ナビンの書 ----創世記--ジェネシス----
ナビンの書
----創世記----
01
はじめ世界は、無であった。
しかし世界は完全な無ではなかった。
はじめ、世界には唯一、【音】があった。
そして、音が世界をつくり、【音楽】が、命をつくった。
そしてその原初の世界に、父親も無く、母親も無く、自分自身の力で己を誕生させた孤児が生まれた。
そのみなしごの名は、イイクーという。
はじめて誕生した生命、イイクーは、生命体であり、惑星でもある。そして本当の神である。
イイクーは、はじめ、砂つぶほどの大きさもなかったが、ながい時を経て成長し、やがて、一つの銀河系ほどの大きさになった。
世界は、はじめ、闇しか無かった。
イイクーは、光を生んだ。太陽ヌスと、月ヌームである。
そしてイイクーは、光と闇をかき混ぜて、最初の人間、「クゥート」と「ノーアン」達を生んだ。
イイクーは、他にも沢山の生物をつくった。
クゥートとノーアンも沢山の人類の子孫をつくった。
クゥートとノーアンは、完全な無ではない無から誕生した神、惑星イイクーに感謝した。やがて人類は増えに増えてクゥートとノーアンの子孫、家族達は互いに争い、親が子を殺し、子が親を殺し、家族は分裂し、部族がわかれ、部族同士が争い、国家同士が戦争をし、人々は血でけがれた足で、神である惑星イイクーを踏みにじった。
しかし神、惑星イイクーは、沈黙を守った。
自分達の子孫の争いを嘆いたクゥートとノーアンは旅にでた。そしてクゥートとノーアンは旅の途中で別れ別れになり、クゥートは天翔ける舟を造り、太陽ヌスを目指してそこでクゥートは灰となり、元の光と闇となって死んだ。
一方、ノーアンも天翔ける舟を建造し、月ヌームへと降りたち、そしてノーアンは月ヌームの、「イーサンの海」に、「アークの神殿」を建てた。
02
ノーアンは苦しんだ。
灰となって死んだクゥートの事。堕落した人類の子孫の人々の行い。そして踏みにじられてしまった神、イイクーの事を思い、なん千年も苦しんだ。
クゥートもノーアンも、神、惑星イイクーをこれ以上踏みにじる事ができなくなり、惑星イイクーを離れたのであった。
月ヌームのイーサンの海のアークの神殿でなん千年も苦しんでいるノーアンに対し、神イイクーは、憐れみを覚え、ノーアンの望み通りに神イイクーは、ノーアンの存在を完全な無にし、楽にした。世界ではじめて、歴史ではじめてノーアンは、完全完璧な無になった。
人々の愚かな行いを悲しんだ人々達の大父と大母のクゥートとノーアンは空へと消え、そこでクゥートとノーアンの子孫達は、心の支えでもあった大父と大母を失った事に大きな痛みと悲しみを覚えた。そして人々達は、様々な法と秩序と宗教と教えを生み出した。
しかし人々は、その自分達が踏みしめている惑星イイクーこそが、本当の神イイクーであるという事は知らずにいた。
大地の神イイクー、惑星イイクーこそが宇宙神、世界の神、創造と破壊の神である。
永遠の存在と永久の無は、神イイクーがつかさどっている。切なる願いは、大いなる希望は、神イイクーが望めば叶えてくださる。
真の有の神、真の無の神、イイクー。
無限の命、久遠の空は、そして、永遠の平安は、神イイクーが用意してくださる。
永遠の有を、永久の無を望み求めよ。しからば、久遠の平安が約束される。
永遠の有か?
永久の無か?
神イイクーに、どちらかの平安を望み求めよ。
どちらも求めぬ者は、土へと還り、また新たなる生を受けるべし。