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マシュマロ   作者: 里兎
20/23

~補講の後~

――――数日後。


すっかり治った優里と一緒に登校したましろは、頭を抱えながら、補講のテストを受けていた。

これに受かればもう学校に来なくて良いらしく、必死に頭に揺さぶりをかけながら問題を解いくと。


「―――……はい!終了!今から採点してくるから少し待っててくれ」


先生が2人から解答用紙を奪うと早足で教室を後にする。


「…………はぁ」

自然に出たため息をして横目で隣の席を見るとそこには、今にも灰になりそうなましろが机の上で倒れ込んでいた。


「………大丈夫か?」


少し心配になった大輝は思わず、ましろに声をかけ肩を揺さぶろうと手を伸ばすと。

肩に触れた刹那。

ビクン!と。

ましろはビックリしたように顔を上げた。

そのそぶりに、何か違和感を覚えた大輝は眉をしかめ


「………どうした?」


「…あっ…只驚いただけ…」


ましろは目を泳がせながら目線をどんどん下へと下げていった。


言いたくないことでもあるのか。

1つの疑問が心に浮かぶ。


それでも、その事を聞かずに無言でくしゃくしゃとましろの頭を撫で。


――ガラッ!


「ほらっ!席につけ!答案用紙返すぞ!」


いつもより不機嫌な、先生が2人を睨み机の上に採点をしたテストを置く。


「……お前らなんの嫌がらせだ?あんなに補講で細かく説明して、テストと同じ問題を沢山やらせたのに。揃いも揃って2人共目標点ギリギリで合格しやがって………」


ましろは、机の上に置かれたテストを見ると丁度目標点の30点。

横の机をチラリと見ると。

そこにはそれもギリギリの31点。


「…取り敢えず!今日で補講も終了だ!とんだ時間の無駄使いだ!」


憤りの隠せない先生はそのままズカズカと扉を思いっきり閉めて、教室から出ていった。


「………ふぅ」

ましろが一息付きながら鞄に勉強道具を詰めていると


「あーお互いやっと終わったなー少しの間だったけどお前と一緒で楽しかったな」


ニコッと笑いかける大輝を一瞬だけ見て、すぐに手元に視線を戻す。


「………お前ってどんくさいし、暗いけど、純粋だよな」


大輝も自分の鞄に勉強道具を詰めながら笑う


「………又一緒にバッティングセンター行こうな?」


そう言って詰め終わった鞄を持ち、またましろの頭を思いっきりぐしゃぐしゃに撫でました。


「………!?」


鳥の巣みたいな頭になったましろが思わず顔を上げると


「………またな。」


悪戯っぽく笑う顔が頭に手を乗せたままこっちを見ている。


「………別に…又会える保証なんてない。」


何だか恥ずかしくて思わず顔をすぐに背けたら


「ばーか。会いに行ってやるよ」


くしゃっと笑うと大輝は軽く手をあげてそのまま、ましろを残して教室を出て行った。

すると、1人教室に残されたましろは大きな疑問に包まれた。


どうして?

あの人とは違う筈なのに。

彼の笑顔を見ていると落ち着くの?

何故?

少し前は人と話す事さえ嫌だったのに…

私は…絶望だけ感じていれば良い

それ以外の気持ち必要無い筈。

なのに、学校であの人の言う通り過ごしていたら私はおかしくなる。

私は……これで良いのだろうか…。


少し俯き。

勉強道具の入れ終わった鞄を持つとましろも優里の待つ図書室に向かう為に教室をた。

まだ時間がお昼過ぎだからか、沢山の部活動をしている生徒の声が窓越しに聞こえてくる。

響く声。

前は嫌で仕様がなかった声も。

今は慣れたのか。

特に気にならなくなっていた。


「…………。」


吸い込まれそうな程澄みきった青空を見つめてから、これではいけないと大きく頭を振ってとにかく、図書室へと向かいました。


ガラッ!


清閑な部屋の中。

そこにはいつもの場所に1人。

音でこちらに気が付いたのか本から顔をあげてニコッと笑う。

そんな優里に近付いて行くと


「お疲れさま。テストどうだった?」


「……楽勝……。」

その言葉を聞き笑い。


「楽勝なんだ!…じゃあましろはようやく冬休みだね?」


ましろがコクりと頷くと


「………少し遅くなっちゃったけど、お祝いとしてクリスマスやろうか…?」


「…………クリスマス?」


「そう!オレが熱出しちゃった時実はあの日はクリスマスっていう日だったんだ」


クリスマス。

聞いたことはあるけれど。

今までのましろにとっては、全く関わりのないもの。

何をすればクリスマスなのか。

全然検討も付かない。


「………なにするの?」

首を傾げたまま聞いてみると


「えっと…部屋の飾りつけをしたり、美味しいものを食べたり、プレゼントを交換したり……かな?」


何故か優里もあまり分かっていないようで、腕組みをしながら思い付いたものを手当たり次第言っているように見えた。


「……どうしてあなたも…微妙そうなの?」


その質問に少し困った風に笑い


「あっ…えっと…実はオレ…クリスマスしたこと無いんだ…でも今年はましろがいるし。内容はテレビで見たことあるから、大丈夫だよ」


そう答えると、テーブルの上にあった鞄を肩に掛けてましろの手を掴み


「……とりあえずクリスマスやる時間もあるし、続きは歩きながら話そうか」


クリスマスやることは決定なんだ。


と、ましろは心にそんなことを思いながら、優里に手を引かれる方へと歩いていった。


帰り道。


キラキラ電飾の光る街並み。

クリスマスの余韻か街に飾り付けられた色とりどりの電飾はそのままになっていて。

優里に手を引かれるまま雑貨屋さんに入ると、そこにはかわいいお正月の小物が沢山飾られていた。


「………あー…確かに後3日でお正月だもんな……流石にクリスマスのモノは無いのかな?」


と店内を見渡す優里にましろは繋いだ手を少し引っ張り1つのワゴンを指を差す。


『セール品!最大70%OFF!!』


そう書かれたワゴンの上には沢山のクリスマスの売れ残りと思われる商品が山のように積み重なっていて。


「あったね!ありがとうましろ」


2人でワゴンの元に行くと、白髭のお爺さんやトナカイの人形、キラキラ光を反射する部屋飾り、小さなクリスマスツリー、真っ赤な3角帽子等々。

色々な物がそのワゴンの上だけで揃えてしまいそうで。


「ましろ?欲しいのあったら言ってね?」


と言いガサガサと優里は商品を物色していき。

そこから視線を外して、周りを見渡すと人々が何かの準備をしているのか雑貨屋さんには沢山の人がいる。


気持ち悪い。

早くここから出たい。

怖い。

……こう感じるのは前と一緒の証拠。

やっぱり私は何も変わっていない。

人に対して落ち着くなんて……。

気のせいだったんだ。

……きっとそう。

私は……一生このまま。

………絶望したまま。


無意識に優里の手を強く握ると


「………レジに行こうか?」

手をきゅっと握り返し、優里は優しくましろに笑いかけた。


紙袋いっぱいに買った商品を持ちながら次は甘いにをお店中に漂わせ、ショーケースの中に色んな形をしたモノが綺麗に並べてあるお店に行くと。


「…………?」


それがなんなのか分からずに首を傾げていたら。


「あの、この丸いケーキ下さい。」


優里が店員さんにショーケースに入った白くて丸いものを指差しながら言いました。


「………ケーキ?……何?」


「……………え?」

ましろの言っていることが分からないという風に聞くと


「…………これ。何?」


今度は優里の真似をしてショーケースのモノを指差しながら聞きいた。


「…これはね?ケーキって言って、甘い食べ物の事を言うんだ。」


「………甘い…?」


「そう。ましろの作ったココアと同じくらい甘いんだよ?」

そう言うと。


「お待たせ致しました。」

と。さっきの店員さんが店の奥から出てきて白くて四角い大きな箱の入った袋を優里に渡した。

それを受けとると、両手の荷物を抱え直し


「よし!帰ろうか?」


優里の2つの手が荷物に埋まって、手を繋げなくなったましろは、少し考えた後優里の腕に両手で掴むことにした。


「!!なっ……!?」


優里は何故かビックリした様な声をあげ、みるみる内に耳まで真っ赤になっていて。

でもましろはそれを特に気にしないで、優里にピッタリとくっつきながら家迄の道を帰りました。



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