本編⑦ ── 妹萌(中編)
俺はラノベをもらったあの日から、毎日のように『妹萌』に通っていた。
平日も、休日も、寒い日はストーブなんか出してもらったりして。
それでも確実に、このころから終わりは近づいていたのだろう。
小学六年生を卒業した、その日。
俺は卒業したことがたまらなく嬉しくて、卒業式が終わってすぐに店主のおじさんのところに向かった。
笑顔で、まるでおじさんに会うことがこの世で一番楽しいことだと言わんばかりに。
この日、俺がおじさんのところに行かなければ、あんなことが起こることもなかったのかもしれない。
卒業式は十時ごろに終わったため、昼飯を食べに十二時ごろに『妹萌』を出た。
家に帰ると美味しそうなカレーが作られており、あのころの俺は「今日はいい日だなー」なんて思ってたっけ。
俺がガツガツとカレーを食っていると、母親が恐る恐る口を開いて、俺に問いかけてきた。
不審者でも見るような目つきで、俺を見て。
「‥‥‥さっき行ってた店って、何なの?」
そう、卒業式は保護者も出席しなければならないため、俺は『妹萌』に足を踏み入れたところを見られていたのだ。
さらに、俺には妹がいる。二歳下の妹が。
最近では「萌え」という文化もテレビで紹介されたりしているため、一日中家にいる専業主婦の母さんも知っていたのだろう。
「なにか言ってよ。まさか、最近帰りが遅いのもそこに行っているからなの? 答えなさい!」
穏やかという言葉がよく似合う母親が、珍しく怒鳴った。
子供のころの俺は、母親のその豹変ぶりに対応できず、ただ俯くことしかできなかった。
「‥‥‥もうあそこに行くのはやめなさい。いいわね?」
いますぐ、泣きたくて。
ここから、逃げたくて。
「‥‥‥‥‥‥‥はい」
俺は、そう答えていた。
その夜を境に俺は、『妹萌』に遊びにいくことがなくなった。
おじさんも察してくれていたようで、『妹萌』を通るとき、目が合っても呼ばれることはなかった。
中学校に進学した俺は、鞄に入っていた美少女のストラップを見られ、アニオタだと馬鹿にされ続けた。
それでも理性を保っていられたのは、花岡 晴翔という同類がいたからだ。虐められても貶されても、俺たちはアニメの話をすることで互いを慰め合った。
家族との関係が崩れ始めたのは、妹が俺の部屋に対して不満を漏らしたことがきっかけだ。
中学二年生だったとき、妹は小学六年生だった。友だちを家に呼んでキャーキャーするお年頃だ。
夕飯を家族全員で食べていたとき、妹が不満を漏らし始める。
「お母さん、こいつの部屋マジで気持ち悪いからなんとかしてくれない? 友だち呼びたいんだけど、こいつキモいから友だちに引かれちゃうと思うんだよねー」
「‥‥‥‥一樹。なんとかならないの?」
「別に」
「‥‥‥‥」
その次の日。
学校から帰ると、俺の部屋に在ったポスターやフィギュアは、破られ破壊されていた。
さて。本編にはまったくもって関係のない話なのですが、サクラクエ●ト面白いですよ!
見てないひと、サク●クエストはマジで面白いので見てみてください! SHIR●BAK●と同じお仕事シリーズだと知っていれば、一話からリアルタイムで見ていたものを‥‥‥!
というわけで、次回は三日後投稿とさせていただきます。どうぞよろしく!




