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妖精リリッサ《最強への道のり》

挿絵(By みてみん)

 とある世界の深い森、そこには妖精達や動物達が住んでおりお互い干渉せずに平和に過ごしていた。

「ふんふふーん♪私はリリッサ♪草木を愛でる可憐で可弱い、でも美しく懸命に生きる可愛い妖精ヨ!」

 特に誰にも頼まれた訳でもないのに、特に回りに誰もいないのに必死に自己紹介する一人の妖精。彼女はこれから自分に降りかかる災難など知るよしもなく今日も呑気に過ごしていた。

「今日も平和ね~。平和なのが一番だけど…このままじゃ生きて消えていくだけだわ。」

「ヘヘヘ…ならば今すぐ平和を乱してやろうか?」

 突然掛けられた声にリリッサは驚いた。その声の主は一匹の狼だった。

「…おっどろいたわね~。人間だったら私のハンマーでボコボコにするとこよ。で?何の用なのよ犬っころが。」

「見た目に反しておっかねぇなあ。でもそれなら話は早い。さっきも言ったように俺様は平和を乱しに来た!」

 狼は牙を剥き出しにして臨戦体勢に入った。それを見てリリッサも望む所と言わんばかりに自分の身長より大きなハンマーをパッと取り出した。いや、呼び寄せた。

「なによ、テメェは!?どこの森の回し者なのよ!」

「どこの回し者でもねぇよ!俺は五つの森を統治する森の主…更にそれを上回る最強の“森番長”をブッ殺して最強の名を手に入れに来た!恨みは無いが消えてもらうぜ、デカイ蝿がぁ!!」

 妖精の森に侵入した理由を話すと共に飛び掛かって来た狼にリリッサは――

「森番長!?…何だか知らないけど、面白そうじゃないっ!!!」

 ――ハンマーを勢いよく突き出し、狼に強烈なカウンターを喰らわせた。

「ぐはァっ…つ、強い…。」

 強い一撃を喰らった狼は吹っ飛び、そのまま木に激突した。

「私を倒したかったら孤高を気取ってないで大群でも引き連れるべきだったわね!」

 台詞を決めたリリッサに対し、最早虫の息の狼は必死に声を絞り出して言う。

「くっ…やは…り、妖精…は…強い…な…。やはり…森…番長はこの森に…」

「ねえ、森番長ってさっきから何なの?教えれば楽に死なせてあげるけど…教えないと苦しめて死なすわよ?」

 真顔で脅すリリッサだが、狼は恐怖に怯える訳でもなく答えた。

「さっきも…言ったように…五つの森の主達をも…越える…森の頂点だ…俺は…とっととソイツに…なりたかった…しかし、過程をすっ飛ばしたのがダメだった…らしいな…ヘヘヘ…」

「…じゃあ、誰なの?今の森番長は!」

 問い詰めるリリッサに対して「知らなかったのか?」とでも言いたそうな顔で狼は答えようとした…その瞬間――

バコオォォォォォォォォォォォォンン!!!

 ――突如乱入してきた者の巨大なハンマーによって狼は空の彼方へと消えていった。

「その私のよりも大きなハンマー…貴女は…」

 リリッサと同じ小さい身体、一見可弱そうな見た目。しかしそれでも威厳に満ち溢れたその者は――

「妖精女王様…!?」

「久し振りねリリッサ。残念ながらゆっくり話す余裕は無いわ。遂に時が来てしまったから。」

「時?何ですか?さっきの狼と言っていた“森番長”と関係が!?」

 妖精女王を前に落ち着きなく質問するリリッサに対し、妖精女王は静かに頷き言った。

「リリッサ…お前はこれから五つの森へ行くのです、そして其々の森にいる主達を倒しなさい。それまで帰ることは許しません。」

「え…ええ!?そんな突然…急過ぎると言うか…」

 戸惑うリリッサに対し妖精女王は無表情で圧力を掛けるだけだった。観念したリリッサは半ば投げ槍になっていた。

「わ、分かりましたよ!行きます!森の主達なんて妖精に掛かればコテンパンですよ!アハハハハ!」

 羽を出し飛んで旅立っていくリリッサを妖精女王はただ、静かに無表情で見送っていた。



 リリッサが始めに訪れた森は北にある一年中雪が吹き荒ぶ“白き森”。そこでリリッサは寒さに震えながら森の主を探していた。

「うう~…寒い!冷たい!凍える!こんな所に生き物なんているの!?もう十日も探してるのに森の主どころかネズミ一匹も見かけないわ!そりゃそうよ!こんな寒くちゃ!」

 そんな寒さで精神的に限界に来ていたリリッサの背後に大きな影が差した…

「!?誰なの…!?いや、聞かなくても分かるわ。お前がこの森の主ね!」

 リリッサの背後にいたのは大木ほどもある巨大な熊だった。

「…ソウダ。我、コノ森ノ主。コノ森ニ足ヲ踏ミ入レタ奴、ミンナ我ノ餌。妖精、オ前モ例外ジャナイ。喰ラワセテモラウゾ。」

「ハン!上等じゃないのよ。ただし私が勝ったらお前は一生私の奴隷よ。死ぬまでコキ使ってやるわ!!」

 淡々と喋る熊に対してリリッサはなかなか主を見つけられなかった怒りとやっと主を見つけた喜びが合わさった感情をぶつける。

「イイダロウ…!」

 熊は不敵に微笑み構えた。リリッサもハンマーを呼び寄せ構える。お互いに相手の出方を伺い動かない…暫く長い沈黙が続いた。

 だがその沈黙は木から落ちた雪の音により破られる。

「ウガアアアアアァァァァアアアアッ!!!」

「来やがれ熊公がっ。」

 熊の鋭い爪が付いた両手がリリッサに対して何度も振るわれる。その両手はさながら、巨大な二降りの戦斧のようだった。

 しかしリリッサはそれを難なく軽々と避ける。

「ドウシタ?躱シテバカリデハ我ニハ勝テヌゾ?」

「はっ!アンタ、さっきからそんなに動いて疲れないの?」

「何!?」

 リリッサの言う通り、熊の動きはどんどん鈍っていく。リリッサは熊が疲れるのを待つ作戦に出たのだ。

「クククッ…ソンナ作戦ニマンマト引ッ掛カル我ト思ッタカ?」

「何ですって――」

ガチィッ…

 歯と歯がかち合う音が響いた。熊は隙を突いてリリッサを喰らおうとしていた。

「お前ぇ…!少しビビったじゃないのよ!」

 何とか熊の牙を躱したリリッサだったが、横腹を掠めてしまいややダメージを受けていた。

「我ノ的ハアクマデ獲物ヲ喰ラウコト…!油断スルト我ノ糧ニナルゾ。」

「この食いしん坊万歳が!そんなにたらふく食いたければ、私の取って置きの技を喰らわせてやるわよ!」

 そう言うとリリッサはいつも片手で振り回していたハンマーを両手持ちで構えた。それを見た熊は少し後退りするも再び両手を構えた。

「何ヲスルカ分カラナイガ…何ニシテモ貴様ハ我ノ餌ダッ!!」

 大きな両手を突き出し、鋭い牙を剥き出しにしながら飛び掛かって来る熊。引いても向かっても確実に助からない攻撃に対しリリッサは冷静に構える。

《まだよ私…もう少し近付いてきたら…。もう少し…もう少し…!!》

 リリッサには自分だけに見える間合いを張っていた。そして熊その間合いへ入りこんだ瞬間…――

「くたばれケダモノがあっ!!!!」

 ――リリッサは構えたハンマーを思いっきり振るった。

ガゴォォンンンンンン

 肉がひしゃげ、骨が砕ける音が森中に響き渡った。熊は吹き飛び木に激突、その衝撃で落ちた雪に埋もれた。

 リリッサは“白き森”の主に勝利したのだ。

「あははッ♪私の勝利!アンタは一生、私の奴隷ね。そうね…まずは蜂蜜でも買ってきなさいよ!」

 決め台詞を言ったリリッサは白き森を後にし、次の森へと向かって飛んで行った。



 その後は色々あった…“常夜の森”の主の梟には色々分析され窮地に陥るも勝利したり…

「分析で推し測れるリリッサ様じゃあないわよ!」

 “帰らずの森”では主の三匹で一匹の猿兄弟の巧みなコンビネーションにも色々苦戦し窮地に陥るも勝利したり…

「一匹でダメなら三匹寄ろうが何匹寄ろうがダメねっ!」

 “快楽と悦楽と(中略)の森”では主の触手を持った何だかよく分からない虫に無限の快楽に誘われそうになり窮地に陥るも難なく勝利したり…

「気持ち悪い!純粋に気持ち悪いのよ!二度と目の前に現れないで!」

 …と、妖精リリッサは確実に五つの森の主達を倒して行き、残すはあと一体の主となったのだった。

「…なんか私の活躍が雑にダイジェストされた気がするんだけど!?」

 それは気のせいだった。リリッサはそんなこと気にしてる場合ではないとばかりに最後の森へと向かって行く。

「気にするわよ!バカ!死んじまえ!…まあ、良いわ。こんな面倒事が早く終わるなら。さっさと最後の森へ行って最後の主をブッ飛ばさなきゃ――」

「最後の森へ向かう必要は無い!」

 森へ向かおうとするリリッサに突如声を掛ける者が現れた。が、姿が見当たらない。

「誰よ!?そしてどこにいるのよ!?」

「下だ。飛んでないで降りてこい。」

「!?」

 そこでリリッサが見たのは一匹の普通のカブトムシだった。

「ま、まさかアンタが最後の主?」

「左様。見た目で侮らないことだ、拙者はこれまでの主のようには甘くはないぞ。」

 見た目は普通の甲虫だが、これまでの主達とは比べられないほどのオーラを纏っていた。

「言われなくたって分かるわよ、アンタが普通の甲虫じゃないってことくらい…!」

 その見た目は普通の甲虫の普通ではない雰囲気を悟りリリッサは直ぐ様に構える。

「最近、各地の森を荒らし回る者が現れたと聞いてはいたが…まさかそれがあの憎き悪名高い妖精だったとはな。」

「…まさかアンタ、妖精に家族でも殺されたの?」

 異常なほどの憎悪の炎に満ちた普通の甲虫の目を見てリリッサは質問した。

「ああ、家族どころか一族をな。」

「言っとくけど私じゃないわよ。」

「それは分かる。何も知らなそうだからな…だが、それでも御主ほどの強者ならば殺して見せしめにすれば敵が現れるかもしれないと思ってな…!!!」

 言葉と同時に甲虫はその普通だが立派な角をリリッサに向けて突進して来た。リリッサも甲虫に対して正面からハンマーを思いっきりぶつけ鍔迫り合いになった。

ギギギギギギギギギギギギ…

 激しくぶつかり合う角とハンマー、そんな時にリリッサは疑問を甲虫にぶつける。

「ねえ、…もしかしてアンタの一族を皆殺しにしたのって…“森番長”とか名乗らなかった…?」

「…さあ…な。勝ったら教えてやろう…!」

 その時、互いの力が弾け両者共に吹き飛んだ。が、両者共羽を広げ体制を立て直した。

 お互いに力を溜めて次の攻撃の準備をする。

《次で、勝負が決まるな…》

《下手な小細工は無しよ、純粋な力でブッ飛ばす!!》

 力を溜め終えた両者は全力で…いや、限界を越えた力でぶつかった…

 お互いに目の前が真っ白になった。そして、走馬灯を見た後に意識は吹き飛んでいった。



「ハッ!!?」

「起きたわね、おはようリリッサ、そしておかえりなさい…」

「妖精女王様…!?」

 リリッサは訳が分からなかった。変な夢から覚めたような感覚で混乱していた。

「あの甲虫はっ!?私、勝ったの?負けたの!?」

 混乱しているリリッサに対して頭を撫でていつも通りの無表情と落ち着いたしゃべり方で説明した。

「あの甲虫は死んだわ。お前が勝ったのです。お前は見事五つの森の主達を倒し、目的を達成したのです。」

 目的を達成したことよりも甲虫が死んだことにリリッサはハッとした。

「そんな…アイツにまだ森番長のこと教えてもらって無いのに…」

「そのことなら心配いらないわ。見当も付いているのでしょう?森番長は妖精だということに。」

「はい…」

 リリッサは妖精女王を見てある考えが過ったが、まさかと思い言わなかった。

「リリッサ、付いてきなさい。森番長に会わせてあげるわ。」

「…へ?」

 突然のことに驚くリリッサを尻目に妖精女王は言った。

「お前に各地の森の主達を倒させたのはお前の力を引き出す為…森番長を倒してお前が新たなる森番長になる為に…!」


 妖精の森の奥の更に奥、人どころか妖精すらも道に迷いそうな程に更に奥の深い所にある洞窟にリリッサと妖精女王の二人は来ていた。

 お互い、道中ずっと無言だったが洞窟の最果てに付いたと同時に妖精女王は言った。

「リリッサ、気付いて…はいなくても、勘づいてはいるのでしょう?お前は頭は悪いけど勘は良いから…」

「はい、気付いてましたよ…いや、今気付きましたよ。貴女が…“森番長”だということ。」

 それを聞くといつも無表情だった妖精女王がとても分かりづらいが確かに微笑んだ。

「あの甲虫の一族も、甲虫も殺したのは…貴女…ですよね…?」

 妖精女王は頷かなかった…が、徐々に歪んでいく笑顔を見てそれが答えだとリリッサは確信した。

 そして妖精女王は無言でハンマーを取り出し、構えた。その姿は威厳や威光だけでなく、すぐにでも逃げ出したくなる程の殺気に満ち溢れていた。そして笑顔がいつもの無表情に戻ると、言った。

「構えなさい。」

 この時、リリッサに一気に多くの感情が湧いてきた。「どうしてこんなことを?」、「何故、今まで黙っていたのです!?」、「よくも甲虫を…その一族を…!」等々どの思いも強かったのだが、一番強い思いで…そして口に出した言葉は――

「面白そうじゃないっ…!!!」

 そう言うとリリッサはハンマーを呼び寄せ、不敵に微笑んだ。

「お前が勝ったら森番長の名はお前の物…そして負ければ…答えは簡単…死よっ!!!」

 いつも相手が向かって来るのを待つリリッサが、今回は自分から向かって行った。

 初めから全力のリリッサ、しかし妖精女王はそれをものともしない。まるで猫にじゃれられている飼い主のように軽く往なした。そして――

「少し、ガッカリしたわ。」

「うっ…!」

 少しの隙を見てリリッサの腹目掛けてハンマーを突いた。その軽くも重い一撃でリリッサは地面に倒れる。

 妖精女王はまた微笑み、トドメを刺す為にハンマーを降り上げた。

「お前の旅も、無意味だったようね。」

 微笑んではいるが、どこか寂しそうな表情でそう言いハンマーを降り下ろそうとしたその時――

「オ前ノ力ハソンナ物ナノカ?喰ラッテシマウゾ…!!」

 リリッサは聞いたことある声と気配にハッとし、起き上がった。

「アンタ達は――」

 そこにいたのは今までリリッサが倒した森の主達だった。

「舎弟ども!何でここに!?」

「誰ガ舎弟ダ!マア、ソレハイイダロウ…トニカク我ラヲ倒シタ貴様ニ死ンデモラッテハ困カラ――」

「応援しにきたのだ、リリッサよ。」

 カタコトという非常に面倒な喋り方をする熊の台詞を遮り奪ったのは甲虫だった。

「生きてたのかよ!?」

「生きていたのですか!?」

 リリッサと妖精女王はあまりに意外なことに動揺していたが構わず甲虫は言った。

「勝て、リリッサ。お前こそ森番長に相応しい…!それはお前も思っているのだろう?我が一族の仇…妖精女王よ。」

「…さあ?何のことでしょうね…」

 淡々と話を逸らしてはいたが、何か思うような表情をしていた。

 甲虫も色々と思うところはあったが私情を捨て、ただリリッサの勝利を願いリリッサをひたすら励ました。他の森の主達と一緒に。

「仕方…無いわね…!アンタらが勝て勝て騒ぐとウルサイから…とっとと勝ってやるわよ!!」

 リリッサは立ち上がり、ハンマーを構えた。その姿は妖精女王並みに…いや、妖精女王以上の威厳と威光に満ちていた。

「…やっと、やっと…面白く………面白…ク、な り そ う ねええええええ!!!リリッサァァァアアアアアアアアアアアアアアアアァァァ!!!」 

 そんなリリッサの姿を見た妖精女王の顔は最早いつもの無表情は欠片もなく、悦びの表情で歪みきっていた。

「次で決める。でもその前に精女王様…貴女に実はこれまで言いたかったことがあるのです。」

 そう言いながら力を込めるリリッサ。その力は甲虫との戦いの時とは比べ物にならない程の力だった。五体の主達の応援によりリリッサの力は極限まで引き出されていく。

「いくわよ…リリッサァァァ!」

 妖精女王もそれに負けないくらいの力を込めた。そしてお互いに力が溜まると、二人は全力でぶつかった。その瞬間――

「妖精女王おおおお――」

 黄色く眩い光と青く冷たい光が洞窟内全てを包み込んだ。

 そしてぶつかり合った瞬間、お互いのハンマーは砕け散った。あまりの出来事に妖精女王が隙を見せたのをリリッサは見逃さなかった。

「妖精女王!」

 リリッサは己の拳で妖精女王の顔面を思いっきり殴った。

「よくも!」

 もう一発殴った。

「今まで!」

 更に殴る。

「こき使って!!」

 また殴り、そして最後の一発を構える。

「くれたわねぇっっ!!!!」

 このトドメの一撃が効き、妖精女王は戦闘不能となった。

 勝利したリリッサと五体の主達は勝利と喜びのの雄叫びを上げる。そしてその後すぐ、リリッサは気絶した。直立したままで…



 その後暫くして、妖精女王は目覚めると回りにはリリッサと五体の主達がいた。

「…私を殺さないの?リリッサはともかく、お前は――」

 視線を甲虫に向けると甲虫は目を逸らす。

「…拙者は負けたのだ、敗者に語る言葉は無い。勝者のリリッサが貴様を生かしたのなら何も言うまい。」

「そういうことです、妖精女王様。これからはここにいるみんな私の舎弟になってもらうのですから!死ぬまで奴隷です…いや、死ぬまで奴隷よ!」

 その台詞を聞いた妖精女王は何かを諦めるような表情をした後、今まで見せなかった笑顔を見せた。

「はい、死ぬまでこき使ってください。これからは貴女が森番長です…!」

 …こうしてリリッサは新たな森番長になった。これにより森は平和を保たれ――

「ヘヘヘヘヘっ!!森番長どころか森の主達まで揃っていやがるぜ!!」

 森の平和はどこかで聞いた声の主によって数秒で破られた。

「お前は…狼!」

「久しぶりだなあ、妖精リリッサ!そして元森番長!今回は…色々反省して仲間を引き連れて来たぜっっっ!!!」

「!!?!」

 気付けば周囲は数百の、いや数千もの狼に取り囲まれていた。

「…面倒事を増やしてふざけんじゃないわよ!…でもまあ、面白そうじゃない!!!!!」

 そう言うとリリッサはハンマーを呼び寄せ不敵に笑った後、狼の群れに向かって行った。数少ない、しかし強者揃いの仲間達…いや舎弟達と共に…

「森番長リリッサの戦いはこれからよっ!」










 




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― 新着の感想 ―
[良い点] 小説の内容や言葉の選び方が分かりやすくて、想像しやすいです。 主人公のリリッサちゃんの性格がさっぱりしていて気持ちいい。 この子の性格なら、もっといろんな冒険に出て、もっと色んな活躍ができ…
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