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《3巻発売中》 僕がSSSランクの冒険者なのは養成学校では秘密です  作者: 厨二の冒険者
第2章 仕様上削除不可の ifルートおなっております。
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「全員集まったか、久しぶりの召集だな」


 エルフの村にある訓練場の会議室にて、村の代表者数名が机を囲んでいた。


 指揮を取っていたのは、民族衣装に羽冠を付けた色黒のエルフの長、サイロス。

 何百年もの間、人間とエルフの交流を拒み続けている、古き頑固者であった。


 エルフの民、総勢300名の内、戦闘に(たずさ)わる軍隊に属している者は100名とかなり少数だが、人間よりも魔法適性が高い種族であり、幼い頃から狩や戦いを学んで育って来た。

 武力に置いては他の国を圧倒出来る、サイロスはそんな根拠の無い自信を持ち、エルフの軍隊にもずっとそう言い聞かせて来た。


 非常事態にも関わらず、サイロスが余裕の姿勢を崩す事は無かった。


「邪悪な竜が群れを成し、神聖なるこのエルフの村を攻め落とそうと向かって来ている。全員、覚悟を決めて迎え撃つぞ」


「待って下さい!」


 納得行かない様子で立ち上がったのは、警備兵のリーダー、ユフィル。長髪を結ったエルフ特有の髪型に、軽鎧を纏い、大きな弓を手放す事なく抱えていた。

 ユフィルは頭の切れる男であり、この中では唯一、僅かばかりではあるが、人間への理解を示していた。


「先程、村の侵入者と接触して来ました。まだあどけない少年少女でしたが、エリシアスか王都の民だと思われます……これはチャンスではありませんか?」


「村に人間がいるのか?」

「まずいだろう、どこがチャンスなのだ」


 人間の侵入者がいると聞き、参加者から不安の混じった声が漏れる。それに乗っかる様に、ユフィルは話を続けた。


「考えてみて下さい、王都の人間が村にいるのならば、事情を話して、騎士団を呼んで貰う手もあります」


 人間に手を借りるなど言語道断、ユフィルの提案をエルフの長、サイロスが遮った。


「駄目だ、例え緊急事態であったとしても、我々に関わりの無い連中が、無償で手を差し伸べてくれるとは思えん」

「サイロス様の言う通りだ、人間は弱いくせにズル賢い種族だ。我々に恩を着せ、村を奪われる可能性だってある、そうなれば本末転倒だぞ」


「しかし、森に住む他の部族からも報告がありました、遅くても明日、いや、今日の夜にはこの村に竜族が襲撃に来ます……」


 近年、エルフの村では花竜の襲撃が頻繁に起き、住民達は頭を悩ませていた。

 たった1頭の花竜を討伐するのでさえも、生死を分ける戦いとなる。それが複数とあれば、被害が甚大な物になるのは目に見えていた。


「いや、結論は変わらん。予定通り、エルフ族だけで防衛戦を行う。住民達を今すぐ広場の方へ避難させろ」


「サイロス様! 我々だけで勝てる可能性は……」


 ユフィルは立ち上がり、無謀な作戦に異議を唱え続けるも、誰も聞く耳を持たない。エルフ族はやはり、戦いにおいて絶対的な自信を持っていた。


「エルフの戦士たる者が怖じ気付いたのか? 策はある。最初の一手で全員で大規模魔法を放ち、一気に殲滅する。後に戦える者達で村西方、住宅街に花竜を誘い込み、1匹残らず仕留める。森で奴らと戦うな、植物系魔法で八つ裂きにされるぞ」



 ※



 ララノアさんに言われた通り、魔力を辿って村を進んで行くと、庭に大きなオリーブの木が生えた一軒家に辿り着いた。


「おーい! こっちだよー」


 採取用のカゴを持ったララノアさんが、玄関先で手を振って迎えてくれた。


「好きなだけ採ってねー」

「え! 沢山採っても良いんですか?」


「へーきへーき、だって一杯あるもん」


 垂れ下がったオリーブの木の枝から、黄緑色の実を手で毟ってカゴに入れ、家の中へとお邪魔した。エルフの家はレンガの三角屋根の木製で、忍びの国の民家に近い。

 放浪エルフのララノアさんに家族はいない、年齢も不詳だ。エルフ族は長寿らしく、見た目が若いのに数百歳くらいの者もいるんだとか。


「おいでおいでー、こっちで料理修行を始めるよ!」

「はい、ララノア師匠!」


「私は、そちらでエルフ族の本を読んでます、独自の魔法理論を学びたいのです」


 手招きするララノアさんに調理場に案内され、料理スキルの手ほどきを一から受けた。噂通り、エルフ族は確立された調理方法を持っており、食によりお腹を満たすだけじゃなく、魔力補助や身体強化の効果をもたらす調理法を教わった。


「魔力で調理器具をコーティングするんですか?」

「そーそー、簡単でしょー。次はオイルね、まずはオリーブの実から汁を絞って、油分だけを分離させるんだよ」


 さっき、カゴに入れた大量のオリーブの実を、掌に包んで持つ。

 そのまま魔力を込め、握力で絞って器を汁で満たし、分離の魔法で汁から抜き出した油分を、スプーンですくって透明な瓶に移して行く。あっという間に、瓶が綺麗なオリーブオイルで満たされた。


「じゃーん、完成だよぉー」

「おおー、完璧ですね」

 

 商店で買って来た野菜を、スタンスタンッと切り分けた後、完成したオリーブオイルを野菜にドバーッとかけて、レヴィアに試食してもらった。


「美味しい……あれ? 私の体が魔力の光で包まれてませんか? 不思議です」

「風属性の、魔力変換効率が上昇する魔法をかけてみたんだけど、どうかな?」


「特殊効果のある料理ですか? 面白いですね、魔法を使ってみます!」


 魔力変換効率が高くなると、空気中の魔力を体内に吸い込む量が増え、魔法の規模が大きくなる。レヴィアがテーブルの上に置いてあった花瓶に向けて、風魔法の魔法陣を描いた。


「そよ風を起こす程度ですが、行きます!

 現代魔法・『ウインド』」


 シュバーン!! っと、一瞬にして室内に暴風が吹き荒れ、花瓶が宙を舞っていく。


「きゃあ! 何やってるのー!?」

「レヴィア、張り切りすぎだよ!」


「そ、そんなつもりでは!? うっ、気持ち悪いです……」


 パタンっと、血の気の引いた顔のレヴィアが、静かに床に倒れ、暴風が収まった。


 え……どうなってんだ!?


 ※


 それから、無事に意識を取り戻したレヴィアを、葉っぱのうちわでパタパタと仰いでいた。ララノアさんは、散らばった家具を拾いながら怒っている。


「ちょっとレヴィアちゃん! 家の中でやりすぎー」

「すいません、信じられ無い程の魔力が体内に流れ込んで来ました。一体どれほど、魔力変換効率が上昇していたのか……」


「そう? 8000%くらいしか上昇してない筈なんだけど……」

「聞いた私が間違いでした……常人の変換効率は200%程度で……いえ、この話はやめましょう」


 なるほど、杖と違って直接体内の魔力変換効率を上げ過ぎてしまうと、魔力に酔ってしまうらしい、調整が必要だな。


 それからミキサーの魔法を習い、商店で買って来た人参とレタスで、魔力変換効率の上がる人参レタスジュースを作った。


「これでどうかな? 飲んで見て」

「……美味しい、問題無さそうですね。体が軽いです!」


 試行錯誤の上、レヴィアに試し飲みして貰う事、数回、魔力変換効率1500%程の、魔力に酔わない人参レタスジュースが見事に完成した。


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