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マシュマロ   作者: 里兎
17/23

~ひなた 番外編~

小学生の時。

私は激しい人見知りだった。

だからクラスの人に声をかけられても俯く事しか出来なかった。

そんな自分は中々変えることが出来ずに、友達のいない6年間を過ごした。


中学生の時。

私は小学生の時を反面教師にして出来るだけ明るく振る舞った。

でもそれは友達がいなかった私には難しかったらしく。

結局クラスの浮いた人という存在になった。

3年間続けてみたが、やっぱり友達が出来ることは無かった。


9年間私に残ったのは、空気の読めない明るさと人に突っ込んで行けない人見知り。

それだけだった。


高校生。

何とか努力して入った平凡高。

の筈だったのに。

入ってみるとそこはハイレベルな頭脳高。

何故私が入れたのか。

それは奇跡だった。

でもそこで待ち受けていたのは。

頭の良さでしか人を判断しない生徒達。

連絡用とされて作られたグループのラインでは、もっぱら平均点を下げているという私の悪口。

そして遂には1人で教室掃除を押し付けられる羽目になった。

それについてまひるは何も言わなかった。

いや。

きっと何も言えなかったのだろう。

双子の片割れが又友達を作れずにいることを何も言えずにいたのだ。

だから私は鈍い振りをする。

何も知らない振りをする。


小学生から高校現在迄世間は本当の私を出させてくれない。

違う。

私が怖くて出せないのか。

最近それが少し辛い。

それも違う。

……本当はすごく辛い。

でもコレを声に出すと私は辛さに押し潰されてしまう気がした。

だから言えなかった。

誰にも。

その前に言う人も特にいなかった訳だけど。。

そんな事を思いながらオレンジ色に反射する廊下を歩く。

今日も1人で教室掃除。

でも今日はまひるが手伝ってくれた。

私はごみ捨ての帰り道。

この瞬間が一番寂しくて。

消えたくなる。


……タッタッタッ。

何かが此方に向かってくるようなそんな音。

ふと。

顔をあげると。

向こうから走ってきた女の子が私の前で止まり目が合う。

黒髪のボブ。

さらさらと髪が、窓から入ってくる風になびく。

白い肌にオレンジ色の夕陽が反射して透き通ってるように見えた。

そして何故か彼女の漆黒色に染まった瞳から目が離せなかった。

それは一瞬の事の筈だったのに長い時間の様に感じた。

廊下を走ったらダメ。

そんな言葉でしか私は彼女を止める術がなく。

案の定というべきか。

彼女はそれで止まるはずもなく、すぐさま廊下の奥へと走っていった。

深い黒。

あの子の瞳は全ての物事を映すことを拒否していた気がした。


少しの優越感。

あの目を見れば分かる。

私より彼女は辛い。

分かっている。

それを思った私は最低だ。


でも思わずにはいられなかった。

そうじゃないと気持ちが崩れそうだったから。


教室に戻ると。

まひるがオレンジ色に染まった教室でずっと教室のドアを見つめていたのか目があった。


「……あっ……」


まひるは、何かを言いかけてすぐにやめた。

私はそれに気付かない振りをした。

聞かれたくない事だろう。

ただそう思ったから。

その時のまひるは何故か傷付いた様な笑顔だった。


彼女はいったい何者なのだろう。

何かが動く音がする。


私はその音に気付く事も無く帰り道を

歩く。


彼女と関わっていく学校生活はまたこれからの話し。


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