本編③ ── 彼女の結末
結局、俺たちは買い物をせずにらし●ばんからそのまま駅へ向かうことになった。
電車に揺られること数十分。
電車から降り、歩くこと数分。
そして家へ着く。俺たちの家はアパートの二階にあるため、階段を上る。
部屋へ着き靴を脱ぐ。小林がシャワーでも浴びているのか、浴室のほうから水の流れる音がしている。
とりあえず彼女──もとい、篠原 美女はリビングにある机に座らせておいた。その間、俺は自分の部屋に散らばっている十八禁的なものを片づける。
一通り片づけを終え、リビングへ戻ると、そこにはパンツ一丁で驚愕している小林の姿があった。
身体をカクカク動かし、口をパクパク上下させ、
「ゑゑゑゑゑゑ??」
「おい、小林。俺の彼女とか誤解してるんじゃないだろうな。ただの幼馴染の、篠原 美女だ。今日一日、泊めてくれってよ」
「篠原よ! 俺はまだ、貴様がなぜ家出しなければならないのか聞いちゃいないぞ!」
花岡が復活した。
俺が躊躇して訊けなかった理由をさらっと質問する花岡さんすげー。いや、馬鹿なだけか。
「あら。付き合ってくれていたときと同じように、美女と呼んでくれて構わないのよ?」
「あ、あのときのことを話に出すなっ! 恥ずかしいわぁっ!」
「付き合ってくれと言ってきたのはそっちじゃない。なによ、あれは本音じゃなかったの?」
「本音に決まってるだろ! ‥‥‥い、いいから家出した理由を教えやがれッ!」
「そうね。話すと長くなってしまうのだけど、私が女の子の後輩とR18的なことをしていたから」
「く、詳しくお願いします」
「どこから話せばいいのかしら。まず、自分がレズだってことに気がついたのよ。偶然、ネットでレズプレイを見てしまってね。
それで、とりあえず自分が本当にレズなのかたしかめるため、女の後輩を家に呼んだのよ。
やっぱり興奮してしまって、《 自主規制 》などをしてね。まあ、そんなことやあんなことをしていたのを親に見つかってしまって。
家族会議になって、追及されて‥‥‥それが嫌で、家出したわ」
「‥‥‥‥それは、違うだろ」
花岡が、真剣な声音で言った。いつになく表情も険しい。
俺なんかよりよっぽど主人公している男の姿が、そこにはあった。
「どうして、逃げるんだよ」
「逃げてないでしょう。家出をしているだけ」
「それが逃げているんだろうが! てめえな、可愛いならなんだって許されるとか思ってるんじゃねぇぞ! お前は甘えてるだけだ!」
「何によ‥‥」
「親にだよ! じゃあ訊くが、お前はそうなった場合、相手が親じゃなくても家出なんて手段をとったのか!?」
「‥‥‥そっ、それはッ‥‥」
「お前は親に甘えて、現実から逃げているだけだ! なんで言わねえんだよ、自分が百合だってよォ!」
「そんなことを言ったら、蔑まれるに決まっているじゃない!」
「俺たちはロリコンだ! それは十分蔑まれるべき趣味だ! 貶されるべき趣味だ!
だけどなァ、俺は一度だって自分がこうあることを悔やんだことはない! むしろ、ロリコンであってよかったとさえ思っている!」
花岡は大きく息を吸い──
「自分を、恥じるなよッッ!」
言い切った。
「‥‥‥‥」
篠原は、数秒床を見つめて。
やがて、正面を見る。花岡の立つ、正面を。
「‥‥‥やっぱり今日は、泊まるのをやめて両親と話し合ってみるわ」
その瞳が薄っすらと涙で覆われていたのは、俺の勘違いではないだろう。
篠原は俺のほうを向き、笑顔で言った。
「また、来るわねっ」
「‥‥‥‥おう」
篠原がドアを閉めたあと、部屋の中に数十秒の沈黙が続き。
ぽつりと、小林が声を漏らした。
「俺、話にまったくついていけなかったんだけど‥‥‥」
というわけで、篠原 美女編(?)は終わります。
ここからはしばらく、なんでもない会話というか、息抜き回が続くと思います。
さて、ここからは近況。
エロマ●ガ先生面白いっす。マジで。これは、素晴らしい作品ですわ。なんというかね、もうオーラが違うんですよね。全力で作っているのが伝わってくるといいますか。
で、今日からゼロ●●始める魔法の書が始まりますね。原作は追いかけていないのですが、売れているということで期待させていただきます。
では、次回は明日投稿します。息抜き回なんで書くのが楽なんですよ(笑)。