【第1話 始まり】
ずっと、忘れずに覚えている。真っ黒で血だらけの部屋を。水とは違って、鉄臭くて、妙にベタベタしているような気がする。鼻かひん曲がりそうだった。みんながみんな殺された。生存者は私のみ。私はこの出来事以来だろうか。何かを失って、何かを得たような気がする。
ジリリリリリリリ
うるさい!と思って目覚まし時計を見たら、朝の6時。もう少し寝たかった。仕方なく、朝の身支度をした。
起きても、誰もいない。俺は今高校生になってから一人暮らしを初めて早、3ヶ月。小学生の頃まで住んでいたところに俺だけ戻ることにした。両親は、海外で生活しているからっていう家庭内事情だった。
街は、昔と何も変わっていなかった。林田りん、佐々木穂乃果、竹岡真斗、飯川学など仲のいいメンツもすぐに会えた。身長が伸びたぐらいで、特には変わっていなかった。どことなく、安心した。だって世間は、大きく変わっていたからだ。
それは、俺らが10歳くらいだったはず。偶然に『次元の歪み』という穴を宇宙で発見された。よくある、異次元への行き道というものなんだろう。そこから、地球へと侵入してきた生命体がいるという。人間、動物などに似た姿だとか。それを『人害物質』と読んでいた。『物質』て、名前を付けるのはどうかと思うけど。
そいつらは、どの国のどこの地域を選び、その地域の人が集まりやすい、学校などを選ぶ。そしてその中から、10人ほどのターゲットを選び、そいつらを異次元へと連れていくらしい。それを1年間、ターゲットは1ヶ月に1回変わる。全てが本当なのかは分からなかった。
学校に着くと、既にその4人はそこにいた。みんなで何かを見ていた。
「おはよう、何見てるん?」
「おはよう、祐也。知らんのか。次のターゲット、ここらしいで。」
「マジで!それって結構…」
「ターゲット誰なんやろ。ちょっとドキドキすんな!」
「真斗、お前、怖くないんか。」
「なんで怖いん?」
「学も!だって、噂でああ言われてるけど、実際殺されるかもしれんねんで。」
「そんなことないって!考えすぎや。もしそうやとしても、特別軍が守ってくれるんやろ。」
特別軍。その存在は噂で、『人害物質』を倒すことが出来る唯一の存在だとか。
そんな奴ら、いないんだろうな。
危機感なんて、どこにもなかった。ターゲットが誰なのか、知りたがっていた。でもそれは、ゲームであり、俺らは誰かが悲しむなんて思ってもしてなかった。ゲーム開始のチャイムがなるまで、あと30分ぐらいだった。