エピローグ① ── 俺たちの、俺たちだけの。
『そろそろ同人誌、作らねえ?』
半年ぶりに聴いた花岡の声。何も変わっていない、いつも聴いていた声。
俺たちは去年、久しぶりに小林、篠原を合わせた四人で話していたのだ。
そのとき花岡が提案したのが、
同人誌作り。
ドラマ化、アニメ化を果たし500万部売れた『碧色の街で、ぼくたちは駆けていく』の原作者、モリタカズキと。
同人誌も作り始め、本格的な大物イラストレーターとなり始めた、ムサシ。
そして夫婦の花岡、篠原で売り子をして。
同人誌を売る。
その企画を、本格的にやり始めようと言うのだ。
そして俺はいま、二十六歳だった。
夏コミで申込書をいただき、俺たちはさっそく動き始める。売るのは次の冬コミ。
俺たちはラノベを売る。それなりにちゃんとしたラノベを。
挿絵も口絵もあるラノベ。売れるかはかなり不安だけど、同人活動の本意は売り上げじゃないと思うから、まあいいだろう。
あ、言うのを忘れていたけど、花岡は制作進行にはならずに、普通にサラリーマンをやっている。いや流れ的に制作進行やれよ。
「話はどういうのにする?」
「なん、だろうなぁ。宇宙から幼女が降ってくる話とか? 小林、前に『空から幼女が降ってこねえかなあ』とか言ってたじゃん」
「別に小説にするほどじゃないよ。それよりももっと、みんなが試さないようなジャンルに挑戦したい。せっかくの同人誌なんだしさ」
ちなみに小林のコミュ障は治った。やはりイラストレーターはけっこう他人と話すものなんだろう。
小林、大手のくせしてわざわざ売り上げ確かめに、同人誌を売っているところまで足を運ぶから、ファンと交流とかするんだろうな。
俺も見習いたいものだ。
「もう、お前らの過去話でよくね?」と、それまで声を発していなかった花岡がいきなり呟く。
「‥‥‥過去話?」
「ほら、どうしてラノベ作家になったのか、とかさ。けっこう読みたい人もいるんじゃねえの?」
「‥‥‥なるほど、ね。いまとなっては黒歴史だけど、まあ俺もちょっと書きたいし、小林もそれでいいか?」
「その場合、女の子は篠原さんだけか。これは腕の見せどころだな。だれでも好きになれるキャラデザ、ってとこか」
「うわ、やべえ。どんどんアイディアが出てくる。最初にお前らにも語り手をやらせるってのはどうだ?」
「なにそれすこ。じゃあプロローグ的な感じで、一人ずつ書いていくか」
「それなら俺、花岡と篠原の絡みが見てみたい。結婚したときのこととか」
「‥‥‥恥ずかしいなァおい。いや書くけどよ、俺って文章下手だぜ?」
「じゃあ私も書きたい、プロローグはいいから語り手をやってみたい」
「あ、それ読みたい。それじゃあ──」
そして、俺たちは物語を紡いでいく。
書いて、描いて、書き上げて、描き上げて。
俺たちの、俺たちだけの物語を。
遅れました。すみません。
この「エピローグ」は一話で書きたいと思っていたのですが、やっぱりいま投稿しちゃえ! と、投稿させていただきました。
というわけでね、エピローグです。
良いのか悪いのか、僕の書く小説ってだいたい早歩きなんですよね。こう、物語の展開が早すぎるというか。
思いついたらそれだけを書きたくて、早く早くぅって切羽詰まっちゃうんです。今回も30000文字以内で終わっちゃいそうだし。
というわけで、次回作ではそれを注意して書いていこうと思っています。
いや、まだこれも終わってないのになに言ってんだ、って感じですが。
えー、次回は明日か二日後に投稿ですね。
待っていただけたら幸いです。ではまた。




