広場の方を振り返ると、まだ花竜の群れが上空を飛び回っていた。


「やあ、レヴィア。もう群れのボスは倒したよ、そっちはどう? 怪我人は?」


《こちらはもう限界です……エルフの軍隊も最初は元気だったのですが、もうぐったりして駄目な様ですね》


 人参レタスブーストの効果切れのせいかな? まぁ、流石に竜族との長期戦は堪えるだろうし、さっさとみんなを助け出さないとな。


《本当に石板を入れ替えても良いのですか?》

「うん、隠蔽の魔法が解けて、外にいる花竜の群れも攻め込んで来るけどね。後は僕が何とかするよ」


 レヴィアとの通信を切り、村の外を見渡していると、囲っていた隠蔽の魔法が解け、グオオ! と大きな鳴き声と共に、花竜の群れが一斉に侵入して来た。


「隠蔽の魔法を解いたのですか……一体、どうするおつもりなのですか?」


「大丈夫だよ、全てを終わらせる取って置きの魔法があるんだ」


 さてと、仕上げだ。現在、エルフの村と森の周辺を囲っている石板は5つ。

 その石板に魔力を供給していた核となる石板を、転移の石板に差し変える事で、隠蔽に変わる新たな空間魔法を発動する。


 研ぎ澄まされた魔力は、鮮やかな色が混じり合って変化し、神秘的な虹色の魔法陣を作り出して行く。


 今の僕に打てる最善の手、有りっ丈の魔力を込めた、最高の魔法を放つ!!



「神聖転移魔法・『ランドムーブ(土地移し)』」



 ※



 石板を移し変えた事により、隠蔽の魔法が消え、花竜との戦いは更に激しさを増していた。


 戦場を駆けていた人狼のウルゴが、広場の隅の祭壇に細工していたレヴィアに気付き、不思議そうに声をかけた。


「うぬぅ、その通信魔法はドミニクか!? 奴は何と言っておった?」

「はい! 何とかすると、そう言っていました」


「この状況を何とかするだと? グハハっ、本当に滅茶苦茶な奴だな」


 戦いは互角、力では圧倒的に劣るエルフ軍であったが、牽制と回避能力に優れる種族であり、騎士団に守られながら、何とか時を凌いでいた。


 そんな戦いも、ついに終わりの時を迎えた。


「何だ? 体が光ってるぞ!? 神聖なる加護が満ちて行く」

「商店街が消えて行く……村に何が起きてるんだ……?」


 エルフ達の体を、神聖な虹色の光が包んで行く。レヴィアも、光に包まれた自身の掌を見つめ、すぐにその魔力の持ち主に気付いた。


「この優しい虹色の光は、ドミニクの魔法です……」


 建物、花、木々、道端に落ちていた紙切れまで、次々と街が吸い込まれる様に消えて行く。ドミニクの放った神聖転移魔法の魔力により、核を含む6つの石板は破壊され、代わりに1つの魔力空間を作り出した。


 神聖魔法は神々にのみ使う事の許される、人間の踏み込めない神聖なる魔法だ。土地移しの魔法もその1つであったが、ドミニクは石板を使う事で、それすらも軽々と再現してしまった。


「うぬぅ、広域転移魔法とはのう……予想の遥か斜め上を行きおったわ」

「ふふっ、ドミニクは本当に凄いのです」


 まだ戦いの中にいたエルフの軍隊、騎士団、その全てが森一帯ごと、花竜の群れを残し、とある場所へと転移された。

 邪悪な魔獣の侵入を決して許さない、エリシアスの結界内。


 無限の霧樹海、ギルド偵察部隊キャンプ地の隣へと、エルフの村は丸ごと転移された。

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