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駄文

神様からの贈り物 ~誕生日に出会った憎いヤツ~

作者: 尾多 悠

下ネタです。ご注意ください。

 今日は私の誕生日だ。


 先に断っておくと、別に「誕生日おめでとうございます」だとか、お祝いの言葉をもらいたいという浅ましい気持ちで寂しくもこのような話を書こうと思ったわけではない。

 しかし、今日という日に我が身に起きたことを、「是非ともこれは書かねばならぬ」とありもしない使命感に駆られて書いている。

 もしも小説の神様とやらがいるのなら、今回私は彼の存在から挑戦状を叩きつけられたようなものなのだから。


 まあ、実際のところ、そんな使命感は錯覚でありもしない幻想だ。


 ただ、この出来事を私の中だけで消化し、なかったことにするのはもったいないのでよければ聞いてもらいたい。

 時間を無駄に浪費させてしまうことは確実で、じつに申し訳ないのだが……。




 今朝のことだ。私はアマ○ンからの宅配便を待っていた。

 クロ○コがトレードマークの業者から届けられる品物は、部屋干し用の物干しスタンド。

 うちのマンションのベランダは日当たりが少し悪く、ものぐさな私は部屋干しをよくしている。

 そのため、そろそろちょっと大きめの沢山干せるタイプのものが欲しくて注文したのだった。


 外では早朝から雨が降った名残で、空にはどんよりと灰色の雲がたちこめている。

 こんな日に宅配便は大変だろうなあと思いつつも、心静かに私は待っていたのだ。


 ピンポーン、と部屋のベルが鳴り、ブツが到着した旨が知らされる。

 マンションのエントランスのドアを解錠し、配達員が部屋に来るまでの時間は1分足らず。


 配達員は、見知った顔のおっちゃんだった。特に会話を交わしたこともないが、向こうも私の顔くらいは覚えているかもしれない。事務的に受領書に判を押して、荷物の段ボールを受け取った。

 実はこのとき、既に私は疑問に思ったのだ。「段ボールのサイズがやけに小さくはないか?」と。

 私の注文した物干しスタンドは、幅80センチ、高さ130センチくらいの大きさなのだ。しかし、段ボールはその半分にも満たず、片手で持てるくらいのものなのである。


 明らかにおかしい。だが、愚かにも私はこのとき頭が回っていなかった。


 受領書の宛名は間違ってなかったし、物干しスタンドは組み立て式だから「こんなものか?」と思いつつも、やけに軽いその荷物を持って部屋に戻ったのである。

 とりあえず中身を確認してしまおう。幸いなことに、今は雨も止んでいる。雨は面倒なため、今のうちにさっさと出かけておきたかったのである。


 段ボールの側面の開け口を剥がし、中を見る。

 すると、私の視界にピンク色のものが飛び込んできた。




 オ○ホールだった。




 俗に言う、アダルトグッズのあれである。



 ………………。



 …………。



 ……。



 あれれー、おじさん。これどう見ても物干しスタンドじゃないよね? おっかしいなあ。


 と、メガネと蝶ネクタイをした半ズボンの小生意気な小学生の台詞が脳内さr誤配じゃねーかバカヤロウ。


 通販はよく利用するほうですが、誤配は初めてのことでした。

 初体験がまさかのオ○ホとは……。

 何かのキャラを模したパッケージとかそういうのじゃなくて、ただただ普通の(と言って良いほどの知識もないが)、スタンダードっぽいやつ。

 なろう的に規約に抵触するといけないので詳細な描写は省きますが、とにかくオ○ホでした。(もういい)


 アマ○ンの段ボールの中にさらに敷かれている、ビニールに覆われた薄い段ボールの上に鎮座しとるこのやたらと自己主張の激しいブツ。

 人間、突然理解不能なことが起こると目が点になるんだなってマジで思いました。

 あまりのことに忘我状態となり、しばしそのブツとにらめっこをすること数秒、我に返る。

 この段階になって段ボールの送り状見て、宛名が違うことに気づきました。なんてこったい。


 ああ、なるほど。同じマンションで部屋番号が違うのねって、同じ階の住人のじゃねえか!(顔は知らんけど)

 今現在、壁数枚挟んだところでこの荷物を待っている人がいると思うと居たたまれなくて申し訳ないわ! 



 ……落ち着け俺。冷静クールになるのだ。



 こんなものを受け取ったところで洗濯物が干せるわけがない。別の洗濯物が増えるだけだ。(最低)

 とにかく営業所に電話である。幸いにも担当ドライバーの電話番号も記載されていたため、直接電話した。



「あのー、さきほど荷物を配達してもらったと思うのですが」

「はいはい、お名前はなんといいますか?」

「○○(本名)です」

「あ、もしかして△△(マンション名)の? 荷物間違ってました?」

「はい! そうです!」



 どうやら向こうも荷物間違いに気づいていたみたいで話が早かった。

 というか、たぶんまだマンションの敷地内にいたのだろう。数分もしないうちに先ほどのおっちゃんが荷物を持ってきてくれた。


 おっちゃんの手にしていた物干しスタンドの箱は、取っ手のついた大きなやつでした。

 これだよ、これ。とにかく特に荷物の内容には触れずに、無事に交換させていただきましたとも。

 そうして、思いもよらぬ誕生日の珍客は再びおっちゃんの手に渡り運ばれていきましたとさ。



 さようなら。今日という日に出会った、君のことは忘れない。ちゃんと持ち主のところに届けられるんだよ……。



 かくして、時間にして10分程度のささやかな事件は幕を閉じた。

 振り返ると、どうして荷物受け取りの段階で誤配に気づかなかったのかと自分で自分を罵倒したい。今度からはちゃんと荷物の送り状も確認したいと猛省する次第だ。



 ……ただ一つ気掛かりがあるとすれば、私にとって事件は終わりこそしたが、その誤配された荷物を本来受け取るべきはずの人にとって、事件はまだ始まってすらいないことだろう。

 誤って私は荷物を開けてしまった。その荷物がどういう扱いになるかは分からないが、梱包し直すのは当然にしても、配達日が一日遅れてしまったりするのだろうか?



 だとすると、本当に申し訳ない。同じ男として、慚愧ざんきに堪えぬのである。

【今回のことで得た教訓】

・ちゃんと荷物に貼られた送り状は確認しよう。

・神様からの誕生日プレゼントは駄文のネタでした。

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― 新着の感想 ―
[一言] おおおう。大丈夫ですかこれ、ここでも?? ええ、そうですね同じ男として慙愧に……いや待て、私は健全な主婦やったわ(嘘ばっかり・笑)。 いや~、そんなこともあるんですね。 送り状はしっかり確…
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