本編⑫ ── 武蔵とムサシとアニメ化と
「ははっ、おい小林見ろよこれ。俺たちと同じような状況で草」
「あん?」
そう言って花岡が俺に見せてきたもの。
それは──俺がツイッターで書いたツイートだった。
『シェアハウスしてる友だちがいるんだけど、そいつが女とエッチしてたっぽくて裸でベッドにいた。
くっそ、裏切りやがって。俺もセックスしてえw』
という、ツイート。
俺の仕事用アカウント、つまり俺のイラストレーターとしてのツイッターアカウントで書いたツイートだ。
「‥‥‥お、おまえ、ムサシのことフォローしてるのか」
「このひとの描く着エロは神だからな」
「そ、そぉう?」
「なんでおまえが照れるんだ。俺はムサシ神のことを褒めているんだぞ」
「そ、そうだよな、うん」
と、そこで。
俺の携帯かららき●すたのオープニングが流れる。俺の着信音だ。
「は、はい小林デス」
『あ、ムサシくん? 担当の緑川ってことなんだけど、重大発表があるってことで電話したってこと。それで時間空いてるか訊こうとしてるってこと」
「え、重大発表、‥‥‥ですか? 時間なら空いてますケド」
『そういうことなんだけど。言うけどさ、アニメ化が決定したってこと』
「あ、あにめ‥‥‥? って、『ゼロから始まった日常生活』のですか!?」
『そういうこと。「ゼロから始まった日常生活」、アニメ化決定ってこと。いやはや、めでたいねぇ』
「うッ、うおおおおおおおおッ!!」
『テンション上がってるねぇ』
「俺が描いた作品がアニメ化ですよ!? これでテンション上がらないわけがあるかァ!」
『はっはっは。あとは注意みたいなことを言わなきゃいけないってことだけど。まだ他言しちゃいけない、アニメ化したことは。ってこと』
「うーっすッ!」
『じゃあ切るねー、ポチっとな』
と言って、緑川さんは通話を切る。
俺はまだ熱が冷めず、「アニメ化キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!」などと吠えていた。
しかしまあ、俺はやはり忘れていたわけで。
「おい小林、今の電話って‥‥‥」
「小林、おまえラノベ作家やってたのか?」
俺がいま、こいつらと同じ部屋にいたってことを。
「あー‥‥、まあ、‥‥‥そういうことだ。ラ、ラノベ作家じゃないけど、俺はイラストレーターをやっていタ」
「なんで俺たちに隠してたんだ?」と、守田に訊かれる。
「‥‥‥だってほら、お前らめっちゃ馬鹿にしそうだし」
「で、そのラノベってなんなんだ? アニメ化しそうなラノベ、か‥‥『りゅうおう●おしごと!』とかか?」
「‥‥‥いや、『ゼロから始まった日常生活』」
「ゼロ日アニメ化決定かー? んじゃおまえムサシなのか。そんならサイン描いてくれよ」
「お、おう‥‥‥」
馬鹿にされるかと思っていたから、案外好反応だったことに驚いた。
う~ん、サインなんて描いたことないから困っちゃうなぁ~、はっはは~。
「それにして小林、おまえ同人誌とか出してなかったけどこれからも出さない予定なのか?」
「え、えっと‥‥‥お前らに馬鹿にされそうだし仕事量も半端じゃなくなりそうだったからやってなかったケド‥‥‥これからはお前らの前でも仕事出来るし、やってみよう、カナ」
「んじゃそんときゃ売り子やってやるよ」
「ア、ありがとぅな‥‥‥」
こうして、ちょっとした驚きがあったりして。少しずつ春休みにも終わりが近づいてくる。
永遠にも感じていた春休みにも、少しずつ、少しずつ終わりが近づいて。
ゆっくり、ゆっくりと。だけど、確実に進んでいる。
ふと、思った。
一年後も五年後も十年後も、俺たちは一緒にいるのだろうか。
そんなことを、ふと。
ちょっとずつ、しかし確実に終わりに近づいています、「普通となるため、ロリコンは。」でした。
近況としては、ツイキャスを見るのにハマってます。それくらいしか書くことねえ! いつもラノベ読んでるとき「こいつのあとがきつまんねえんだよなあ」とか思ったりしてるけど、あとがき面白く書ける奴を尊敬の眼差しで見始めている今日この頃です。
というわけで、次回は明後日投稿します。
どんな話になるかは、僕自身まだわかりません。




