アイドル部の由来とその活動とは?
そして数分後に高ノ宮がコーヒーと紅茶を紙コップへと入れて
「はい、小早川さん。はい、佐野君」と高ノ宮が机の上に置く。
「ありがとうございます」と二人は同時にお礼を言った。
「さてさて。ではお二人には、今からアイドル部への活動を教えますね」
高ノ宮はルンルン気分で二人にそういうと、どこかから眼鏡を取り出して
教師風に目をキラッとさせて説明を始めた。
「アイドル部というのは、非公認の部活でありポスターや部活動紹介には
参加しておりません。あくまで生徒会としての仕事がメインなので」
アイドル部またの名を生徒会という話を聞いてから薄々気づいてはいたが、
まさか非公認だとは…それでも、生徒会の仕事が優先されるんだから、これ
は仕方ない話。学校だってそんな部活動なんて認めてくれないだろう。
優太は心の中で一人考え込んでいた。
「それでも、生徒会という言葉から抜け出したい。息抜きしたいという考え
で、私達はアイドル部という存在を自分達で作り上げたのです!」
高ノ宮の力強い言葉に他の三人はただただ聞いていた。
どうやら意気込んでいるのは彼女だけのようだ。
「じゃあ、俺が友達に聞いた、アイドル部がある~っていうのは?」
「会長が流したんだよ。その方がなんかミステリアスだとか言って」と
答えてくれたのは優太の隣に座る東雲。
「止めたんですけど、ちっとも聞いてくれなくて…」と東雲に続いて大宮が
話す。
「いいじゃない。その方が萌えるでしょ?」
「はぁ?」とさすがの優太も高ノ宮の話についていけなくなった。
「気にしなくていいよ。会長はこういうのがなければ立派な生徒会長なの
で」と宮河が困り顔で言う。
「ちょっと、それどういう意味かしら。真琴ちゃん」
「落ち着いて、都さんっ!」
「やれやれ」
宮河の発言がお気に召さなかったのか、高ノ宮が怒りをあらわにする一方
なんとかして止めようとする大宮と、それに呆れる東雲を見て優太と小早川
は黙って見ていた。
数分後、大宮と、ヘルプで呼ばれた東雲の説得によって
なんとか高ノ宮の怒りを静めることができた。
「ごめんなさい」と二人は優太と小早川に謝った。
「いえ。大丈夫ですよ」と小早川が。優太は「僕も大丈夫です」と続けて
返す。
「では、気を取り直して進めます。その前に何か分からないことがあり
ましたら答えます。どんな些細なことでも構いません」
「…あの、それじゃあ一ついいですか?」
「はい。なんでしょう?」
優太が恐る恐る手を挙げて高ノ宮に質問する。
「どうしてアイドル部なんですか?何か深い理由とかがあるんですかね?」
「それは…」
高ノ宮は言いにくそうだった。それを見ていた東雲が変わりに質問に答えて
くれた。
「ただの憧れだよ」と呆れ顔で。
「咲樹ちゃん!」
「本当のことでしょう?会長は生徒会をテーマにしたある漫画に現在夢中で
それの真似事をしているにすぎないんだよ」
「真似なんてしてないわよ!」
またもや高ノ宮の怒りに触れてしまい、今度は東雲に矛先が向く。
それを見ていた大宮はおどおどしながらも彼女を必死で止めようとする。
「分かりました。ありがとうございます」と優太は東雲にお礼を言った。
でも、その一方で聞かない方が良かったな。失敗したな~とまたしても
後悔することになりました。