本編⑭ ── 結婚
俺は今日、美女に結婚を申し込む。まだ正式に付き合って二週間だが、それでもこういうことは早いうちに言ったほうがいいと思うから。
ちなみに俺たちは、あの日──俺が衝動に駆られ、その‥‥‥エッチ、してしまった日。あの日から二日後に、俺から正式に交際を申し込んだ。
美女は涙ながらに了承してくれて、その日から毎日のように、大学が終わると俺を迎えに来て、一緒に帰るようにしている。
まあ、結局は夜になると家に帰るのだが。それでも俺は、そんな生活が好きで、そしてそんな美女が大好きだ。
三次元のことをゴミゴミ罵倒してた俺だが、案外ただの嫉妬だったのかもしれない。
付き合った今では、なんかすごい優しい気持ちに包まれている。こう、穏やかと言うかなんというか。ぐふ。
まあ、そんなわけで今日は土曜日なわけだが、美女とは家の近くの公園で約束している。俺は既に公園まで来ていた。
約束の時間は午前の十時半。あと三十分ある。心の準備は出来ている。ちなみに指輪はプロポーズしてオッケーが出たら一緒に選ぼうと思う。
はぁー‥‥。緊張するぅー‥‥‥。
全国の夫はこんなすごいことをしていたのか。これからは二十代以上の結婚してそうな男女には「爆発しろ!」と言わないでおいてやろう。しかし十代のビッチくさい奴らには遠慮なく「爆ぜろォッ!」と言ってやろう。
「あら。約束の時間まであと二十分もあるのよ? なんでこんなに早く来てるの? まあいいわ、とにかくデート、行きましょ」
なぜか美女も時間より早く来た。なんだろう、このラブラブっぷりは。「早く‥‥‥あなたに逢いたくて」とか上目遣いで言ってくればなおよい。
というわけで俺たちは、行こうと約束していた渋谷駅まで向かう。
「俺、渋谷初めてなんだけどこんなんなってんのか‥‥‥。いかにもリア充が好きそうなところだな」
「いまは貴方もその、リア充なのだけれど」
「はっ!? そうなのか、俺はリア充になったのかッ! 実感まったく湧かなくて草!」
「‥‥‥リア充になったんだし、そろそろネット用語を使うのは止めたら?」
「何を言っている。俺はアニメが好きだ。だがお前のほうがもっと好きだ」
「‥‥‥そう。嬉しいわ」
「おう」
なんか、俺たちラブラブすぎじゃね? え?
というわけで、昼飯の時間。俺たちは喫茶店で食事のようなティータイムのようなよくわからん時間を過ごす。某有名喫茶店とかのサンドイッチを昼飯に食べるのって実際どうなの? 昼飯なら普通に食堂行けよこんなとこじゃ満腹になんねぇよ。まあついに俺もその一人になってしまっているわけだが。
さて。いつ指輪を渡そう。なんかこういうオサレな店は指輪とか渡しやすいんだよな。なんとなくだけど。
「‥‥‥あの、さ。美女」
「なによ?」
「‥‥‥‥‥‥ゅ、ゅ」
うわ、俺ってこんなに勇気なかったのか。
苦笑しか出来ない。目を合わせられない。
言わなきゃいけないのに。俺の未来のために、言わなきゃいけないのに。
ここで。
ここで言わなきゃ。
「ゆびわ‥‥‥は後だッ! そうじゃなくてェッ! ああもうッ! もう雰囲気なんか要らんわッ!
幸せにするから結婚してくださいっっ!!」
「‥‥‥‥っ!」
沈黙。沈黙。ヤバい。断られるか?
そりゃそうだろ。まだ二十歳になったばっかの奴がなに言ってんだって話だ。
「いまのは、やっぱ忘れてくれ」と言おうと美女のほうを向くと。
「‥‥‥‥ぅっ、早いっでの、‥‥‥もおっ! ‥‥‥なんだ? ゼックスじて、調子のっでんのか?」
泣いていた。
笑っていた。
鼻水を垂れ流して、
嬉しがっていた。
それはやっぱり。
そういうことなんだろうか。
「いいに、ぎまってんだろ」
「喋り方、あのころに戻ってんぞ?」
「ば、ばがぁ! アホみたいなぐちょうだったがら、直そうっで、クールな口調にじたのに‥‥‥ぐずんッ」
「へへ。そのままでいいだろ。可愛いぞ、美女」
「‥‥‥あ、ありがとっ」
「おう。‥‥‥へへっ」
そして俺たちは、このあと指輪を買いに、渋谷の街を歩くのだった。
風邪をひきました。37度8分です。頭痛てぇ。
というわけで、篠原回、‥‥‥になるのかな?
とにかくまあ、最新話です。
次回は明日か明後日に投稿ですかね。ていうかそろそろ終わりそうで怖い。まだ書き始めてから一ヶ月も経ってないのに。




