本編⑨ ── 現在へ
「えっと、俺の名前は守田 一樹です。趣味はゲームで、特技は特にありません。一年間よろしくお願いします」
花岡にも、高校に入ってからは普通に過ごしたいからアニオタだということをバラさないでくれ、と言っておいた。
そして自己紹介でのこの「普通」さ。完璧だろう。
そう思っていた、矢先のこと。
「あれ? 守田じゃん! うっわー、なんでこんなとこにいるわけ? マジウケるー」
「‥‥‥‥‥‥チッ」
わざわざ家から離れた高校を選んだというのに、中学校の同級生がいたのだ。
そしてこいつにアニオタだと広められ、俺の「普通」な高校生活は終了したのだった。
さらに、家に帰ると犯罪者扱い。
次の日も、犯罪者扱い。
その次の日も、犯罪者扱い。
その次の日も。その次の日も。その次の日も。
その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。その次の日も。
過去からは逃げられないのだと、毎日じわじわと感じていくような日々が続いた。
花岡は俺と同じ道を進むのかと思っていたら、奴は皮肉にも彼女なんぞを作っていた。
ちなみに彼女──篠原 美女とは一年半くらいで別れた。あいつにしてはけっこう頑張ってほうだと思う。
そして高校では、小林 武蔵なる人物と出会った。
俺がアニオタだと聞いた小林は、ずっと俺の周りをストーキングしてきた。しかし見てくるだけで一向に話しかけてこないから俺が近づくと、奴はめっちゃ喜び、すぐに俺と友達となる。こういうイベントは女の子が相手じゃないとキモいだけだということだけはよくわかった。
少なくともこいつらと喋っている間は、俺は人生を楽しんでいた。
大学に入れば家族とも別れられるという希望を胸に、俺は高校を卒業したのだった。
そして高校も終わり、一人暮らしを始め、約三年が経ち、現在へと至る。
あいつらとと一緒に喋るのは本当に楽しい。
しかし、なぜか俺はまだ、心の内で「普通」になることを望んでいた。
これにて過去編は本当に完結です。
次は息抜き回が一度入ります。メールでも読むような感覚で読んでいただければ幸いです。
では、次回は明日か明後日に。




